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#511 部長の仕事を3人で分ける!?

日経新聞で『日揮、3人で分ける「部長職」』という記事を読んで思ったことを、メモ。

1、どんな記事?

10月27日付日経新聞14面に掲載されていた記事で、日揮ホールディングが部長の役割を以下のように再定義した、という記事です。

☑️ 部長①:中長期ビジョンを実行するリーダーに徹する
☑️ 部長②:プロジェクト管理(進行中の各プロジェクトの管理と人材配置)
☑️ 部長③:人材育成(部員の育成やキャリア開発)

部長①を部長、部長②をPCM(プロジェクトコーディネーションマネージャー)、部長③をCDM(キャリアディベロップメントマネージャー)と呼ぶそうです。

背景としては、従来1人で部長が担っていた、日々の業務の舵取り、人材管理統括、は、人材や予算の管理といった「マネージャー」の比重が大きかったものの、事業環境の変化も激しく、新しくビジョンを描く「リーダー」としての負荷が拡大する一方、事業転換を担っていく若手や中堅の人材育成も重要性が増していたことがあるとのことです。

同社の最高人事責任者は「一人に全ておんぶにだっこでは、部長がつぶれるという危機感を持った」と話しています。

成果としてはまず育成面で出ており、CDMが部員に対してマンツーマンで中長期のキャリア希望に耳を傾け、必要なスキルや経験を助言することで、部員のキャリア希望を一元的に把握し、長期の人材計画を立てやすくなった、とのことです。

また、プロジェクト管理でも、どうしてもベテランに偏りがちになっていた配置を、育成も兼ね、若手の抜擢も行われるようになった、とのことです。

結果として、部員の8−9割が新しい制度を評価しており、良い効果が出ているようです。


2、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

確かに、部長の仕事は幅が広くなっています。
特に日揮の場合、記事によると部長の所管する部員が約120名と、そりゃ一人じゃ無理でしょ、という規模ですので、一人ひとりの育成、キャリア希望などまではとても手が回らないことは容易に想像できます。

回っていない上司を見ていれば、部下は「あんな大変なことはやりなくない、できない」となるでしょう。

実際、パーソル研究所の調査によれば、若手で管理職になりたいという割合は30.7%だったのに対して、なりやくないという割合は48.8%と約半数にもなっています。


こうしたアンケート結果を見て「最近の若い人は責任を持ちたくないんだ」とか「仕事よりプライベートを優先したいんだ」とかいう反応をする人がいます。

でも、実際は、回っていない上司を見て、これは意欲の問題ではなく、仕組みの問題として無理ゲーだな、と冷静に判断しているのではないでしょうか?

そうした状況に対して、部長職を3人で分担する、というのが今回の日揮の取り組みでしょう。

確かに、3人で擦り合わせることが多くなりますから、コミュニケーションコストがかなり上がることになりますので、本当に良いのかはわかりませんが、少なくとも部の規模が100人を超えるような部署であれば、そもそも1人で全てをカバーできる状況でないことは明らかで、じゃあ、3つに部を分けるのか、という話よりは、3人で分担しましょう、という方が、部を分けることによるサイロ化という弊害が避けられる点でまだ良いかもしれません。

また、役割を分ける過程で、そもそも部長って何やってるんだっけ?というところが明確になる効能も大きいと思います。

職位が上がっていけばいくほど何やっているかよくわからない、ということはあるもので、そこをあらためて、何が役割か明確にして、しかもそのうちの、人事とプロジェクト管理、という2つを除かれた時に、いったい部長って何するんだ、というのは、実は多くの部長にとってキツイ問い、かもしれません。


今回この記事を読んでみて、内容以上に考えたのが、自分の仕事を分解してみて、いったい、コアとなる仕事はなんなのか、を考えてみる機会を持っても良いかもしれない、ということです。

これは、上司や部下の仕事に対しても考えてみて、あるいは、質問してみて、良いことかな、と。

意外とこういう「当たり前」のことほど、質問されると(自分自身に対しても含めて)、すぐに答えが出てこなかったりするものですから。


最後までお読みいただきありがとうございました。
新聞記事を読んでみて、思ったことをつらつらと書いたメモですが、どこか参考になるところがあれば嬉しいです。

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