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朝のルーティーン 第1089話・1.25

「今日は休日だけど出かけるのやめておこう」外は天気がよさそうだ。だが今はベッドに横たわったままの現状である。外はおろか家の中の寝室の外にも出たくはない。それどころではないベッドそのものから出たくないのだ。

「持ってきておいてよかった」枕元にスマホがある。いつもスマホを枕元に置いて充電しておく。そして朝いつも見る。いつも見るところは大体決まっているおよそ10分のルーティーンだ。いつもならこの後起き上がって服を着替えるだろう。だが今日はできない。とにかくベッドがから出たくないのだ。

「やっぱり寒そう。もう一度ベッドから窓を見た。ベッドの位置から窓の外が見える。普段はカーテンをしているが、今はカーテンが開いていた。「トイレだけは起きないと」が理由である。不思議なことだがいつも決まって明け方にトイレに行きたくなり起き上がった。トイレに関してはさすがにいくら起き上がりたくなくても起き上がりざるを得ない。いつも膀胱の部分だけがトイレに移動して、勝手に用を足してくれればと思うが、それは現実的にあり得ない話。

そのときだけは起き上がって、そのときにカーテンを開ける。そうすれば太陽が上がると日光が窓を通じて入り込んできた。おかげでその光で目覚めることが多い。
「いつもは出かけないといけないだから起きるのだ」そう平日は寝ていられないから時間になれば起き上がる。当たり前の話であるが起き上がれば、洗面所に向かい、服を着替え、朝の身支度を整えた。こうして目的に向かって出かけていく。たとえ雨が降ろうが雪が降ろうが、どんな気温であってもだ。

「でも、休みだからなあ」休みという言葉に悪魔がささやくのか起き上がれずベッドに横たわったまま。こうして動けないまま時間が過ぎる。寝室には時計があるが、時計の針は動く。しかし体は動かない。やっぱりベッドから起きれないのだ。

こうしてベッドにくるまったまま。自らの体温で十分に温かくなっている布団と毛布から抜け出せないでいる自分がある。ではこのまま昼過ぎまで眠るのか。今週はそうなりそうな気がした。とにかく外は寒い。

「ダメ!やっぱりだめだ」あれから5分が経過した。突然嫌悪感が襲ってきている。今日は休日だからベッドから出る必要はない。必要ないがどうしてもこの行為に対する嫌な気持ちが襲ってくる。その背景にはちょうど1年前の事があった。あの日も休みの日が寒く、同じようにベッドから出られないでいたのだ。そして「休みだからいいや」とそのまま横たわる。気が付いたら眠っていたのかもしれない。起きて時計を見ると確実に時が過ぎているのがわかった。
「え、もう16時!」それまでは寝て起きての繰り返しだが、時計の針が4を指そうしているそのときに、突然の後悔が頭をよぎった。
「この休み死んじゃったか。ああ!」ようやく得た休みがあっという間に溶けてしまったのだ。午後4時を過ぎれば間もなく暗くなる。休日なのに、結果的に夜だけすごすのなら平日と同じではないか!

「あの時のような失敗だけは!」そのときの嫌な思い出が頭をよぎると、それまで感じていた「出たくない」が瞬時に吹っ飛んだ。勢いよく布団を持ち上げて反対側に倒した。時計を見る。「午前10時前、まだ午前中だ」それを見て胸をなでおろした。そのまま起き上がると、無心に洗面所に行き、その後服を着る。あれだけ起きるという行為を嫌がっていたのに全く真逆的なことをし始めているのだ。

 こうして服を着た後、朝の身支度を整えた。平日の時と同じ朝のルーティーンを終えると、寝室を出てダイニングに向かう。「いつもなら時間との格闘だけど」とつぶやきながら朝食の準備をする。これももちろん平日と同じ朝のルーティーンだが、いつもと違うのはゆとりがあった。ゆっくりと朝食の準備ができるのだ。

 いつもの倍の時間をかけて朝食の準備ができた。いつもならトーストに、バターかジャムを塗って、それを食べるだけの朝食だがこの日は違う。パンに加えてスープとサラダを付け加えた。スープと言ってもインスタントのコーンスープだし、サラダも適当に生野菜をちぎるように細かくしたものに、冷蔵庫に入ってあったドレッシングを上からかけただけであるが...…。

 こうして朝食を食べた。食べる速度も平日と休日とでは3倍くらいの時間の差はあるだろう。だけど朝のルーティーンであることには変わりがない。
「天気がいいな。やっぱり出かけよう」朝食が終わって窓を見る。朝ベッドの上ではとても出たいと思わなかったのに、起き上がって身支度を整えて朝食を食べたら外に出たくなった。

「一年前のような失敗はしない。さて出かけよう」そう心に呟いて玄関にむかう。「一年前の失敗は今年の成功かな」そんなことを思いながら、玄関のドアを開けた。


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