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育児本を料理本のように読んだら、子育てが楽しくなるかも

娘が1歳くらいになったとき、母から一冊の本が送られてきました。
母が子育て中に買った本で、私に譲るというのです。

トマス・ゴードン著「親業」
(現在販売されているものより古く、読みにくい。)

内容が素晴らし過ぎて、やってもみないうちから私には出来なそうと思いましたし、そんな自分を不甲斐なく思いました。

子育て相談員になる前は、自分でも育児本を何冊か買って読みました。
子育ての参考になることが書いてあるのに、書いてあるようにならないストレス、書いてあるようにできないストレス、そして、書いてあるようにしなければいけないと思い込んだストレスで、読むほどに子育てを楽しめていないことに気付きました。

そこで、もっと私らしく楽しく子育てをするために、育児本を料理本の感覚で読もうと決めました。

私が持っている料理本。
煮物、お弁当、100円で作れるおかずの本。
電子レンジやフライパンを買ったときに付いてきた本。
スイーツ、パンの本。

料理本に載っているすべての料理を作ってみたいと思ったことがありませんし、私のレパートリーには同じような料理がありますが、レシピ通りに作る料理は一つもありません。

美味しそうだなと思う料理があれば、そのレシピを参考に、自分がもっと美味しいと感じる味付けや調理法にしたり、いかに手を抜いて作るか工夫をするからです。
スイーツやパンなら、小麦粉やベーキングパウダー、イーストなどはレシピ通りの方が良いけれど、砂糖やバターは自分の好みである程度の量なら変えてもいいんだなと分かってきます。

育児本も、そういう感覚で読もう。
子どもにとって良いとされること、子どもとの関わりで必要なこと、子育てで大切なこと、いっぱいあるけれど、自分がやりたいと思わないものは苦痛になるし、自分の柄にもないことは続かない。
参考にはするけれど、自分のやり方で工夫すればいい。

そう思ってから、気持ちが楽になりました。
育児本では良くないと書いてあっても、工夫したらデメリットより、メリットが多いかもと考えてやったこともあります。

子育て相談でも、育児本に書いてあるとおりにならず、悩んで相談をしてくるケースがあります。
子どもは一人一人違うので、すべて育児本どおりになる方が奇跡だと思います。
知識として知っておくことは大切ですが、知識の取捨選択とアレンジをして、自分の子どもに合っている方法、自分らしく子育てができる方法を見つけた方が、子育ては楽しいのではないかなと思います。


母から譲り受けた「親業」の本。
走り書きのメモが挟んであったり、大事だと思った文章には線が引かれてあり、母なりに参考にして子育てをしたのだろうと感じました。
それなのに、あの子育てか・・・と内心思いましたが、本を読んでいなかったら、もっと悲惨だったかもしれないと思うと、「親業」という本に感謝します。


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息子と大学進学について話すとき、言葉に気を付けながら、こんなことを言いました。
「親としては大学に行って欲しいと思うけれど、決めるのはあなただからね。どんな判断をしても応援をするよ。それが本心だから、私の思いを負担に感じて、大学に行かないとだめなのかと思わなくていいからね。高校卒業後の進路は、大学だけじゃないから。」

親としての考えは伝えられたし、息子が自分で選択すればいいと分かってくれただろう。
そう思っていたのですが、こんなことを言われました。

「良い親が言いそうな、ありきたりな事を言わないでくれる?そんなの分かってるし。」

反抗期なので、何かしら言われるかなとは思っていましたが、「良い親が言いそうな」と言われて、とても恥ずかしかったことを覚えています。

実は、息子の高校の保護者会で、子どもと進路について話すときに気を付けた方が良いことや言葉かけを聞いてきた後なのです。
それを参考にし過ぎた私を見透かされたようで、いたたまれない気持ちになりました。

でも、気付かれたくない私は、こう言いました。
「良い親が言いそうって、よく分かったね。さすが子育て相談員の息子。」
敢えて子育て相談員をしている親として言ってみたよという無駄なアピールをしてごまかしたのでした。

本に書いてあったからやってみた、良いと言われているからやってみたなど、子育てにおいては、他に頼り過ぎた考えでいると、子どもに気付かれ、頼りない親だと思われるリスクがあるかもしれないので、親自身の考えに反映させる作業を忘れないようにしなけれないけませんね。

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