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万葉集

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記事一覧

和歌・愛と官能の世界へ

「おほならば誰(た)が見むとかもぬばたまの我が黒髪を靡(なび)けて居(を)らむ」 万…

lily
1年前
21

和歌・降り積もる恋心

「沫雪(あわゆき)は千重に降り敷け恋しくの日長きわれは見つつ偲はむ」 万葉集 はらはらと …

lily
1年前
16

和歌・紅葉にあなたを想う

「我が宿にもみつ蝦手(かえるて)見るごとに妹を懸けつつ恋ひぬ日はなし」 万葉集・田村大嬢(た…

lily
1年前
17

和歌・美しい恋涙

「秋萩に置きたる露の風吹きて落つる涙は留(とど)めかねつも」山口女王 秋萩におりた露が 風…

lily
1年前
13

和歌・なでしこのような恋心

「ひさかたの雨は降りしくなでしこが  いや初花(はつはな)に恋しき我が背(せ)」  万葉集巻20…

lily
1年前
15

和歌・火遊びの恋

「月草に衣は摺(す)らむ朝露にぬれての後(のち)は移ろひぬとも」 万葉集・よみ人しらず …

lily
1年前
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和歌・月夜の晩の逢瀬

「み空行く月の光にただ一目相見し人の夢(いめ)にし見ゆる」 万葉集・安都扉娘子(あとのとびらのをとめ) (空を渡る月の光が降り注ぐ中でたった一目逢った人が夢に見えることよ) 月の光が降り注ぐ中、 たった一度だけ 目と目を交わしたあの人。 あの人の澄んだ瞳に 綺麗な月の影が映っていた。 静かにそして熱く 見つめ合ったわたしたち…。 たった一度きりの逢瀬だったのに、 あの人が夢の通い路を通って もう一度わたしに逢い来た。 あの人はわたしのことを 想ってくれているのかし

和歌・海のココロ

「大海(おおわた)の底を深めて結びし妹(いも)が心は疑ひもなし」  万葉集・よみ人しらず …

lily
1年前
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和歌・あなたは知らないわたしの情熱

「夏の野の茂みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものぞ」 万葉集巻8・1500 大伴坂上大嬢 …

lily
1年前
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和歌・花のなかに花

「花ぐはし葦垣越しにただ一目  相見し児ゆゑ千遍(ちたび)嘆きつ」  万葉集巻11・2565 よ…

lily
1年前
7

和歌・女ゴコロをわかって

「まそ鏡磨(と)ぎにし心をゆるしなば  後に言ふとも験(しるし)あらめやも」  万葉集巻4…

lily
1年前
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和歌・早く逢いたい一心で

「この夕(ゆふべ)降り来る雨は彦星のはや漕ぐ舟の櫂(かい)の散りかも」 万葉集巻10・2051…

lily
1年前
10

和歌・忘れたいのに

「忘れ草垣もしみみに植ゑたれど醜(しこ)の醜草なほ恋ひにけり」 万葉集巻12・3062 よみ人し…

lily
1年前
8

和歌・守るべきものがある男は強い

「家にして恋ひつつあらずは汝が佩(は)ける大刀になりても斎(いは)ひてしかも」 万葉集・日下部三中父 息子を防人に送り出す父親の歌。 (家にいて思い続けているのであればいっそのこと、お前が身に着ける太刀になって、お前を守ってやりたい) いとしい息子の身を案ずる父親は、 自らが武器となり立ち向かってでも 命懸けで息子を守ってやりたいと 言葉に力を込めた。 父親の魂が 息子に近づくすべての魔を振り払う 強力な太刀となる。 男には、大切な人を守る強さがある。 守るべきもの