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表象で飾る世界の中で異様な空気を放つ日本

第二次世界大戦後の世界各国が目指し、大きな経済成長の原動力となったアメリカの存在は今も強固なイメージが作られている.日本でも一時期「アメリカンドリーム」という憧れの国を作り出した.しかしこのアメリカンドリームは本当なのだろうか.21世紀になり、人々の移動活発化し日本からアメリカまでは半日程度で行けるようになった.明日にはアメリカについて生活を始めることもできるほど世界の交通では一体化が進んでいる.まあ3日も住めばそこにあるのは虚構の社会だったことに気づくが笑

まず僕の言うアメリカというのは近代化が進んだニューヨークの都市を言っているのであってワシントンの広大な農地は素晴らしい世界だと思っているし、あそこにはアメリカはないとも思っている.まずニューヨークに住むならば家が必要になる.無愛想な店員に空き部屋を探してもらうことにしよう.よし見つかったから住もう!そして驚くことに数日も経てば家の中がおかしいことに気づく.水道から水が出ない!電気がつかない!上から雨漏りしている!外がうるさすぎる!早くこの世界から逃げ出したくなる.それがニューヨークの現実である.住めば都と日本人は言うが、ニューヨークとなれば渋谷の中心にベッドを置いて寝るような感覚である.

僕らの抱いているイメージは現実を見れば一瞬で目を覚まし、失望することになるだろう.まあ家に関しては運の問題もあるから仕方がない.じゃあ電車に乗って少し街を散策してみるとする.駅に行けば暴動やスリやひったくりは当たり前、そもそも電車に時刻表なんてものは存在しない.街を散策してみると危なくて堂々と歩くこともできないだろう.日本に帰った時に日本人の誰もが人の多い場所でもリュックを前にしないことには驚いた.それを見てやっと日本にいる気がするほど異様な光景である.

アメリカと比べ日本のシステムは素晴らしいほどに完璧である.家に関しては大家に頼めばすぐに直してくれるだろうし、そもそも入居して直ぐに家のインフラに危機が訪れることはまずない.街に出て歩いてみればどの車もクラクション鳴らさずに綺麗に整列して道路を使っている.公共のトイレを使ってもウォシュレットがついている(公園だったり古い建物は違うらしいが).こんな素晴らしい社会は世界のどこを探してもないと思う.今回のテーマに表象を掲げたのは正に日本の社会は内から完成されていることに注目してほしいからだ.僕は表象をイメージと現実との差のようなものだと思っている.日本に関してはイメージと現実は全く同じと言っていいほど素晴らしい.流石は「おもてなし」文化ニッポン!と声をあげて言いたい.

しかしアメリカンドリームの看板を掲げたアメリカは全く違い社会システムは欠陥だらけである.何もかもが中途半端で作られ、心地のいい社会どころか日本人からすれば監獄のような社会である.でも未だにアメリカに憧れを持つ人は多い.留学でアメリカに行くことはスタンダードというか留学の本質はニューヨークに行って輝かしい自分を作ることだと思っている人はいる.では何故なのだろうか.

その答えは単純でアメリカが作ったのは“憧れの世界“だったからである.多くの人が憧れを抱いているようにアメリカは憧れを作り出した.ニューヨークに行けば皆の憧れを手に入れることができる.これは日本だけでなく世界スタンダードでもありアメリカ国内でも同じような考え方の人は多い.正に虚構の世界を生み出したのである.その虚構を使うならばSNSの生み出されたのもアメリカである.SNSは人々の憧れを作り出すいわば自己承認欲求の顕在化装置である.

パリに行きエッフェル塔の前で写真を撮り、ブランド物を買い漁り日本に帰って自慢をする.人々が求めているのは虚構の社会である.イタリアの素晴らしい景観の写真を撮ってSNSにアップしたいのである.しかし実際に起こるのはスリや詐欺の数々.イタリアのプーリアなんかは素晴らしい景観を自慢するが路地に入れば犯罪のオンパレードである.

日本で路地に入れば素晴らしい昔ながらの景観が保たれ心が穏やかになるのだが笑

我々は、作り出している社会は虚構であり自己承認欲求の塊であり、それに憧れを抱く負のサイクルが引き起こされていることに危機感を感じなければいけない.100年前の建物が実際に使われ人が住んでいる社会、未だに黒電話が使える社会.資本主義からは一脱した素晴らしい社会であろう.この素晴らしさをもっと理解すべきである.それでも人々はSNSを使い続けるし、パリで写真を撮るしブランドバッグを買い続ける.これほど滑稽であり人間の本質が分かることはない.

それでも日本は密かに異様な空気を放ち続けるのだ.

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