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業務改善しているのに楽になった感覚がない理由

仕事を「楽にする」という思考


現代社会で働いている人たちのどれくらいが「生産性」というものを意識してるのかは分からないが、とりえあず昨今の流行り文句は「生産性の向上」とされている。

何をもって生産性の向上とするのかは業種や職場によって異なるだろうが、業務効率化や簡便化、あるいは時短化といったプロセスを要することは確実である。

このような取り組みはいつの時代も行われているが、要は「今やっている仕事を楽にしようよ」ということだと思う。

現状を楽にして余裕を持つことがポイントになる。

例えば、かつては紙に1つ1つ手書きで書いていた作業を、今ではパソコンで文書作成したり、スマホのようなデバイスで処理することができる。

人間が手でやっていたことを,機械やデジタルツールによって簡便化しているわけだ。

別に機械化やデジタル化しなくても、1つ1つ文章を書いていたことをチェック項目にすることだって1つの改善である。

大切なのは「方法」よりも「あり方」なのだ。


新しい問題はどんどん出てくる


さて、このような取り組みを推進していくと、見直した業務体制に対して最初は違和感を抱いても、慣れるにしたがって仕事は楽になっていく。

もちろん、一部からは「前のほうが良かった」という不満も出るだろうが、本質的な改題解決になっているのならば、そのような意見も徐々に減っていくと思われる。

しかし、改善に向け着実に進んでいるのに、業務全体として楽になった感覚を得られないことがある。

これはなぜだろうか?

まず、「新しい問題がどんどん出てくるから」という事実がある。

仕事に限らず、生きていれば色々な問題が浮上する。

1つの問題が解消されたと思ったら、また違うところから問題が出てくる。

少年マンガのように強敵を倒して平和が訪れたと思ったら、さらなる強敵が現れたというような感じだ。

いや、現実において問題というものは、順を追って現れてくれない。1つの問題を解決している最中に、新しい問題が次々と現れてくるのが普通だ。

ときには対応しきれなくなってテンパってしまうこともある。

「諸行無常」という言葉もあるように、世の中は常に変化している。

1つ1つの業務整理をしつつ、新たなる強敵(問題)が現れるという現実を
受け入れておいたほうが良いかもしれない。


気づかなかった問題に気づいてしまう


上記でもお伝えしたように、業務改善によって楽になることの意義は余裕を持てるようになることだ。

余裕をもつことができると新しいアイディアも出やすくなるし、定時で帰ることで心身をリラックスすることもできる。

余裕が出ることで視点が変わる。
余裕が出ることで視野が広がる。

すると、余裕のなかった日々では気づけなかった問題に気づいてしまうことがある。

今まで当たり前に使っていた社内システムの脆弱性に気づいてしまったり、備品や消耗品が必要以上に購入されて廃棄につながっていたり、同僚が実はサボっていた・・・など割と身近な問題が目についてしまうわけだ。

このような気づきは、余裕が出てきた証拠である。

しかし、気づかなかった頃には戻れない。健全な社会人であれば上司に報告して対処に努めるのが社会人というものだ。

新しくやることは増えてしまったが、その問題に気づいたことにより将来的に大きなトラブルを避けられるという意味では、楽をしていると言える。


楽になることを拒んでいる


あとは、もはや個人の問題になってしまう。

職場全体で生産性の向上や業務負担の軽減などを目指すものの、それを何となく良しとしない人は少なからずいる。

実際、業務負担を減らすと「自分がサボって見られたらどうしよう」と不安になる人がいる。

これは余裕をもつことのメリットを実感できない段階に多く、これまでのようにたくさんの量の仕事をすることに価値を置いているために起こる心理状態と思われる。

「楽をすることはいけない」「人より働くことで認められよう」という昔ながらの考えを持っている人にとっては、楽をすることは苦痛なのだ。

そのため、楽になること、余裕をもつことを拒む姿勢になる。

そこで終れば良いのだが、せっかく業務改善をしたのに、わざわざ時間がかかる回り道な方法で作業をしたり、機械やデジタルツールを用いずに手作業で仕事をしたり、優先度が低い雑務を持ち込んだりする。

例えば、ちょっとした情報を確認するときに、社内システムで検索すれば見ることができる内容をいちいち印刷したり、クラウド上でデータ管理されているのに保管するためだけに何枚も印刷してファイリングしたり・・・と客観的に見れば合理性に欠けることをする。

それは自分が仕事をしている実感を、作業量や物理的に触れることができるもので得たいからだろう。


――― 業務改善をしても楽になった感覚がないならば、いっそ改善なんてしないほうが良いと思われるかもしれないが、それは大きな間違いである。

今までやっていることを見直す機会がないと、外からの問題はどんどん出てくるし、気づけなかった問題は大きなトラブルに発展するし、仕事の本質的な価値よりも量をこなすことに重きをおく働き方になってしまう。

要は、業務も働き方も、何もしないと大変なことになるというだけの話だ。

定期業務もあるのに生産性の向上だの業務改善だのと、面倒だと思われるかもしれない。

しかし、これらは将来の自分の仕事や職場にとっての先行投資と考えてみれば有意義になると考えていただければ幸いである。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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