見出し画像

原発と原爆の驚きの違い

職場の人と、福島原発が未だに発し続けている放射能の問題について話をしていたらこんなことを言われた。

「そんなに怖がることないって、広島も原爆落とされたけど翌年からすぐ復興始めたじゃん。放射能の影響なんて大したことないんだって」

広島県民、特に平和学習を熱心に受けた人に限って、「被爆後の広島には75年間、草木も生えないと言われていたが、被爆の翌年には多くの緑がヒロシマを包みこんでいた」という美談を信じ、放射能の影響を軽視する傾向にあるのではないかと思う。実際、広島の原爆は上空570mで爆発したため、気化した分裂片(放射性物質)の殆どは上昇気流で成層圏付近まで舞い上がり、そのおかげで広島市は大量汚染を免れたと言われている。その一方、原発事故は地上でジワジワ、だ。

そんなこんなで、モヤモヤしていたので、帰って原爆と原発の違いについて調べてみた。すると、驚きの違いが分かった。

核物質の量の違い

原爆も原発も、原理は同じで、原子核に中性子を当てた時の核分裂の際に生じる熱エネルギーを利用しているということらしい。一方、原爆は核分裂の反応を制御せずに、瞬時に100パーセントのエネルギーを発生させるが、原発は原子炉で核分裂の反応を制御しながら熱を継続的に出し続け、それを発電機でエネルギーに変えていく。

原爆は一瞬だが、原発は継続的。つまり、原爆の場合は核物質の量を被害を与えたい範囲の分だけ入れておけばいいのだが、原発は継続的に核物質を使用するため核物質をたくさん入れておく必要があるということだ。

そこで使用されている核物質の量を調べると、広島の原爆はウランを800gに対して、原発一基は1年あたり濃縮ウランを21トン使用している。これは原爆の約2千600万倍だ。

東京電力福島第一原子力発電所事故と、広島に投下された原子爆弾で大気中に放出された放射性物質の量をまとめた資料によると、原発事故の放射量はセシウムが原爆の169倍、ヨウ素が2,5倍にあたるとのことだ。

全然量が違うやんけ!!

起こる障害の違い

起こる障害の違いだが、原爆では爆心地に近い人は一度に大量の放射線を浴びることによる急性障害を起こし、短期間で死亡する人も少なくないという。一方、原発事故の場合、放射能を長期にわたって浴び被曝することで、白血病、がんなどを発病したり免疫力が低下するなどの障害が起こる。原爆に比べて原発のほうは慢性的であり、地味で気付きにくい。統計をとっていくと放射能による影響が分かってくるはずだが、なぜかそのような事実は公表されていない。

セシウムの半減期は約30年であり、いまだ福島を中心とした土壌や海域、生体に残っていると考えられる。セシウムについて調べると、「人の体からセシウムが排出されるまでの期間は平均70日であり、その間に体内で内部被曝を起こす」とある。いかに水溶性とはいえ、原発事故で放出されたセシウムの量は原爆の169倍だ。人体に無害なわけがない。

事実、チェルノブイリ原子力発電所事故後に、作業員や近くの住民などを調べた結果、セシウムによる内部被曝で胸腺が破壊され、免疫力が激減していたとある。

原発事故から10年以上経ったいま

原発事故から10年経った今でも、放射性物質の閉じ込めは完全にはできておらず、原発は放射能を放出し続けているのに、なぜ日本では福島の産品を食べて応援したりするのだろうか。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故でさえ、現在まで半径30キロ以内の居住は禁止されているというのに。ちなみに半径30キロは東京で見てみるとこのくらい。

画像1

んー、日本政府はなにを持って安全だと言っているのだろうか。その裏に怪しい思惑があると思わざるを得ない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?