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子供の算数嫌いをなおす方法

こんにちは。
音楽家のこうたろうです。

本日はトルコのアンタルヤ・ベレク大学が行った長期メタ分析のデータを音楽を交えながらシェア!

今まさに子育て真っ最中の方
これから小学校に上がるお子さんがいる方
うちの子はどうも算数が苦手みたい・・・とお悩みの方

是非この記事を参考にしていただければと思います。


結論からいいますと、算数や数学の授業に音楽を取り入れることで学習効果は飛躍的に伸びたとのこと
この研究は、2023年6月28日付で
学術誌『Educational Studies』に掲載されました

音楽と算数

実は音楽と算数は密接な関係があります
これは持論ですが優秀な音楽家に必要な素質といえば
ほんのわずかな算数の能力と
芸術的センスのみ
詳しくは筆者のもう一つのnoteアカウント
音楽家育成塾からこちらの記事を参照してください

音というのはそもそも周波数(1秒間に発生する波の数)で表されており、周波数が高いほど高音に、低いほど低音になります
ここに算数的ルールがまず存在しているわけですね

古代ギリシアの数学者であるピタゴラス(BC582〜BC496年)は、弦の長さの整数比(オクターブ、五度、四度の音程を作る弦の長さがそれぞれ、2:1、3:2、4:3という数比であることを発見)から「音階」を発見したことでも有名です

他にも西洋音楽の場合は音符などの記載方法もすべて算数的に表現されます
ただし、これは西洋音楽史に限ったことでありその他の世界の民族音楽で共通していることではありません。

そのため、西洋音楽を学ぶ場合に算数の知識、算数の計算力を並行して学ぶことで楽典への理解が深まることは容易に想像できるかと思いますが

逆の音楽を学ぶことで算数や数学の成績が良くなるのか?については疑問に思う方も多いのではないでしょうか

長期メタ分析

アンタルヤ・ベレク大学が1975年から2022年の間に発表された関連テーマに関する先行研究を学術データベースから収集して分析したものをシェア

対象データには幼稚園児から大学生まで約7万8000人
この研究では、音楽学習を導入する前後において算数または数学のテスト結果がどう変化したかについて調査されています

音楽学習の具体的内容

1、子供や学生たちが自ら歌ったり、音楽を聴いたりする
2、子供や学生たちが個人またはアンサンブルにおいて楽器の演奏方法を学ぶ
3、算数や数学の授業に何らかの方法で音楽を取り込む

そして、これらの介入に参加する前後で生徒が数学のテストを受け、その点数の変化を介入に参加しなかった若者と比較しています。

音楽の導入でスコアは上昇

メタ分析の結果音楽の導入&介入で算数や数学のスコアが上昇したことがわかりました。

『1、の自ら歌ったり、音楽を聴いたりするグループ』では58%、『2、の個人またはアンサンブルにおいて楽器の演奏方法を学ぶのグループ』では69%も音楽の導入や介入を受けなかったグループと比較してスコアが上昇しました。

『3、算数や数学の授業に何らかの方法で音楽を取り込むグループ』では約73%が何らの音楽介入も受けなかった生徒より有意に成績が良くなっていたというデータが導き出されています

現段階では長期メタ分析ですので
この結果がなぜ、どのようなメカニズムで機能しているのかは
わかっていません

メカニズムは不明にせよ、この結果は音楽への積極的な取り組みが子供や学生の算数(数学)への苦手意識をある程度緩和するのに役立つことを示唆していると言えるのではないでしょうか

アメリカ・バーモンド大学医学部の研究者によって実施された研究にもこんなものがありますので音楽教育の関連記事としてシェアしておきます

また、お子さんに器楽演奏の教育を行う場合は是非シュタイナーの音楽教育の考え方も参考にしてみてください

さらなる調査に期待

今回はメタ分析の限界点として、対象とした研究の数があまり多くなかったことに加え、男女の性差や家族状況、音楽を習っている期間の長短など、介入後の学習効果に影響を及ぼす可能性のあるその他要因などを詳細に分析するまでには至っていません

チームは今後、これらのことを改善しながら研究を続けていきたいと表明しています

個人的な感想

1人の音楽家として言えることが、音楽という芸術は感受性や感性がすべて
という世間のイメージとは裏腹に
非常に算数的、数学的な感性が必要になることは確かだと思います

音楽家は基本的にこむつかしい話をするのが好きですし
算数や数学が苦手、嫌いといった人と会ったことがありません
普段ふわふわしてる天然ちゃんのように見える女の子でも
コンサートホールの運営や企画でも経費とギャラの計算は超速だったり

また、日常的に算数と切ってもきれない関係です

BPMとは曲のテンポのことですが、BPM=60が四分音符が1秒なんです
こういうのを定義しながら一曲の演奏時間を計算してライブの合計時間を出したり
作曲をするにも西洋式の場合は計算力がどうしても必要になってきます
バッハは数学も天才的だったことは容易に想像できます
そういう意味では音楽と数学(算数)はやはり親密であると言えます

子供時代0点を取ることが当たり前なほど成績の悪かった筆者ですが
音楽は当然として5教科では数学だけ得意で中一ですでに高校数学まで独学でやっていたほどでした

今回の実験はメタ分析としてのデータサンプルや定義に甘さはあるものの
1人の音楽家としても算数の成績向上に音楽教育、音楽学習が有効である可能性が高いと思います
是非子育てや教育の参考にしてみてください

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算数がすき