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【厳冬の雪山に登った日の記録】


先日、久しぶりに厳冬の雪山に登った。

今回は、この雪山登山の様子やその時感じたことを記しておきたいと思う。



登山指数はBだったが…


天気予報を確認し、登山指数はB

少々風は吹くものの晴れ間はあるとのこと。

しかし実際は、想像を遥かに超える雪に見舞われた。


新しく降り積もる雪が徐々に足場を覆い、いつも以上に体力を消耗する。

足場が柔らかくなると地面反力が少なくなるので、より大きな力を地面に加えなければならないからだ。



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そんな大雪の中、標高差で言うと1184mを登り、距離で言うと4500mの道のりをひたすら登り続けた。

久しぶりの雪山登山に心踊る反面、予想以上のしんどさに心が折れかけた瞬間が何度もあった。

大腿四頭筋(太ももの前部)は攣りかけ、何度も足が止まった。



足を止め、ストレッチをして何とか痛みを取る。

とは言え、長時間立ち止まれば体温を奪われかねないので、また直ぐに歩き始める。

「兎に角、一歩一歩歩みを進める他ない」

そんな”悟り”にも似た感情が芽生えていた。

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”折れかけた心”と”歩みを止めない足”の矛盾


何度も何度も攣りかける足、その度に折れかける心。

時間が経つほど、その間隔は短くなり、「体力の限界は近そうだ」と犇犇と感じる。

心のどこかで、「これは登頂無理かもな」と諦めかけていた。



しかし、非常に不思議なことに、

自分の思いとは裏腹に、僕の足が後ろを向くことは一切無かった。

足だけは一切の迷いなく、ただ山頂に向かって進もうとしていたのだ。



この「”折れかけた心”と”歩みを止めない足”の矛盾」を肌で感じ、こんな事を考えていた。

「もし今、ここに自分一人だったら、恐らくここまで頑張れていないだろうな」

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仲間の存在が大きな力に


「マジでしんどい」「きつすぎる」「笑えない」「登頂は無理じゃね?(笑)」「エグい!!」「展望ゼロ(笑)」

何度も様々な弱音を吐き、辛い気持ちを言葉で表現する。


それでも、一方で

「あそこの小山までとりあえず頑張ろ」「後で温かいコーヒー飲もうぜ」「下山後のお風呂が楽しみ」「この斜面はソリで滑り降りられそう!」

そうした仲間と交わす言葉が、僕の切れかけのガソリンタンクに、ほんの少しだけ燃料を注いでくれた。


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アイゼンのチェックのため小屋に止まるものの、辺りは真っ白。

”英断”という二文字が心に過る。登頂への希望は微塵もない。


それでも、

いつ止まってもおかしくないはずの足が、何故だか少しずつ踏み出されていく。

この時には、”もはや自分の足ではないような感覚”さえ覚えていた。




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真っ白な景色の中、いつ終わるか分からない山道。

ただ足元を見つめながら、

「自分一人だったら、絶対に無理だった」

「人って、”たった一人”の仲間がいるだけで、こんなにも頑張れるものなんだな」


こんな思いが、頭の中を何度も何度も巡り巡っていた。



無事登頂


何とか山頂に辿り着いたが、予想通りの展望は皆無。

むしろホワイトアウト寸前だったので、カメラを取り出す間もなく下山。


山頂からの景色が無いのは寂しいので、せめてもの写真を載せておこう。

本来であれば、こんな感じの風景が一面に広がる(2017年に登頂した際に、撮影した写真)

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家族・友人・仲間に芽生えた感謝


登山を終え、帰宅する車中。

今回の登山で感じた、

「仲間の存在が、自分にどれほど大きなエネルギーを与えてくれているのか」

このことについて、改めて考えていた。



登っている最中、心の中では「これは無理だ」と何度も呟いた。

前を向くことを止め、何度も立ち止まりたい気持ちに苛まれた。

それでも、仲間の姿を見る度に「もう少し頑張ろう」という思いが湧き、

本来の力の何倍、何十倍もの力が発揮されたように感じた。



この体験をして、心のなかに深く刻まれた思いは、

「大切な仲間が、僕にとっての大きな原動力になっている」ということ。


そして、この原動力は

「いち登山においてだけではなく、人生そのものにおいても同じ」だと。




つまり、僕にとって

家族・友人・仲間の存在が「モチベータ」であり、

彼らのことを想う状態が「モチベーション・メディエータ」であるということだ。

(モチベーションの発露の仕組みには、こちらの記事で触れている)


そして今、このモチベーション・メディエータを感じることにより

僕は非常にモチベーションが上がっている事を感じている。



この感覚は、忙しない日常を過ごしていると、忘れてしまいがち。

だから今回、登山の記録とともに記そうと思ったのだ。

改めて、僕の大切な仲間たちに感謝したい。いつもありがとう。




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