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小さな満足を積み重ねると毎日を生きやすくなる(『老子』三十二章)

今回取り上げるのは『老子』三十二章からの言葉。

止まるを知るは、殆うからざる所以なり
(読み:トドまるをシるは、アヤうからざるユエンなり)

『老子』三十二章

止まることをわきまえていれば、それによって危険から逃れることができるのである、という意味。

つまり、自分の身を大事にしたいのであれば、欲望を抑えて満足することを心がけなさい、ということですね。


人間は何らかの欲望に従って行動しています。

欲望は大きなエネルギーとなりますが、一方で比較や嫉妬の原因にもなりがちです。

  • もっと成長したい!
    → あの人と比べて自分は全然ダメだな・・・

  • もっと有名になりたい!
    → あの人ばっかりチヤホヤされてずるい・・・

こういったマイナスの感情はメンタルに悪影響を与えてしまいます。

他の人と比較して自己肯定感が低下したり、他の人を妬んでストレスが溜まったり。

場合によっては健康を崩してしまうかもしれません。

SNSなどはその傾向が顕著だと思います。

誰もが自分の良いところを前面に押し出してくるので、右を見ても左を見ても「すごい人」ばかりに見えてしまいます。

実際にはみなさん裏でものすごい努力をされているのだと思いますが、SNSで発信する際は結果だけしか見えてきません。

そのため、

「あの人はアッサリ目標を達成しているのに、自分は全然ダメだなぁ…」
「なんであの人だけフォロワーが増えるの!?」

といった感じで負の感情に支配されてしまいます。

特に私は他人と比較して一人で落ち込みがちです・・・。

こうなってしまっては、周囲のことばかりが気になってしまい、正しく努力を続けることも難しくなってくるでしょう。

それを避けるためには、自分の欲望を抑えて満足することが大事です。

いきなり難しいことをしようとしたり、大きな成長を望んだりしてはいけません。


スキルを身につけたり、自己研鑽して成長をするためには、ある程度の時間が必要です。

他人と比較して高望みをするのではなく、昨日の自分と比較して一歩でも成長できているかどうかを考えてみましょう。


小さな成長に気づいて満足することができれば、毎日がもっと生きやすくなります。

大きな欲望は抑えて、小さな一歩を続けていきましょう。

止まるを知るは、殆うからざる所以なり
(読み:トドまるをシるは、アヤうからざるユエンなり)

『老子』三十二章

自分の身を大事にしたいのであれば、欲望を抑えて満足することを心がけなさい、という言葉。

小さな成長に満足することができるようになれば、あとはそれを積み重ねていくだけです。

毎日少しでも成長できていると実感できれば、日々を前向きに過ごせるようになります。

小さな満足感が、きっと大きな充実感につながっていくと思うのです。


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