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人生を豊かにする中国古典の名言

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「人生を豊かにする中国古典の名言」シリーズをまとめたマガジンです。 朝晩の通勤時や隙間時間の学びにどうぞ。
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記事一覧

人生を豊かにする中国古典の名言#61

【今日の名言】 思い人は遥か遠くの地。私の思いを届けようとするこの一通の手紙は、千金にも値する大切なものだ、という意味。 「はるか遠くの地に出征している夫に手紙を送ろうとする妻」を題材にしています。 送り手の切ない想いがひしひしと伝わってきますね。 昔の時代は、言葉一つを伝えることさえ、とても大変なことでした。 筆記具や手紙自体も高価ですし、そもそも文字が書けない人の場合は代筆を頼まなければなりません。 苦労して手紙を書いたとしても、その手紙がきちんと相手に届くか

人生を豊かにする中国古典の名言#60

【今日の名言】 控えめにしていれば失敗することは滅多にない、という意味。 「約」には「控えめ」という意味があります。 お金や物を無駄遣いしないように努めること、という熟語である「倹約」は、まさに「約」が「控えめ」の意味で用いられている一例です。 しかし、今回の言葉で孔子が言いたいのは、もっと根本的な「人としてのあり方」の部分になります。 つまり、人として謙虚でありなさい、ということですね。 身の回りで良いことがあったり、仕事で大きな成功を収めたりすると、ついつい自

人生を豊かにする中国古典の名言#58

【今日の名言】 先生の目指す道は真心と思いやりに他ならない、という意味。 師匠である孔子の在り方について、弟子の曾子(そうし)が語った言葉になります。 「忠恕」について、もう少し詳しく見ていきましょう。 「名は体を表す」と言う通り、「忠」は「心の真ん中」を表します。 自分の心の真ん中にある素直な気持ち、つまりは「真心」ですね。 そして、「恕」は「相手の立場で親身に物事を考える」ということ。 分かりやすくいえば「思いやり」です。 ここで、 「仁も思いやりという

人生を豊かにする中国古典の名言#57

【今日の名言】 楽しみにしていることは、時期を逃さないように今すぐやるべきだ、どうして来年を待っていられようか、という意味。 楽しみにしていることは「いつかやろう」と思うのではなく、今すぐやりなさい、ということですね。 投稿時点では2月も半ばになり、年度末が近づいています。 会社では年度末に向けた諸々の対応で忙しくなるでしょうし、確定申告をする方はそちらの対応もあって、この時期はなかなか大変ですよね。 かくいう私も、ここ1~2週間は予想以上にバタバタしてしまい、気づ

人生を豊かにする中国古典の名言#56

【今日の名言】 優れた人を見たら「あの人のようになりたい」と考え、良くない人を見たら「自分はどうだろう」と振り返りなさい、という意味。 孔子先生の教えです。 他人と自分を比較するのではなく、他人を見て自分の行動の糧にしなさい、ということですね。 私は他人と比較してネガティブになりがちです。 自分にはない強みを持つ人を見ると、その人の行動と自分の行動を比べて、「自分はダメだなぁ……」と落ち込んでしまいます。 逆に、他人に強く当たる人や心無い言葉を使う人を見た時には、

人生を豊かにする中国古典の名言#55

【今日の名言】 徳のある人は財産を使って自分を向上させようとし、徳の無い人は自分の身を犠牲にしてでも財産を得ようとする、という意味。 お金の使い方に関する話ですね。 つまり、お金を得ることを目的とするのではなく、手段として使いなさい、ということですね。 ここでおすすめしている使い方は、「身を発す」ものに使うこと。 つまり、自分自身を向上させるものに使う、ということです。 要は自己投資ですね。 自己投資と聞くと、何か資格を取ったり、ビジネス書や難しい本を読んで勉強

人生を豊かにする中国古典の名言#54

【今日の名言】 自分を認めてくれる人がいないことなんて気にせず、まずは人に認められるような実績をつくるように努力しなさい、という意味。 孔子は、人として正しくあろうと努力を続けていれば、他人からの評価は後からついてくると信じていました。 これは孔子自身の実体験に基づくものです。 孔子は「仁の考えを世の中に広げたい」という理想を持ちつつも、なかなか国家に就職する機会に恵まれず、長年各地を転々とする生活を送っていました。 春秋時代は戦乱の時代。 親兄弟で争うことも珍し

人生を豊かにする中国古典の名言#53

【今日の名言】 満足することを知っている人は、本当の意味で裕福な人である、という意味。 物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさの大切さを語った言葉です。 つまり、自分が今持っているものを大切にし、その状態に満足することで、毎日が明るく幸せなものになる、ということですね。 日々生きていると、さまざまな場面で嫉妬や羨望を感じることがあります。 「あの人は何でも持っていて羨ましい……」 「あの人が投稿すると数万件もいいねがつくのに、自分はさっぱりだ……」 そんなふうに感

人生を豊かにする中国古典の名言#52

【今日の名言】 直訳としては、弓道は的をどれだけ射抜けるかを競うのではない、射手の持って生まれた腕力が同じではないからである、という意味。 孔子よりも古い時代から伝わっていたと考えられている言葉になります。 孔子の時代におけることわざのようなものなので、単純に弓道のあり方について語っているわけではありません。 弓道は的を射抜くスポーツではなく、弓道を通じて精神面を育てることを大切にしています。 つまり、結果ではなく、物事に取り組む姿勢が大事ということです。 記事投

人生を豊かにする中国古典の名言#51

【今日の名言】 自分の心を徹底的に虚しくしていけば、心の静けさをよく守ることができる、という意味。 心を虚しくするとは、「虚心」になるということ。 つまり、執着を捨てて素直になるよう徹底すれば、心の平穏を守ることができるということです。 「執着」というと色々あるかと思いますが、一番わかりやすいのは「期待」でしょう。 期待するのは決して悪いことではありませんが、一歩間違うと自分を苦しめる悪魔のような存在に変貌してしまいます。 例えば、自分への期待が大きすぎると、物事

人生を豊かにする中国古典の名言#50

【今日の名言】 身近なところから学んで、次第により深い道理にまで達する、という意味。 晩年の孔子が、自らの在り方について述べた言葉になります。 つまり、 いきなり難しいことから学び始めたのではなく、身近にある簡単なことから学びを進めていったからこそ、より教養を深めることができた ということですね。 晩年の孔子は、自分の夢や志が実現されるのを諦めていた節があります。 礼や政治、歴史に人材育成など、ありとあらゆることに詳しかった孔子ですが、最後まで、彼の夢である「仁

人生を豊かにする中国古典の名言49

【今日の名言】 よもぎが生い茂って大地を覆うように、あなたの心も雑念に覆われてしまっているのだ、という意味。 心が雑念に覆われて凝り固まっている状態のことを「蓬心(ほうしん)」といいますが、その出典はこれです。 ここでは、固定観念にとらわれている人に向けたアドバイスとして語られています。 つまり、よもぎが生い茂るようにあなたの心は覆われてしまっていて、視野が狭くなっている。もっと固定観念を捨てて、素の心で物事を見なさい、ということですね。 雑念に囚われて頭の中がごち

人生を豊かにする中国古典の名言48

【今日の名言】 自分のことを知るのが真の知者であり、自分のことを愛するのが真の仁者である、という意味。 今回は知者について書こうかなと思います。 『孫子』には「彼れを知り己れを知れば、百戦殆うからず」という有名な言葉があります。 相手のことだけではなく、自分のことを知ることが大事なのだ、という意味ですが、まさしくこれは知者の考え方ですよね。 孔子や荀子も、同様に「自分自身を知ること」に一定の価値を置いていました。 例えば、孔子が大切にしていた価値観の一つである「忠

人生を豊かにする中国古典の名言47

【今日の名言】 宝玉を切り出して、さらに形を整えたり、宝石を打って形作り、さらに磨き上げていくかのように、努力に努力を重ねて自分自身を高めていく、という意味。 「切磋琢磨」という四字熟語の語源ですね。 現代では「仲間やライバルと競い合って、お互いを高めていく」といった意味合いで使われることが多いのですが、元々は「懸命に努力して、自分自身をより高めていく」という意味合いでした。 誰かと切磋琢磨するのも良いのですが、その場合はネガティブな比較に陥らないように気を付けなけれ