(2)私たちに、「未来」をください。

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さて、2030年をめぐって世界中に広がった「スクールストライキ」、子どもたちは、いったい何を求めて立ち上がったのでしょうか?

その訴えは、「私たちに「未来」をください」というものです。

「地球温暖化」については、みなさんもご存じのことと思いますが、科学者の方々は、それが危機的な状況であることについて警鐘を鳴らしつづけています。

「気候危機」の状況においても、大人は抜本的な解決に乗り出しているとは思えない。このままでは2030年以降の「未来」は、私たちには存在しない。

危機を危機として受け止めて、抜本的な解決を目指してください。そうでなければ、私たちは「未来のために」学校へ通うことなどできません。そんな訴えです。

こちらは「エコロジカル・フットプリント」という指標です。私たち人間が今の生活をするのに、必要な資源量を地球の数に換算しています。1年間に地球が生産できる量と、実際の消費量を比べて計算されています。

これを見ると、現在、世界中の人々の生活を支えるには、地球が1.7個必要になるそうです。世界中の人々が、日本人と同じ暮らしぶりであれば、地球は2.9個必要になるそうです。

これでは、到底、地球がもちませんよね!私たちが生きていくうえで、何よりも大切な土台である地球を、私たちの暮らしは食いつぶしてしまっているのです。

1970年、日本では「僕の髪が~、肩まで伸びて~」と歌っていたころに、このエコロジカル・フットプリントは地球一個分を超えてしまいました。人口爆発が続いているため、ずっとずっと今後も右肩上がりの予測です。

しかも日本人は、日本の国土の7.1倍分の暮らしということで、輸入に頼っている資源の分、他国の土地までも破壊してしまっているのです。

「このままでは地球がもたない」

そのことは明らかなので、2015年9月の国連サミットで「SDGs(持続可能な開発目標)」が採択されて175ヵ国が批准しました。

これは、2030年までにこの17の目標を達成することで、地球を持続させようというものです。17の目標の下には、さらに169の具体的な宣言があります。

ところで、地球を守らなくてはいけないのに、なぜ「開発目標」なのか?ということです。

世界には、日本のように地球1個分以上の暮らしで、電気もガスも水道も整い便利な暮らしをしている国もあります。

一方で、電気もガスも水道も、生きていくための最低限の水もない国や地域に住んでいる人たちの方が、圧倒的に人口が多く、増え続けているのです。

そういった地域がこれから、少しでも暮らしやすい状態にしていくことを、どうして私たちがダメだと言えるでしょう?

つまり、これから開発を目指すべき国もあれば、私たちのように地球1個分を超えてしまっているような国は、削るべきところを削っていく、そういう調整が必要になるということなんです。

そして、同じ2015年11月から12に月に開催されたCOP21では、具体的に「気候危機」における気温上昇を、ここまでに抑えるという目標「パリ協定」が定められました。

「産業革命から2030年までの世界の平均気温上昇を、プラス2.0℃未満に抑える。加えて、プラス1.5℃以下を目指す」という目標です。

これを、シリアとニカラグアを除く世界のすべて、合わせて192の国と地域が約束しました。しかし、大きな排出国であるアメリカは2017年にトランプ政権になったときにこの約束から脱退。

そもそもニカラグアは「もっと厳しい基準にすべき」と主張していたわけですし、シリアとニカラグアは来年にも参加の意向です。ですので、世界でアメリカだけが参加しない約束となっています。

では、もし何の戦略も実行もないまま2030年までの目標を達成できなければ、どのようなことが起きるのか?

現在すでに、プラス1.0℃を超えており、2030年にはプラス3.0℃まで上昇というペースで進んでいます。2℃、3℃、4℃と上がるごとに、人間もその他の生物も壊滅的な状況が訪れることが予想されています。

しかも、ある時点で永久凍土が解ける、メタンハイドレートが解けるといった状況が発生してくると、温暖化は加速度的に進み、止めることができなくなってしまうのです。

それが、いつやってくるかわかりません。

だから、子どもたちは必死になって「スクールストライキ」というカタチで、私たち大人に根本的な解決を図るように訴えているのです。

そして今年の5月には、イギリス議会が「気候非常事態宣言」を出しました。6月末に大阪で開催された「G20」ではフランスのマクロン首相は「環境問題、気候危機について検討しないなら、我々が集まる意味はない。」「パリ協定の維持を確認しないなら、G20の宣言に署名をするつもりはない。」という姿勢を示しました。

市民の行動、子どもたちの行動が、確実に国を動かしています。

2015年のオランダでは「SDGs」と「パリ協定」を受けて、800人ほどの国民が「気候危機について具体的に取り組まないのは、国民の生存権を侵害している」と国を相手に裁判を起こし、勝訴しています。

アメリカでも、「パリ協定」脱退を受けて、州ごとに参加表明をしていますし、子どもたちがトランプ政権に訴えようと準備をしているようです。

あきらめなければ、まだ間に合います。

「2030年までに温室効果ガス排出を45%減らし、2050年までにゼロにすれば」です。

さぁ、私たちが生きている「環境」が今このような状況の中で、みなさんはどの道を選びますか?

①「現状維持」で、今をそのままで生きていこうとするのか?
②「お祈り」で、「不安を忘れるために」今を楽しむことに集中するのか?
③「変革」で、課題を乗り越えた「未来」を創造するためのアクションを起こそうとしていくのか?

これがもしゲームであれば、ゲームオーバーになっても再起動すればいいだけです。けれど、現実の世界に再起動はありません。

私たちは、今、ここで、選ばなくてはいけません。

それでは、③「変革」をどう進めていけばいいのでしょうか?

ここにいらっしゃるみなさんは日頃は、企業、地域、団体などの経営をされている「経営者」の方々だと思います。

そんなみなさんに、こんなお話をするのもおこがましいのですが、「経営」とは何でしょうか?「投資」とはどういうことでしょうか?

みなさん、日々の事業の中で、やはり「今がある」ということを一生懸命やっていらっしゃると思います。従業員の方がみえれば、その方々を食べさせていかなくてはいけない。そんな中で、「今がある」を持続させるということは、本当に大変で、大事なことと思っていらっしゃるはずです。

けれど、その「今がある」が、「未来がある」ということとつながっていないとしたら、どうでしょうか?そのままの今を続けていいでしょうか?

「経営」というのは、やはり「時を経て営みつづける」ということです。「今がある」ことが「未来がある」ということにつながるような「今」を模索して、デザインして、実行していくことが大切ではないでしょうか。

そして、「投資」とは、その「今と未来がつながるカタチ」に人、モノ、カネ、時間を投入していくことなのではないかと思うのです。

さて、地球、世界から、少しずつ日本、そして恵那市に目を移していきましょう。

私たちが暮らしている恵那市では、日本中のほとんどの「中山間地域」と同じように、この投資すべき「人とお金」が流出し続けてきました。

今と未来がつながるか?という点で言えば、人口減少が止まりません。高齢化と少子化が加速しています。高齢化は、団塊の世代の方々がどんどん年代が上がっていくという自然な現象ですが、子どもが減り続ける少子化、ここはこのままにしておけば地域の消滅につながっていってしまいます。

まぁ、人口のグラフをよく見ると、減少してきたという現在の人口は、実は戦後すぐの人口と同じぐらいです。そして、このままの減少率で減少した場合、明治初期の恵那地域の人口程度になるという予測です。

大切なのは、これがさらに加速的に減少したり、それ以降も減少し続けるとマズいので、どこかで人口が安定していくように「少子化」の流れを緩やかにしていくことだとわかります。

世界の気候危機と、地域の少子化、この二つの重大な課題に対して「今と未来がつながるカタチにしたい」と願い、本当にささやかながら私が取り組んできたことを、ここからお話させていただきたいと思います。

続く

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YUMIKO

「恵那やまざと楽耕」と「Tellus Ludens」を主宰。山里の先人たちの生きる姿から学んだこと、未来につながる楽しい山里ライフ、そして自らの経験と山里の人々の姿から生まれた生き方・在り方の支援ツールである「ライフエネルギーマップ(LEM)」、について書いていきます。

子どもと孫たちに、何を残し伝えていくか?

~恵那の山里から、地域と世界の存続可能性を高めていくために~ 2019年7月12日の「恵那市環境対策協議会総会」でお話させていただいた講演内容をまとめています。今回は、45分でお話した概略版の内容です。
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