見出し画像

根本を押さえてしまおう!ASD/自閉スペクトラム症支援5原則

以前からまとめようと思っていたサイトマップを、月曜日にようやくアップすることができました!

過去記事も改めて見やすくまとめたので、
「スキ」をしてくださったり、
記事を見に来てくださるとうれしいです♪


以前に、
自閉スペクトラム症の「一歩深い」理解という記事を書きました。

その記事で述べたことは、
あくまで特徴です。

具体的にどのような支援・対策をするのかということを、
今回は解説していきます。

これは、
子どもに対して明らかに効果が高いものや、
大人にも同じようにあてはまるものもあります。

効果は、
グレーの濃淡や各々の特性によって人それぞれ。

子どもや教育のために知りたい。
自分と当てはめてみたい。
周囲にいるASDの方を理解したい。
純粋に興味がある。

それぞれのニーズに合わせて、
読んでいただければ幸いです。



ASD支援5原則

早速、自閉スペクトラム症への有効な支援と考えられている5つの原則をお伝えします。

以下の5つです。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

❶構造化
❷視覚支援
❸抑制NG+肯定型
❹選択させる
❺道具の活用

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

順々に解説していきますね。


❶構造化

構造化とは、
シンプルに言ってしまえば、

「区切る」

ということです。

自閉スペクトラム症は、
グレーや曖昧さの認識が不得手です。

よって、世界を区切ってしまう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・パーテーションで視界を区切る
・イヤーマフで音の世界を区切る
・締め切りを設けて時間を区切る
・1対1にして人間関係を区切る

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

よって、
仕事や授業の指示も、
具体的であればあるほど
言葉で動作を区切ることになるので、
自閉スペクトラム症にとっては心地よいものになります。

だから筆者が算数の授業をするときは、

「4マス空けて10センチの線を書きます」

と明確に指示をします。

何マスなのか、
何センチなのか、
筆算は書くのか、

などなどです。

言葉の裏を読むような「建前」と「本音」のように、
白と黒をごちゃまぜにしてしまうコミュニケーションは、ASDの人とって、混乱を招く原因となります。

「事実を具体的に」

伝えることこそが、
「区切る」コミュニケーションになるでしょう。


❷視覚支援

これは、学校現場でも、
よく行われている支援です。

冒頭のASDの特徴を述べた記事で、
自閉スペクトラム症は言語が弱いということを述べました。

言語が弱いが故に、
視覚に頼らざるを得ないから、
結果的に視覚が伸びていくのだという話です。

だからこそ、

大事なことを壁に貼り出しておいたり、

きれいに整えている状態を写真で示して片付けの指示を出したり、

といったことが大事になります。

ちなみに、
視覚を通して覚えることができるので、

「ふわふわ言葉とちくちく言葉を貼り出そう」

と、

2本の木の画用紙を教室の壁面に貼り出し、

一方には、
ピンク色の葉っぱにふわふわ言葉を書いてはり、

もう一方には、
水色の葉っぱにちくちく言葉を書いてはれば、

色で言葉のイメージを覚えることができます。

そして、
ちくちく言葉を発しそうになったら、
脳内で水色の葉が茂っている絵が想起されて、
思いとどまることができたりするのです。


❸抑制NG+肯定型

ASDはADHDよりも、
不安傾向が強い人が多いです。

それは、過敏性や鈍麻性が、
顕著に現れる特性があるから。

よって、

「~してはいけません」
「~はだめです」

といった抑制型の言葉に、
敏感に反応
します。

ASDは不安が強くなればなるほど、
過敏性が助長されてしまう
傾向があるので、
それによってふさぎこみ、
どんどん負のループに陥ってしまうことがある。

ということは、
重要なのは抑制型ではなく、
肯定的な言い方で、
具体的な望ましい行動を伝える
ことです。

「廊下は走りません」

「廊下は歩きましょう」

に変えるということ。

これだけではシンプルに感じますが、
日常のあらゆることを肯定型で声を掛けようとすると、一定のトレーニング期間が必要です。

同時に、如何に日頃から、
否定的・抑制的な声掛けをしていたのかを知り、
支援者自身が大いに反省することもあります。

「~はダメです」

と言ってはいけない訳ではありません。

ただ、具体的な行動はその後に示してあげることが極めて大事。

この代替え行動を示す時に重要なのは、
選択させることです。


❹選択させる

廊下は走るではなく、歩く。

これは代替え行動です。

ただし、この場合は、
選択肢は1つです。

例えば、
ノートに書きたがらない子どもがいた場合、

「ノートに書きます」

では、あまりにそのままです。

よって、幾つかの選択肢を示して、
自己決定
してもらう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あなたの理解度を確認したいので、
何かしらの形でそれを表してもらいます。

量を減らしてノートに書くか、
ホワイトボードに書くか、
タブレットに打ち込むか、
授業後に口頭でクイズをするか、
どれにしますか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と言った具合にです。

1つしか選択肢がないと、
強制感が出ます。

強制感があればあるほど不安は強まり、
過敏性が発動しやすくなる

自分で選ぶと、
過敏性は弱まる
性質があるのです。

この事例は、
記憶力がよく、
書くことの必要性が分からないASD児を想定しました。

書かなくても覚えられるから、
授業後に簡単なクイズをして、

「よく理解しているね」

と褒めて確認すれば、
学習を身に付けているという観点では何も問題はありません。

そういった意味でも、
子どもの特性をつかんでおくことは重要です。


❺道具の活用

ASDは社会性や言語が凹んでいるのですから、
そこをトレーニングするという観点は重要ですが、
本筋からはズレています。

視力が悪い人に、
視力がよくなるようにたくさんトレーニングをさせるようなもの。

それよりも、
メガネをかけて補助した方が易しい。

ある療育者がこのように言っていました。

「才能より努力」

よりも、

「才能より道具」

だ、と。

それぐらい道具で代替えするという支援は重要です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・テニスボールを椅子の足に付けて音を静める

・タイマーで視覚的に時間が分かるようにする

・「音楽が鳴り終わるまでに片付ける」と、
 片付けの時間の区切り線を明確にする

・ふわふわしたものを握ることを許可し、
 落ち着けるようにする

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

といった具合です。

ちなみに、
チェーンブランケットを着るという支援が、
有効な時もあります。

ASDの子は、
自律神経系の発達が遅い子どもが多く、
身体に重さがかかると、
自律神経系が落ち着く
ことが分かっているからです。

ここからは、
5原則ではないのですが、
補助的な支援を簡単に説明していきます。


ASD支援ノウハウ

ここからは、
細かい支援をシンプルに。

◆予告

この細かい支援の中で最も大事なのが予告。
「5」が区切りがいいので5原則にしたのですが、
本当は原則に入れたいぐらい大事です。

不安が強い傾向があるので、
初めての場所や、
予測できないことに対して、
過敏性が発動する
ことがあります。

よって、

「これからこういうことをするよ」
「今日行く場所はこういう場所だよ」

と説明したり、
写真を見せたりして、
予め全体像をつかませておくことが支援となります。

急な予定変更がある場合も、
予告が大切です。


◆パニック対策

パニックにならないような予防が1番ですが、
パニックになった時のルーティン化が大事です。

個室に入り、
チェーンブランケット毛布にくるまり、
音、触覚、視覚などの情報をシャットダウンし、
過敏性を鎮静化させる。

重みによって、
自律神経を整えます


◆こだわりの上位互換

ASDのこだわりをほどく手段の1つに、
さらにこだわるもので誘導する方法があります。

宿題をやることに抵抗を示し、
泣きわめている子どもの目の前に、
ポケモン図鑑を視覚的に広げる。

すると、こだわりが強い、
ポケモンが勝ちます。(ポケモン強し!笑)

すると気分が変わり、

「今宿題やる?ポケモンバトルしてからやる?」

と誘導できるのです。

(ポケモンバトルごっこです笑)


◆外部化

ADHDもそうなのですが、
ワーキングメモリの問題上、
言語が口でうまく表出できないことがあるため、

しゃべらせる、紙に書かせる、
といった外部に情報を出させると、
スッキリして、こだわりが緩和されます。

悩みを自分で抱えていると、
どんどんふさぎ込んで、
こだわりが強くなってしまうのと一緒ですね。


◆逆張りでこだわり抜く

日常生活に支障がないことであれば、
こだわり抜くというのも1つの手です。

例えば、

虫、宇宙、歴史、などなど。

依存症になりづらいものですね。

1つのことをこだわり抜くと、
その世界を奥深く探究できる体験ができ、
それが後々他の分野にも派生します。

よって、
大人になって仕事を始めた時に、
仕事の世界を探究し尽すという、
深みを実現できる可能性も生まれるでしょう。


まとめ

自閉スペクトラム症、ASDへの、
支援や対策をシンプルにまとめさせてもらいました。

ボリュームの関係上、
授業支援や、
薬物療法などは、
意図的に載せていません。

それは、また、
別の記事でお伝えできればと思います。

特徴を説明する記事でも述べましたが、
定型発達8~9割の中に、
ASDが少数という環境
だから、
特性が顕著に出てしまうということが大いにあります。

「職場全員が発達障害」

というエピソードを聞いたことがあるのですが、
見事にエラーを起こさずにみんな働けるそうです。

(エラーをエラーと見なしていないのでしょう)

そんなことを考えながら、

「この環境だったら、そりゃ過敏性が発動しちゃうよな」

と、特性×環境の考え方で、
支援を行っていくことが大切だと思っています。

授業支援や、
薬物療法は、
ADHD×ASDで記事にしていければと思いますので、興味がある方は、楽しみにしていてください。


この記事の内容が少しでも「よかった」「ためになった」と思われた方は、「スキ」や「フォロー」をしてくださるとうれしいです!

「コメント」も残してくださると有難いです!コメントを読んだ方々が、より教育についての知見が深めることができる図書館でありたいと思います。

いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!


明日の記事は、

いや、必ずもう一度流れはくる!日本の「地域」を取り戻す未来

です。

日本の地域やコミュニティが消滅したと昨今言われています。
しかし、筆者がもう一度自分たちで集まってコミュニティをつくるという流れが来ると予想しています。
その理由や具体的なビジョンを記事にしていくつもりです。

是非、楽しみにしていてください🎵

皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊


共育LIBRARYの全体サイトマップを作りました!

共育LIBRALYで提供しているサービス、
記事、メンバーシップ、共同運営マガジンなどについてまとめてあります。

気になるサービスがあれば、
訪れてみてください♪

Xのアカウント ↓ ↓

共育LIBRARYりょーやん元教師


📘今週のLIBRARYのラインナップ📗

(2024.3.11~3.17)

📒→全員最後まで読める記事
📓→メンバー以外は途中まで読める記事

【月曜日】
📒心を熱くしてくれる曲10選
【火曜日】
📓気の利いた一言が言える「コメント力」 手に入れたくありませんか?
【水曜日】
📓《教育③》今週の1冊 from library
📒根本を押さえてしまおう!ASD/自閉スペクトラム症支援5原則
【木曜日】
📓いや、必ずもう一度流れはくる!日本の「地域」を取り戻す未来
【金曜日】
📓《note論》提供サービスである「記事」をどうプロデュースするか?
📒起業家の資質 アントレプレナー ???
【土曜日】
📓ひょっとして脳は退化すると思ってませんか?「脳のピークは56歳」の真偽
【日曜日】
📒当事者×元教師×療育 ADHDの「一歩突っ込んだ」特性/徹底解説

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?