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Libya Updates #40: January 2021 Week 2


こんにちは🕊
1週間のリビアを巡る動きを整理しました。

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リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。10月以降は停戦へ向けた協議が進んでいるが、現地での戦闘は続いている状態だ。


■2020年のリビア

■先週のアップデート


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1. 国内の動き

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首都トリポリから東南に65キロほどのタルフーナでは、GNA軍の捜査が続いている。
同軍は9日、新たに発見された集団墓地から4人の遺体が見つかったことを発表した。

GNAは6月以降、同地域の少なくとも25か所以上に集団墓地があることを突き止めており、これまでに女性や子どもを含む200人以上の遺体を発見している。
タルフーナは昨年6月頃までGNAとハフタル勢力の前線となっていた。当時、ハフタル勢力を支持する現地の民兵組織「カニヤート」が多くの市民を連れ去ったと見られている。


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連れ去られているのはリビア人だけではない。
トルコのアナドル通信は12日、同国で昨年、ハフタル勢力により誘拐されたと見られるトルコ人、ヌレッティン・カリクさんの家族への取材をもとにした記事を公開した。

カリクさんはお菓子づくりを生業としており、出稼ぎのためリビアに渡航した。足取りが分からなくなったのは昨年2月だという。

家族はカリクさんがハフタル勢力により監房に収容されたと聞いている。同じ監房にいた人物から、カリクさんらが拷問を受けていたことや、度々体調を崩していたと伝えられたという。
トルコで帰りを待つ兄弟は、「トルコ人だからという理由だけで拘束された。何も悪いことをしていない」と主張する。


同時期にはカリクさんのほか、4人のトルコ人の行方が分からなくなっている。
中東を扱うメディア、ミドル・イースト・アイは昨年11月、その1人のハリル・ゴゼルさんについて扱った記事を出している。

56歳のゴゼルさんは、シルトでトルコのデザートのお店を経営していた。

ゴゼルさんらが行方不明になった2月は、ハフタル勢力がシルトを一掃した時期と重なる。
同メディアの関係者への取材によると、ゴゼルさんは3人のトルコ人とともにベンガジの刑務所に送られたという。


2. 国際社会の動き

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国連は今週、米国の制裁対象となっているシリアの格安航空、シャーム・ウィングス航空の飛行機を利用してリビアへ支援物資を運んでいたことを認めた。ミドル・イースト・アイが報じた。


事態が発覚したのは11日。WHOがツイッターに投稿した人道支援を行なっている様子の写真に、シャーム・ウィングス航空の飛行機が写っていたことであった。

同航空会社はシリアのアサド政権と結託し、シリア国内で武器や傭兵の輸送を行なっていたとして、2016年に米国が制裁を課している。
シリアからリビアのハフタル勢力への傭兵の派遣にも使われているとされており、先月15日にも同社の便がベンガジへ飛んでいたことをGNAが発表している。国連の武器禁輸措置を破る格好だ。


国連側は、新型コロナウイルスに関する支援のためにシャーム・ウィングス航空の飛行機を利用していたと説明。担当機関である国際連合世界食糧計画 (WFP) の広報官は、「現場の状況が原因で、リビアへ飛行機で運送を行う際の選択肢は最低限しかない。シャーム・ウィングス航空は国連の制裁対象ではなく、WHOの医療用の貨物を同航空会社を使って運んだ」としている。


3. 新型コロナウイルス

新型コロナの感染拡大状況

リビアでは15日 (現地時間) 時点で、累計107,434人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は3,790人。日に平均約540人以上の新規感染者が確認されている計算。累計死者数は1,645人で、1週間で83人の増加。


同国の感染者数は5月頃まで数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月。10月末をピークに新規感染者数は減少傾向にあるものの、依然として高止まりの状態が続いている。

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人口は約689万人。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度がきちんと整備されていない状態。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。

4月から5月には医療従事者や医療施設への攻撃も多発。6月以降は市民が地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いだ。


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直近の戦争が20年近く続くアフガニスタン。
「わたしたちが続けなければ、『彼ら』が力を持つ。ただ殺されるくらいなら、活動を続けるほかない」。現地で平和教育を続けるアジマールさんのお話です。

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