見出し画像

「芸術の価値と文化的成熟」という話

 芸術とは何か。一言で形容できるほど単純なものではないと思いますが、敢えて一言で言うならば「気づきを与えるもの」だと私は考えています。(あくまで、個人的にそう定義しているだけなので、皆さんにこの芸術の定義を押し付けるつもりはありません。)


 では、芸術にはどのような価値があるのでしょうか。本来、物の価値は経済学的に考えるとするならば、経済市場の需要と供給の均衡点で決まると考えられています。ならば、芸術の価値も市場で測れるのでしょうか。近年拡大している新自由主義的な考えを持っている人ならば「YES」と答えるでしょう。でも、私は、市場では芸術の価値を測ることはできないと思います。


 では何故、市場では芸術の価値を測れないのか。今回は芸術の価値と文化の変遷について考えてみましょう。



芸術の有用性

 芸術というものは非常にわかりにくいものです。「芸術なんてただの娯楽だ」とか「芸術なんて何の役に立つの?」と思っておられる方もいらっしゃるでしょう。では、芸術の有用性とは一体なんなのでしょうか。

ここから先は

8,082字 / 1画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?