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エッセイ"英國情緒を綴る 〜 The Police featuring Sting 好きな楽曲・出演作品"

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明日からスティングさんの来日コンサートが
2023年3月8日〜14日にかけて行われます。

過去1994年のソロライブと
2008年のポリス再結成ライブの感動も深く
最も好きなアーティストはたれか?
と聞かれれば、迷うことなくスティングです。

小生か洋楽に目覚めた80年代
ロックはMTVやPVなどが主流となり
煌びやかでファッショナブルな
第二次イングリッシュ・インベーション
が台頭していました。

英国ロックの歴史は
60年代のビートルズを筆頭に
アフロ・アメリカン発祥のR&Bと
イギリスの若者達の感性に出会うことで
その音楽性を発展させ
研ぎ澄まされてきたのだと思います。

アメリカン・ポップスの持つ
豊かでふくよかな情感や盛大な盛り上がりとは
一線を画するも
世界中のオーディエンスに支持されてきた
ブリティッシュ・ロックの魅力とは何なのか?

ポリス在籍時とソロ活動後の
スティングを中心に語ります。

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1976〜77年のイギリスは
パンク・ムーヴメントの嵐が吹き荒れて
ストーンズやツェッペリン、プログレなどの
高度な演奏能力を持つアーティストは
商業的で体制側の音楽として
若者たちに糾弾されたのでした。

そのパンク・ムーヴメントに乗じて
スターダムへのサクセス・ストーリーを
駆け上がってきた3人組のバンドが
The Police《ザ・ポリス》であります。

右から
スチュアート・コープランド(Drums)
アンディ・サマーズ(Guitar)
スティング(Vocal & bass)



1979年に発表した
Message in a bottle 《孤独のメッセージ》はチャート1位を獲得する大ヒット

そして、同年に公開された
Quadrophenia《さらば青春の光》
で劇中のモッズ・リーダーの"エース"役で
バンドのフロントマン兼コンポーザーである
スティングの人気に火が着き
70年代末に突如として現れた
ロック・ヒーローとして
若者の憧れとなるのでした。





Peanuts《ピーナッツ》
ファースト・アルバムに収録
ロッド・スチュアートを揶揄している。
パンク色が抜けきらない頃の曲

セカンド・アルバムのタイトル曲
Reggatta de blanc《白いレガッタ》
トリオとは思えない
サウンドの奥行きが感じられます。



京都大学西部講堂でのライブ
ある意味、危険なくらいの熱狂ぶりで
会場のボルテージは異常とも言われてました。

興奮冷めやらぬファンの振る舞いに
業を煮やしたスティングが
コップの水を頭から浴びせて
"少し冷静になれ。"と言い放ったと伝わる
いわく付きの伝説ライブです。



Driven to tears《世界は悲しすぎる》
この頃から一人称の歌詞でなく、世界に向けて
メッセージ・ソングを創り出した頃
海を越えてアメリカでも人気が出始めます。



もうひとつの顔〜俳優業

《さらば青春の光》は伝説的カルト映画として
英国内では一定の評価を得ました。
スティングはこのことを契機に演技の世界へと
のめり込んでいきます。

《ブリムストン&トリークル》
普段は温厚な青年
優しい老夫婦に付きまとい
障害者の娘に執着をみせる狂気を内包した
暗く冷たい悪魔のような青年が
とある家庭を崩壊させていくさまを
熱演しています。


ポリスのベスト・ライブとも言える
1982年頃

ヴァージョン・レコードとの訴訟
前妻のフランシス・トメルティーとの離婚
ゴシップ記事で悩まされていた時期でもあり

そんな私生活とは裏腹に
大作映画のオファーがあり
Dune《砂の惑星》の敵役フェイドとして
そのサイキックな眼差しで
映画界でも人々を魅了するスター性を
随所に垣間見せます。



Every breath you take
《見つめていたい》
全米チャートを9週間にわたり席巻し
当時、マイケル・ジャクソンの"スリラー"
から続々とシングル・カットされる
強力な楽曲群を抑え
ビルボード年間1位となる名曲の誕生でした。

元10ccのゴドレイ&クレームが描く
美しいモノクロームのPVが印象的で
大ブレイクを果たすと同時に
メンバー間の軋轢は修復出来ない程に
人間関係は悪化していたのです。

最高傑作"Synchronicity"
シェア・スタジアムは満員となるも
心中は孤独を感じていたのでしょうか?



ポリスでの活動は約8年で
空中分解してしまいます。

それからスティングは
映画界での活動が多くなってゆきます。

プレンティ(1985年)

ジュリア・ジュリア(1987年)

見た目も美男子のスティング
どことなくローレンス・オリヴィエに
お顔立ちが似ているのか、
メリル・ストリープやキャスリーン・ターナー
などの美人女優との共演が続きます。


サブリナ(1995年)
オードリー・ヘプバーン主演の
ロマンス・コメディ
《愛しのサブリナ》のリメイクです。

このエンディング曲が沁みます。



レオン(1995年)
ジャン・レノ、ナタリー・ポートマンが紡ぎ出す映画全編を覆っている
渦巻く感情の洪水が溢れかえっています。

スティングの奏でる
Shape of my Heartが切なすぎるのです。





ロック、ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルス
(1998)

JD(マフィア・ボス)を怪演するスティング
オヤジになっても
流石の格好良さと抜け感です。



2007年にポリス結成30周年として
ワールド・ツアーを行なうことを
電撃発表しました。


もう二度とリアルで観ることは叶わないと
思っていただけに
感動の嵐が止まりませんでした。
今となっては良い思い出です。




冒頭のブリティッシュ・ロックの魅力について
話を戻します。

イギリスの歴史を紐解くと__

19世紀のヴィクトリア朝:大英帝国は
七つの海を制する覇権国家となり
栄華の頂点を極めました。

第二次世界大戦後のイギリスは
その国際的地位が凋落する上に、
世界中の植民地から搾取して
経済的な成り立ちを維持していたことさえも
放棄せざるを得なくなりました。

伝統的に階級社会の名残りがあって
生まれ育ちで決まる社会の通念に対して
労働者階級の若者達は
"この国で自分達が立身出世するには
サッカー選手かロック・スター"
と揶揄とも自虐とも取れる
英国人らしいアイロニーを
聴いたことがあります。

ブリティッシュ・ロックには
ロック音楽の持つ反骨性と
英国人特有の底辺に流れるアイロニーが
絶妙なセンスを持って共存している。
そこが格好良いのです。

スティングの生い立ちは
イングランド北東部の
寂れた港町の牛乳配達人の息子です。

そんな境遇から
夢に向かってどんどんと
スターダムの道をのしあがっていく。

英国の憂う若者たちの
憧れのヒーロー像として
当時の音楽シーンに燦然と煌めく存在でした。

ポリスのサウンドは
知的かつクールで乾いている
硬質なロックでありながら

どこかヒリヒリとするような情熱を
感じさせてくれます。

敬愛なるスティングさん
明日のコンサートがご無事に成功されることを
心より願っております。

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