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ヴィッセル神戸 補強診断〜チーム別補強診断#15〜

こんにちは。
Jリーグも開幕してから数ヶ月が経ち、すでに後半戦が始まり、チーム状況を見直しての目標の再設定が行われています。
そこで、「チーム別補強診断」シリーズでは、2022シーズン開幕に向けた各チームの補強に関して、現時点までの成績などを踏まえ評価を行っていきたいと思います。
その上で、各選手の補強診断を『S』から『D』の5段階で評価をし、最後はチーム全体の総括も行おうと考えています。
これまでのシリーズ同様、上位カテゴリーから、北から行います。
第15回となる今回は、ヴィッセル神戸編です。
なお、すべての情報は7月9日時点となるので、ご了承ください。
また、試合出場などのスタッツは、transfermarktを引用します。

補強動向

改めて、今オフのヴィッセル神戸の補強動向を振り返っていきましょう。

なお、この表は以前の記事『2022Jリーグチーム別考察#15 ~ヴィッセル神戸編~』に記載されている表になります。

また、この表に記載されていない移籍情報は以下の通りです。

【IN】
 橋本拳人 ←FCロストフ(特例措置)
 日高光輝 ←相生学院高校(新卒)
 飯野七聖 ←サガン鳥栖(完全移籍)
 ステファン・ムゴシャ ←仁川ユナイテッドFC(完全移籍)

なお、飯野選手、ムゴシャ選手は移籍加入後間もなく、登録もすんでいないので、今回の記事では言及しません。

試合結果

選手個人個人の試合での出場データなどをみる前に、まずはチームとしてのここまでの成績を見ていきましょう。

J1リーグ

ACL

天皇杯

個人スタッツ

それでは、ここからはオフの移籍市場で加入した選手をポジション順に(GKから)見てきましょう。

①坪井湧也(←中央大学)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 ヴィッセル神戸のアカデミーから、中央大学を経て今季より加入したGKで、183cmとGKとしてはかなり小柄な選手ですが、足元の技術に定評のある選手で、後ろから繋ぐサッカーにフィットする選手です。
 現状のヴィッセル神戸では、前川選手と飯倉選手がポジションを争っている構図で、3番手に廣永選手がいる状態です。ですが、前川選手は27歳、飯倉選手は36歳、廣永選手は32歳といわゆる「若手」と言われる年齢層のGKが誰も所属していないのが現状でした。
 ユース出身でもある坪井選手の獲得は、未来の守護神候補としての獲得と言えるでしょう。

考察

 まだ、リーグ戦でのメンバー入りの機会はありません。
 一方で、ACLや天皇杯では出場こそはありませんが、メンバー入りしている試合も複数あり、現状は廣永選手と3番手争いをしていると言えるでしょう。
 残留争いをするなど厳しいチーム状況の中で、出場機会を掴むことは非常に難しいですが、まずは練習からアピールし、カップ戦やACLで安定してメンバー入りを目指していきたいです。

評価

評価は『B』としました。
 元々、「未来の守護神候補」としての獲得ですので、現状出場機会がないということはある種想定内とも言えそうです。一方で、ちょくちょくではありますが、メンバー入りしている試合もあるため、3番手争いを繰り広げていると言えるでしょう。

②槙野智章(←浦和レッズ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季限りで、浦和レッズを契約満了で退団しましたが、出場機会がなかったわけではなく、J1でも十分に通用する力を持った選手であることはわかっています。
 大物を多く獲得する神戸において、槙野選手の獲得は、昨季限りで現役を退いたフェルマーレン選手の穴を埋めるという意味での獲得で、主力候補としての獲得と言えるのではないでしょうか。

考察

 5月14日のJ1リーグ、サガン鳥栖戦において右ヒラメ筋肉離れの負傷を負って離脱期間があったことを踏まえても、なかなか期待値通りの活躍かと言えば難しいところです。
 開幕から4試合連続でスタメン出場を果たしましたが、その後は2試合に一回程度の先発機会になっています。そして、新たに吉田監督が就任して以降はリーグ戦での出場機会がなく、最新節ではベンチ外となるなどなかなか主力候補として獲得された選手としては厳しい現状と言えそうです。

評価

評価は『C』としました。
 主力候補としての獲得した選手としては、なかなか苦戦しているのが現状であると思いますが、それでも多くの試合でメンバー入りしており、『D』評価ではないと考え、『C』評価としました。

③尾崎優成(←ヴィッセル神戸U18)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 ヴィッセル神戸のユースから唯一昇格したDFで、186cmの身長をもち、フィジカルの強さとロングキックの精度の高さに定評のある選手で、ユースではキャプテンマークを巻いていた経験もある選手です。
 ビルドアップ能力に長けた選手であるため、DFとしてだけでなく、アンカーなどとしてもプレーする適性を持った選手と言えます。
 昨季までのDFリーダーである、フェルマーレン選手が退団しており、大崎選手、菊地選手、槙野智章選手と経験豊富な選手もいますが、いずれも生え抜きの選手ではなく、将来的に小林選手と守備陣を形成してほしいという気持ちが見て取れます

考察

 高卒ルーキーでありながら、リーグ戦での2試合やACLでの4試合など多くの試合でメンバー入りしています。なかなか、出場機会にはつながっていませんが、すでに天皇杯では1試合に先発出場しており、控え組の控え的な立ち位置ではありますが、トップチームの中で試合に絡んでいるということは及第点と言えるでしょう。

評価

評価は『B』としました。
 坪井選手同様、将来的な主力候補であり、高卒ルーキーであるため、試合に少しでも絡んできているということは及第点と言えそうです。

④汰木康也(←浦和レッズ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季まで、槙野智章選手と同じくJ1の浦和レッズでプレーしていた選手で、技術的にも優れた選手で、抜群のスピードがあるわけではありませんが、ドリブルに定評のある選手です。
 浦和レッズでは、絶対的な主力になれなかった選手ではありますが、それでも貴重な戦力としてチームの中で欠かせない戦力ではありました。神戸は、サイドハーフの選手が退団したわけではありませんし、明確なサイドハーフをおくシステムではない試合もありますが、攻撃面で今の神戸にいないようなタイプのアタッカーですので、違いを生み出すという意味での獲得と言えるでしょう。

考察

 リーグ開幕当初は、なかなかスタメン出場は果たせませんでしたが、第5節の清水エスパルス戦で今シーズン2回目のスタメン出場を果たすと、その後は第6節の京都サンガ戦、第17節の柏レイソル戦以外ではスタメン出場を果たしており、攻撃面で欠かせない選手になりました。
 リーグ戦では2得点、1アシストとなかなか数字面での結果が出ているわけではありませんが、それでも天皇杯で2アシストするなど徐々に目に見える結果も出てきており、今後のさらなる活躍にも期待したいです。

評価

評価は『A』にしました。
 開幕当初は苦戦している様相もありましたが、最近は攻撃面での軸になっており、期待値以上と言えるのではないでしょうか。そういう面でも『A』評価としました。

⑤扇原貴宏(←横浜Fマリノス)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 昨季までは、横浜Fマリノスで喜田選手と共に中盤の軸として活躍していた選手で、実力は折り紙付きです。今季より、ヴィッセル神戸に新天地を求めました。
 神戸の中盤は3人で務めることが多いですが、そのメンバーはサンペール選手、山口選手、イニエスタ選手といった経験豊富な選手が担っています。しかし、負傷など有事の際に、主力候補のバックアッパーがおらず、扇原選手の獲得はそのような意味での獲得と言えそうです。
 最低でも、「準主力級」の活躍を。そして、理想を言えば、「主力級」の活躍を求められていると言えそうです。

考察

 開幕戦やACLのプレーオフなど、開幕当初はスタメン出場を果たしており、中盤のなかで欠かせない選手として台頭したかに思えました。加えて、サンペール選手が長期離脱をしており、今季絶望という中で、開幕直後だけでなく、シーズンを通じての活躍が期待されました。
 しかしながら、5月の第12節を最後にリーグ戦でのスタメンの機会はなく、出場試合も1試合にとどまっています。橋本選手の契約延長が発表されましたので、より一層厳しい状況にはなりそうで、現状は期待された働きをすることはできていません

評価

評価は『D』としました。
 持っている実力やマリノスで見せていたパフォーマンスを見れば、現段階でのパフォーマンスは期待を大きく裏切るものであると言わざるを得ません。加えて、吉田体制になって以降、ベンチ入りすらできておらず、このまま構想外となってしまうようですと、「獲得失敗」の典型例とも言われてしまいそうです。

⑥橋本拳人(←FCロストフ)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 ロシアがウクライナに侵攻するという国際的に見てもイレギュラーな非人道的行為により、FIFAがロシアクラブでプレーする外国籍選手の契約一時停止を認めたため、FCロストフを退団することになりました。
 移籍先としては、海外クラブの他、ヴィッセル神戸と古巣のFC東京が上がりましたが、実際にはFC東京はオファーを出していなかったそうで、ヴィッセル神戸に特例で入団しました。
 最短で半年という異例の契約でしたが、日本代表経験のある選手でもあり、サンペール選手が負傷離脱というところを踏まえても、サンペール選手の穴を埋めるという意味での獲得と言えるでしょう。

考察

 古巣であるFC東京戦で神戸デビューを果たしますが、その後はベンチ外が続きました。しかし、第16節の札幌戦でスタメン出場するとそこからは6試合連続でスタメン出場しており、神戸の中盤の軸になっています。
 先日には、6月末までであった神戸との契約の延長が発表され、少なくとも今シーズン終了まではヴィッセル神戸でプレーすることになりました。残留を目指すチームの中で、欠かせない存在になっています。

評価

評価は『B』としました。
 特例措置での加入ということや、契約終了時期云々など本当に異例の契約であり、加入当初はなかなか出場機会をつかめませんでしたが、最近は出場時間を大きく伸ばしています。
 一方で、特例での加入という面も踏まえて、評価を『B』にしました。

⑦日高光輝(←相生学院高校)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 相生学院高校の一期生として活躍した日高選手は高卒ルーキーとしては異例の4月1日に加入が発表されました。
 インテンシティが高く、ボール奪取に優れるミッドフィルダーであり、ボランチを本職とする選手です。
 あまり、情報が多い選手ではありませんが、未来のレギュラーになる可能性のある選手であるとは思います。

考察

 加入内定が遅かったこともあり、リーグ戦での登録も第6節でした。ここまでに、リーグ戦、天皇杯など国内のコンペティションでのメンバー入りはありませんが、それでもACLでは3試合に出場するなど、高卒一年目としては非常に良い結果を示していると言えそうです。

評価

評価は『A』としました。
 加入発表が遅い高卒ルーキーということもあり、なかなか一年目は試合に絡むことができないと思っていましたが、ACLでは3試合に出場するなど、ある程度の結果は残していると言えます。

⑧藤本憲明(←清水エスパルス)

試合スタッツ

・Jリーグ

・ACL

・天皇杯

獲得理由

そもそもの獲得理由を考察していきたいと思います。

 大分トリニータでエースとして活躍した藤本選手は、神戸に加入しましたが、厚い選手層の中でなかなか出場機会を得ることができず、昨季後半戦は清水エスパルスに期限付き移籍していました。
 今期に向けては、清水エスパルスより期限付き移籍期間満了により復帰したという形になります。

考察

 Jリーグ第3節で初めてベンチ入りをすると、途中出場しますが、負傷を負ってしまいました。
 その後は、負傷離脱をしており試合に絡むことはできていません。

評価

評価は『D』としました。
 負傷離脱と止むを得ない状況ではありますが、それでも公式戦1試合のみにとどまっているということは、なかなか厳しい状態と言えます。

全体評価

それでは、全選手の評価を振り返っていきましょう。

坪井湧也 B
槙野智章 C
尾崎優成 B
汰木康也 A
扇原貴宏 D
橋本拳人 B
日高光輝 A
藤本憲明 D

以上のことを踏まえた総合評価は以下のとおりです。

全体評価は「C」としました。
 J1での実績のある選手を多く獲得はしていますが、なかなかチームとしての結果には結びついていません。なかなか試合に絡んでいない選手もいるので、やはり「名前」よりもチーム戦術にどの程度フィットするかを考えた獲得ができるかが今後の鍵となりそうです。

最後に

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