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「武器の新概念」という話

まえがき:武器と文化

 「武器」というのは非常に抽象的な存在であるように思えます。例えば、私が朝ごはんを作るために使った「包丁」は料理をするための調理器具と見ることも出来ますが、人を攻撃する武器にもなります。包丁は武器なのか、調理器具なのか、それは使い方次第で簡単に変わります。

 他にも、日本刀は武器として見ることも出来ますが、芸術作品として見ることも可能です。ある時は武器に、ある時は芸術作品に簡単に変わります。

 また、その辺に落ちている石も人に投げれば武器や凶器に簡単に変化します。このことから私達の身近にあふれている物は実は武器の側面も持っているものばかりだと言えるのではないでしょうか。

 では、「武器」とは何なのでしょうか。斎藤利生は『武器史概説』の中で、さまざまな歴史や語源、自衛隊法などを検討した上で「武器」の定義を「敵の保有する戦力を低下させる為何等かの効果を期待しうるもの、およびその効果を有効に発揮させるために使われる補助的道具の総称」だとしています。

 この斎藤の武器の定義から、より具体的に武器とは何かを考えていこうと思います。また、武器とかかわりの深い戦争、そして平和についても考えてみようと思います。


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