マガジンのカバー画像

エッセイ

30
運営しているクリエイター

2019年7月の記事一覧

ぼんやりと、五感だけは覚えている。

ぼんやりと、五感だけは覚えている。

まわる寿司屋に行くと、時たまに。
子供の頃に行った、あの魚市場を追懐する。

〆サバを食べる。
ふと浮かぶのが、焼きサバの美味しいお店。
大根おろしに醤油、レモン汁をふりかけ、
ざらっとした感触と、塩すっぱさが舌の奥を通る。
小骨を取るのには、苦労した。

甘エビを食べる。
ふと浮かぶのが、エビのUFOキャッチャー。
せがんで1回だけ、狙いを定めてチャレンジ。
触れたら触れたで、奴らはワイワイすぐ

もっとみる

心の涼景

夏。我々は涼み客となりて、避暑地へと繰り出す。

しかし正直なところ、旅先はとても暑い。
海と言えど、山と言えど。
家でエアコンを点け、涼んでいる方がよほど、なのに。

それでもなぜか、どこかへ行きたくなる。
いつもじゃない、涼しそうな場所へ。

人混みも、涼であり。
日焼けも、涼である。

ただ新鮮な心の涼景が、そこには在って。
いつの間にか我々は、その事実を知っている。

夏。我々は涼み客とな

もっとみる
LINE短文:花火

LINE短文:花火

オトン「花火」17:01
(花火のアニメーション)

わたし「花火」23:24 既読
(花火のアニメーション)
わたし「先行花火」23:24 既読
(花火のアニメーション)
わたし「間違えた」23:25 既読
わたし「でも、花火はあがった」23:25 既読
(花火のアニメーション)
オトン「花火」23:26
(花火のアニメーション)
わたし「うん、知ってる」23:26 既読
オトン「蛍」23:27

もっとみる
器は持っていると、楽である。

器は持っていると、楽である。

とても嫌なことがあって、よくわからない気持ちで溢れ返っているときは、感情を入れ込む器があると、楽である。

器とは、特にあなたの感情を震わせるものだと、とても良い。
好きな音楽、詩、単語、理屈、運動、理解者でも、なんでも良い。

器とは、まとめるものである。
人間の脳では、処理できる限界がある。
だから、できるだけまとめて、脳を助ける。

散らばった感情を、器の中に注ぎ、震わせる。
熱く浮き出てい

もっとみる