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上司のための「質問力」活用〜「営業指導」基礎⑦〜

大学時代のゼミの同期会で再開した佐藤と高橋。某銀行で支店長を務める佐藤がふとしたことで部下育成について高橋のアドバイスを受けることに。
今回は、前回の前半に続き「ヒアリング」の後半です。

最後までお読みいただけると得られそうな情報は?
✔︎ ヒアリング(後半)のポイントとゴールは?
✔︎ 次回プレゼンのアポを取るには?
✔︎ そんなこと最後にやるの?
✔︎ 本日の質問

1、ヒアリング(後半)の最重要ポイントはニーズの顕在化

高橋(以下T):ヒアリング(前半)、(後半)はこんな感じでした。

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佐藤(以下S):前半が終わったところで、提案に必要な情報は伺えて、どんな商品がお客様のお役に立つかも特定できました、が、まだ言ってはダメ、という状態だったね。

T:その通り。前半が上手くいっていればすでに最初の段階に少し入っているんだ。だけど、まだ漠然とした不安だけ。ここでは前回見たような年表を埋めたことで、自分が先に亡くなるだろうなぁ、でもまだ妻は元気だろうなあ、という状況を漠然と認識したに過ぎない状態だ。

S:なるほど。そこまでいけば、「奥様のために個人年金があると安心ですね」と言いたくなるけど。。。

T:だよね。それはこんな感じなんだ。

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T:噛み合ってないでしょ?

S:なるほど。ぜんぜん噛み合ってない。でもどうすれば?

T:こんな感じかな。

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S:なるほど。心配事をどんどん具体化していくんだね。これがニーズの顕在化だね。質問でやるんだろうけど、どうやるの?

T:例えば、「妻1人かぁ」に対しては、「でも、多くの財産をお遺しになるでしょうからご安心ですね。」で一度安心していただいて

「ただ、多くの場合、いきなり大きな金額を相続されると、ご主人がせっかく遺してくれた大切なお金、ということでなるべく減らさないように、と質素にお暮らしになる方が多いんですよ。」
「収入として入ってくる公的な年金だけで生活される方が比較的多いんです。」

等の後に、

「例えば、大きな塊で遺す一部を定期的に受け取ることができるような『しくみ』があればご安心ではないでしょうか?」

S:なるほど。ちゃんと解決策になってる。でもなんで「しくみ」なの?

T:それは商品をいきなり出すと、その瞬間売り込みになるよね。となると耳を閉ざす恐れがある。その前に、一旦しくみで合意をとっておくんだ。それに、いきなり個人年金、と言われても一体どんなイメージをお持ちになるか?知識レベルはそれぞれなので思い浮かぶのもそれぞれ違うものになる恐れがある。一度持ってしまった印象を後から覆しにいくのは相当な労力がいるからね。今は、「しくみ」がお役に立つかどうか、に焦点を絞るんだ。

S:なるほど。自分たちはよく使っている言葉だからと言って、お客様が同じように理解しているかはわからない、ということだね。

T:その通り。で、しくみにご同意頂けたら、最後に必要な金額をお客様に決めてただく。

S:これは、ヒアリング前半でお金の色分けで伺った金額でいいのかな?

T:年金の場合、公的年金に加えてどの程度上乗せで用意するか、というのがニーズだと思う。とはいえ、そもそもいくらぐらいあったらいいかわからないだろうから、参考になるデータは提示してもいい。あくまで参考として。

S:こういうのだね。

T:そう。だけであくまで一般論であることを強調した上で、お客様自身の口から言って頂くことが大事だ。余談だけど、こうしたデータを使う場合は必ず出典元の一次情報を確認することをお勧めするよ。

S:これでヒアリング(後半)も終わりだね。契約間違いなし!って気がしてきた。

2、次回アポ取得のコツ

T:まだまだ。最後は次回のプレゼンテーションのアポを取らないと。ちょっとした質問の違いで取れるアポも取れなくなるから最後まで気が抜けない。

S:ほんと?

T:ほんと。例えば、

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S:ありゃ。

T:あまりに選択肢が多いと答えるのに負荷がかかり過ぎて決められない、というのはマーケティングや心理学では明らかになっていることなんだ。だからこの場合の答えで最も多いのは、「また予定がはっきりしたらこちらから連絡するよ。」

S:あるなぁ。。。

T:実はそう答えるように誘導しているようなものなんだ。ではこちら。

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T:具体的な日時を二者択一で質問する。「○月○日の10時と、○月□日の13時ではどちらがご都合よろしいですか?」とね。どっち?というのはすでに会うことが前提になっている。

S:でも、都合が合わなかったら?

T:その場合はもう一度違う時間帯を2つ出す。その前にお客様から「そこは都合悪いので△日はどう?」と言っていただくことも多いよ。

S:それでもダメなら?

T:その場合は、上手くいっていたと思ったここまでのプロセスが噛み合ってなかったかもしれない、と疑うべきだね。上手くいっていれば、具体的な解決策を聞きたいと思うはずだから。「本日の私のお話はお役に立ちませんでしたでしょうか?」とはっきり聞いてしまっていい。

S:え?

T:だって、聞かないとわからないでしょ。それに、中途半端にして後日「その後どうですか?」なんて電話かけるのも嫌でしょ?

S:それはそうだけど。。。

T:ダメならここで分かればフォローもできる。

S:まぁ、ねぇ。分かった。いや〜、ここまで長かったなぁ〜。

T:まだ終わりじゃないよ。

S:え??

3、最後に感想を聞く!?

T:最後に片付けながら感想を聞くんだ。

S:感想!?

T:そう。「本日の私のお話はいかがでしたか?」って。

S:聞いたことない。。。

T:そ。でもね。効果絶大。ポイントは片付けながら、ね。リラックスした状態で本音を伺うんだ。大抵「よかったよ」とか「参考になった」ぐらいの一言だろうけど。

S:それでも意味ある?

T:オオアリ。終末効果と言って、終わりよければ全てよし、最後に肯定的な言葉をお客様の口から言っていただくことで面談全体が肯定的なものとしてお客様の記憶に残るんだ。

S:それは分かったけど、もしネガティブなことが出てきたら?

T:それこそよかった、だよ。その場で解消できることはしてしまえるし、もし無理でも、次回のアポはとってあるので、「その点につきましては次回資料もご用意してきちんとご説明させていただきます」と言って次回までに考えればいいんだ。もしここで出てこなかったら、次回プレゼンテーションで出てきて、全く想定外の対応を準備期間なしにしなければならなかったはずのものが防げるんだから。

S:そっかぁ。ほんとに最後まで気が抜けないねぇ。

4、本日の質問

アポイントを取るには効果抜群!二者択一質問

T:具体的な日時を二者択一で質問する。「○月○日の10時と、○月□日の13時ではどちらがご都合よろしいですか?」とね。どっち?というのはすでに会うことが前提になっている。

本文中にありますので解説は割愛しますが、もうひとつ、人気店の効果、というのもあります。ランチ時にガラガラの店に入るのは躊躇しますよね?同じように、「いつでも大丈夫です。お客様のご都合に合わせます!」という営業パーソンがいたらどうでしょう?暇なのかな?と思いますよね?こういう場合は往々にして軽いアポになりがちで、アポが取れてもドタキャンになりやすいようです。私は自分で営業やってた時は、手帳はほんとの予定を黒、嘘の予定を青で書いて、いかにもびっしり予定が入っていると見えるようにしてました。意外とお客様の方で都合合わせてくれるものです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

お読みいただいたお時間分だけでも参考になるところがあれば嬉しいです。

こちらにこれまでの分をまとめましたのでご興味をお持ちいただけたようでしたらぜひご覧ください(ちょっと長いものもありますが)。

また、他にも「上司のための『質問力』」に関して投稿していますので、よろしければそちらもぜひご覧ください。



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