手戻りは決してロスでは無く、育成と意思決定の深みを出すチャンス。

私が今年から課長を務めているチームは、昨年まではもう一段上の職制である次長が課長を兼務していました。

つまりチームメンバーにしてみると、上にいる2階層が同一人物なわけで、承認ステップが一段少ない状況でした。

そこに私が課長として入ったので、上司が一人増えたことになります。
私は次長兼務時代には出来なかった1on1の時間を沢山取っていますし、一緒に作業することも多く取ってケアをしています。

例えば、ある資料を作るとしたら、今はまずメンバー自身に考えてもらい、私の意見を加えながら直していきます
私の方針として、必ず自分なりの仮説を作らせてそれの検証を繰り返させるので、最短距離で行くことはありません
とはいえ、最後は私が承認した形で次長に持っていくことにしています。

そうすると次長はどうするか。
沢山の質問をしてきます。何故このように考えたのか?この資料で関係者に何を伝えたいのか?
次長が指導好きという側面もあり、大体は宿題をもらいます。
私から見ると、一段上からの目線だったりしますし、決して理不尽だとは思わない内容です。

しかしメンバーは「課長が良いって言ったのに次長に否認された」「課長は次長の方針を理解しているのか」「前は次長がすぐ決めてくれたのに仕事が増えている」と思ってしまっています。

次長にしてみると、昨年までは課長兼任で守備範囲が広すぎたために細かい指導が出来ず、初めから結論を伝えて資料を作らせるしかなかっただけで、本来ならもっと考えさせて育成したかったと言っていました。

しかしメンバーにしてみると昨年までは言われたとおりにしてれば終わった仕事だったのに、課長が増えたらやたらと問われることが増え、手戻るようになったと思ってるわけです。

実際は考えさせることで育成の機会を創出できていると思いますし、正解は一つではないと実感させることが大切だと思っています。

また、組織にとっても、担当者、課長、次長というそれぞれの立場や目線を合わせることができますし、次長自身も「以前は担当者まで目線を落としていたが、課長までで一旦検討してくれるので、経営者目線で検討できるようになって決断に深みが増したと思う」と言っています。

よって、課長と次長というステップを踏むことは必要なことであると考えていますが、有効に活用するために大事なことが一つあります。

それは課長と次長の間で各々の役割がしっかり共通認識として合意形成されているということです。

今年は私と次長の間で週に数時間意見交換しており、どのように役割分担するかを作戦会議しています。
メンバーが上申する前にその内容を次長に説明しておき、議論した上でお互い言うべきことを決めています
この様に作戦を持った上で手戻りポイントを作ればより深みを出すことができると考えていますし、戦略的に育成もできます

この作戦会議が無ければ、手戻りはただのロスになってしまうと思いますが、組織力を上げる、決断のレベルを上げるという目的を意識すれば、手戻りは大きなチャンスにできると考えています。

時間との戦いもありますし、メンバーが慣れるまでは不満も出ますが、粘り強くやっていきます。

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