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おしゃれは武装

 外出するとき−仕事に行くときであれプライベートな用事であれ−、どのくらい「おしゃれ」をするだろうか。

 女性であれば、化粧をするかしないか、するにしてもどの程度するかが外出理由によって違うかもしれない。男性であればヒゲを剃ったり髪をセットしたりだろうか。あとは服装。超カジュアル、カジュアル、オフィスカジュアル、オフィススタイル…。

 いろいろあるのだけれど、私は外出する時は、基本的に化粧をしてアクセサリーと時計をつける。

 化粧の程度は、昔に比べたらだいぶ簡素になった。昔は下地にファンデーションにチーク、アイラインはがっつり上下に引いて、アイシャドウは青や紫、コバルトグリーンなど。マスカラもたっぷり塗っていた。今は、下地も兼ねたリキッドファンデーションを塗って、眉を書いて、アイラインを目尻に少し引くだけ。

 ただ、アクセサリーの類はいつもフル装備だ。ピアス、ネックレス、指輪に時計。外出間際にそれら一つ一つを身につける時間は、戦場に向かう戦士が武具を身にまとうそれと似ている気がする。

 家に帰ると私は真っ先にアクセサリー類を外し、化粧を落とす。途端に方の力が抜ける。

 先日、アクセサリー類を一切身にまとわず2時間くらい外出するときがあった(化粧は最低限した)。ものすごく身軽だった。兜も鎧も脛当ても、剣や盾も、何も持っていないかのような。そして思った。

おしゃれは武装なんだな。

 武装も時には必要だ。備えあれば憂いなし。けれど、武装している人は時に近寄りがたい。本人も知らずに神経を張りつめていたり体力を消耗したりしているだろう。ときには武装を解いて外に出てみよう。


ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。