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日常風景から美を見出す【新人読書日記/毎日20頁を】(78)

『歌川広重の声を聴く』、221〜240頁、読了です。

著者にならって、「絵本江戸土産」に広重個人の風景観の「呟き」に耳を澄ましてみましょう。雪化粧をした「深川木場」、白と青のシンプルな色の配置で、身近な日常生活に潜んでいる美を描き出しています。「赤坂桐畑永田馬場山王社」に付けられた紹介文では、人々が見慣れた景色の美しさを称することがあまりないことに対して、広重は「遺憾」の意を表しています。

高校の頃、映画監督アッバス・キアロスタミの詩集を読んだことがあります。詩人としてのキアロスタミはごく普通の日常風景に注目します。雪、枯れ葉、犬の冷たい鼻など、最も日常的なシーンに逆に心を感動させる力があると、当時の私はキアロスタミの俳句のような短い詩を読んでそう思いました。


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