1日限定 呼子の住人になる旅 第二話 ~ 佐賀県
呼子に朝がやってきました。
朝食を食べる前に、海にあいさつをしに行こう。
おはよう。
そして─
プレートにのっているパンはホカホカで、サンドできるようにカットされている。そのパンを開けるとホワッと湯気が上がる。オーナーが仕掛ける何気ないパフォーマンスに思わず口元がほころぶ。
ゆっくり時間をかけてとる朝食は、小さなことにもきちんと気づくことができて楽しい。自然とオーナーとの会話も弾む。
でも大丈夫。今日の私は呼子の住人。
時間は気にしなくていい。
─────
ごちそうさま。
さぁ、身支度をして出掛けよう。
いってきます。
まずは呼子朝市から
さっそく、すごいものに出会う。
食べたい!自転車を停めて 「おばちゃん!ウニちょーだい」 素が出てめちゃ大阪弁になる。おばちゃんに『関西から来たと?』とすぐにバレた。
今から呼子大橋を渡って加部島に行く話しをしたら、暑いから気をつけてと見送ってくれた。
おばちゃん ありがとう。いってきます。
私がペダルを踏むたびに出会うこの町の人たちは、みんな明るくて優しい。
途中、ラジオ体操をしていたおじさんも通りすがりの私に『おはよう。熱中症に気をつけて』と声をかけてくれた。
ありがとうございます。いってきます。
何回でも言いたい。
呼子の方々とあいさつを交わせる喜びを噛みしめながら自転車を走らせる。
しばらく坂道が続く。右手眼下に広がる小さな呼子港を見ながら走って行く。
今から行くのは、“加部島の一本道” と呼ばれている道。
そして “活魚料理かべしま” でお昼ご飯。
その後は島の北側先端 “杉ノ原牧場” へ。
上の地図の白い真っ直ぐの道、これが 加部島の一本道。
─────
呼子大橋を渡り終えるとすぐに、かなりの坂道がお出迎え。
途中、神社の鳥居に手を合わせファイトをもらう。
このような道が続くと眺めもなく、アシストが付いていても正直きつい。
勾配を抜けたら自転車ならではの緩やかなスピードの中、ふわーっと肌にあたる風と共に目に飛び込んでくる一面に広がる風景。
この瞬間があるからやめられないのだと思う。最高なんです。この時が。
アップダウンがあるけど、風を感じながらこの道を走り抜けるのは最高に気持ちよかった。
両脇には田んぼや畑が広がるこの道は農道。ここに住む人達の大事な一本道。
走り抜けたあとは、かべしまへ。
こちらでもイカを食べる。3年越し、夏の呼子のイカ。私の脳内はイカでいっぱい。
美味しさは言うまでもありません。
─────
再び自転車を走らせ、続く坂道を相棒と共に乗り越える。
そしてここが 杉ノ原牧場(展望台)
このあたり一帯は牛が放牧されているのだけど、この日はいなかった。暑かったからね。牛さんもこんな日は外に出ないのかも。
島の端っこにたどり着いたことを身体いっぱに感じることができる場所。少し残念なのは、大きな電波塔みたいなものが建っている。仕方ないけど。
─────
ちょうど太陽が真上。ちょっとバテてきた。
帰りも加部島の一本道を走り抜ける。
この道は何度走っても飽きないだろう。
本当はこの後も加部島を回るつもりだった。でも、ちょっと暑すぎる。無理はやめて戻ろう。
呼子大橋の下にある弁天遊歩道に寄り道してから百と十に帰ってきてエアコンの効いた部屋でひと休み。
そして、しばらくしてまた相棒と出掛けた。
そうだ、イカ丸まだ乗れるかな?見に行ってみよう。
イカ丸も2回目の乗船。七ツ釜まで連れて行ってくれる。
1年前は台風後で波が高くスリリングなイカ丸だったけど、今回は全くそんなことなく七ツ釜を満喫。海も透き通っていてぜんぜん違う表情だった。
─────
疲れた身体を癒しに呼子台場の湯へ。
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温泉に浸かりたっぷり癒されたあと、呼子はさらにこんなご褒美をくれました。
呼子の住人になれた今日に最高の夕焼けをプレゼントしてもらった。
ありがとう。
また明日。おやすみなさい。
くろしお
最終話はこちら
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