「芸術の価値と文化的成熟」という話
芸術とは何か。一言で形容できるほど単純なものではないと思いますが、敢えて一言で言うならば「気づきを与えるもの」だと私は考えています。(あくまで、個人的にそう定義しているだけなので、皆さんにこの芸術の定義を押し付けるつもりはありません。)
では、芸術にはどのような価値があるのでしょうか。本来、物の価値は経済学的に考えるとするならば、経済市場の需要と供給の均衡点で決まると考えられています。ならば、芸術の価値も市場で測れるのでしょうか。近年拡大している新自由主義的な考えを持っている人ならば「YES」と答えるでしょう。でも、私は、市場では芸術の価値を測ることはできないと思います。
では何故、市場では芸術の価値を測れないのか。今回は芸術の価値と文化の変遷について考えてみましょう。
芸術の有用性
芸術というものは非常にわかりにくいものです。「芸術なんてただの娯楽だ」とか「芸術なんて何の役に立つの?」と思っておられる方もいらっしゃるでしょう。では、芸術の有用性とは一体なんなのでしょうか。
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