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はじめての心療内科で涙を流すことができた話

育休からの復職後、半年ほど経ったある日。私は突然、働けなくなりました。
どうもこれは心の調子の問題な気がするから、医者に診てもらおうと考えました。

今回は、初めて心療内科を受診した日のことを振り返ります。

はじめての心療内科。どこへ行こう?

私は今まで、心療内科を受診したことがありませんでした。そのため、どの病院に行くかというところから決める必要がありました。

心療内科は先生との相性が大事とも聞くし、本来であればじっくり吟味したい。でも、人気の心療内科は初診1ヶ月待ち、なんて聞いたこともある。今はとにかく早く診てほしい……などと悶々と考えていたら、ふと知人が通っていたという病院を思い出しました。絶賛していたわけではないけれど、まあ悪くない、という話だったような。

思い切ってその心療内科に電話をかけてみると「明日の朝、開いていますよ」というお返事。これは運命だと言わんばかりに、そこに通ってみることにしました。

いざ初診。どんより気分で問診票を書く

ビルの一室に入った病院は、いかにも昔からある地域の病院、というような雰囲気でした。本棚には昭和の漫画が並び、壁にはレトロな振り子時計。
患者はひとりいたか、いなかったか……。独特の静けさが漂っていました。

受付ではまず、紙の問診票を渡されました。
食事や睡眠時間といった基本的な生活態度のことから、今の気持ちを尋ねるような項目がずらりと並んでいました。

このときの私は、死にたいほどではないけれど、なんだかつらい。そんな状態でした。当然、問診表の回答にも、そんな気持ちが反映されます。

記入した問診票を見返して、「私って、こんなに暗い人間だったっけ?人生悲観しすぎじゃない……?」と感じたのを覚えています。

臨床心理士さんとのお話

続いて、女性の臨床心理士さんとお話する時間がありました。

ここでは30分ほどかけて、私の基本的なプロフィールや、今日ここに来るまでの経緯などを聞かれました。家族構成や出身、具体的な仕事内容、子どものことなどなど。ここでは何かアドバイスされるわけでもなく、質問されたことに対して淡々と答えるのみ。一見今回の悩みには関係なさそうなことも聞かれましたが、私という人間を理解する上では大切な情報なのでしょう。

先生に何をどう話したら伝わりやすいだろうか…と脳内シミュレーションをしていた私は、ここでちゃんとヒアリングの時間が設けられたことに安心しました。

先生の第一声で涙


その後、心理士さんは別室で医師と話し(先ほど私から聞き取った内容を共有していたのだと思われる)、そこに私が呼ばれました。

50代ぐらいの白髪まじりの男性医師。
促されるまま、心療内科らしいゆったりと座れそうな椅子に腰かけます。

「うん。そりゃあ無理もきますよ。仕事も育児も、がんばりすぎ」

たしかそんな第一声だったと思います。
さっき心理士さんと話したときは冷静でいられたのに、この言葉を聞いた瞬間、どっと涙があふれてきました。

ああそうか、私、がんばっていたんだ。
今まで誰からも労われることなんてなかったけれど、限界がくるまでやっていたんだ。

おそらくこういう患者は珍しくないのでしょう、先生はすぐに箱ティッシュを差し出してくれました。

私の嗚咽が響くなか、以下のようなことをお話されました。

  • 人間キャパシティは限られている。子どもが生まれたら、当然仕事に割けるキャパは減る。だから、今までと同じように働くのは難しい

  • まわりとあなたは違う。まわりの基準に合わせなくていい

  • 100点満点を目指さなくていい。そもそも社会に出ると、学校テストと違って100点はない。100点だと思っても、120点、140点と次々にハードルが上がっていくもの

  • 言い方はアレだが、せっかく病気になったんだから変わるチャンスだよ

当時の私は、「変わるチャンスっつっても、ずっとこれで生きてきたんだからどうせ変わんないよ」とどこかで思っていましたが、休職してしばらく経つと、この話を自然と受け入れられるようになりました。もうこの経験を糧にして生きていくしかないなと。

最後に「診断書、書きましょうか」と聞かれたので、「お願いします」と即答。診断書の症状名を見て、自分が「うつ状態」だということを知りました。(うつ病とは異なるらしい)

よかった、ちゃんと病気だったんだ。だからおかしかったんだ。

うつ状態であることのショックよりも、病名がついた安心感のほうが大きかったのを覚えています。

心療内科のお薬事情

インスタでもたまに聞かれる、心療内科で薬は処方されているのか?ということについて。

初診時から今に至るまで、「セルトラリン」という薬を1日1回飲んでいます。

正直、心の病気に対して薬を飲むのは少し抵抗がありました。これは完全にイメージなのですが、一度薬を飲み始めたら抜け出せなくなる気がして。

そこで、たまたま話す機会のあった産業医さんに、「心療内科でもらった薬を飲み続けることに抵抗がある」と相談してみました。
すると「飲んだらすぐに治るというものではないが、飲んだほうが回復は早まる。治療を手助けしてくれるものだから、そこまで不安に思わなくていいよ」と言われました。それなら飲み続けてみようと、今は抵抗なく服用しています。

結論:行ってよかった、心療内科

まさか私が心療内科通いになるなんてなあ、と未だに不思議に思ったりします。どんなに悩んでも自力で回復できる!ぐらいには自分のことを過信していました。

でも、今回は自分で回復する前にパンクしちゃった感じ。いや、そもそもマズイ状態になっていることにも気づかず、気付いたらクラッシュしていた。

そんなボロボロとのとき、家族でも友達でもない、医師という第三者から医学的見地に基づくアドバイスをもらえるというのは、自分自身を客観視することにもつながりました。風邪をひいたら内科に行くように、心が変だなと思ったら心療内科に行く。今はそれぐらいの感覚でいます。

もっと相性のよい先生はいそうではあるけれど、確実に回復はしているし、今の病院に通ってよかったなあと感じます。

軌道修正しながら生きていく

振り返ると、私は過去にも似たような経験をしています。

妊娠中も「仕事は仕事!まわりと同じようにがんばらなきゃ!」と今まで通りまあまあのハイペースで働き続けた結果、突然の大量出血からの即日入院、という経験をしました。いわゆる切迫流産(流産の一歩手前)でした。

これはもう、神様から「アンタそろそろ自分のキャパを知りなさいよ。働き方も改めなさいよ」と言われていると感じざるを得ません。いい加減私は学ばないといけません。

とはいえ、今までの思考や生き方を変えるって大変です。なかなか変えられない。

だからこそ、「今、心のバランス崩れてないかな?」とか「無理してないかな?」とか、ときどき立ち止まる時間を強制的にでも設ける必要があるのかもしれません。そして振り返りながら、無理しているポイントがあれば修正していく。PDCAを回していく。

仕事もプライベートも含めて「自分のことすべて」を振り返って、軌道修正しながら、心地よい生き方を探していきたいです。

(そんな振り返りのワークをワーママ数名でオンラインでやる、とか楽しそうだなあ……!)

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