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雑感記録(220)

【「コミュ力」って何だろう】


僕は過去に何度かマッチングアプリの記録を残している。今日もそれに関する話である。なお、直近過去の記録は以下を参照されたい。

何だかシリーズ化してしまっているのが自分でも変な感じな訳だ。地元で使っていた時はそもそも母体の人数が少なくやり取りなんて極々一部の人としか出来なかった。しかし、東京ともなると母体がまず大きい。総体が増えるのでこんなクソみたいな僕でもマッチしやり取りすることが可能である。そういった意味では、面白いというか地理的な要素で何とかここまで続けてこられている感はある。

本来ならば書かなくていいっちゃいいことなんだが、しかし人とそれなりに関わるということは面白い。特にマッチングアプリだと「色々な人が居るもんだな…」と愉しい。中には非常に気分が悪いことだって起きる。それが先に挙げた過去の僕の記録なんだけれども、あれを書いたときは結構怒り心頭だった。だが書いて数日も経てば「まあ、そういう奴もいるよな」とあっけらかんとしている。僕という生き物はもしかしたら意外と単純なのかもしれない。あるいはただの馬鹿か。

先日のこともあってアプリとは若干の距離を置いて生活している訳だが、やはり自分の弱さか。アプリを開いて気が付けば相手のプロフィールを吟味しながら「いいね」を押しているではないか!?何たる僕の覚悟の弱さたるや。自分でも思わず笑ってしまったのだが、多分だけれども良い人が見つかるまで延々とこのループを繰り返すのかもしれないと思うと最悪だ。僕の嫌悪すべき対象である所の「メンヘラ」ではないか!?最悪である。


そんな悶々とする中で、これまた馬鹿の一つ覚えのように「いいね」を押しまくっていたある日突然にマッチングした。

先日のことがあったので、マッチしたのは良いがやり取りするのがめんどくさいなと思ってしまった。しかし、マッチしてしまったのだからそれなりに対応しなければ相手に対して失礼である。本当に僕は淡々とした文章を送る。絵文字なんてホントに一切使用せず、「。」で全て文章を終わらせていた。文章自体も固く、砕けたような印象を出さないようにしていた。それぐらい先日のことが自分に響いていたってことの証左なのかもしれない。

相手とのやり取りが始まる。

相手のプロフィールを拝見するに、どうやら彼女は接客業をしていて「コミュ力」というものには絶大なる自信があるらしかった。何かその後に「頭は良かぁないが、愛嬌で何とかここまで来たぜ!」みたいな文言もセットだった。なるほど、この人は叩き上げのスキルで来た人なんだな。お手並み拝見と行こうじゃないかと僕は実は愉しみだった。

言葉だけでのコミュニケーションは本当に骨が折れる作業である。相手に対する想像力をどれだけ働かせることが出来るかが勝負である。相手のこの言葉から連想される、その背後にあるものを看取すること。あるいは冗談で言っているのか、あるいはそうではないのか。また自分自身が伝えたいことを的確にそのニュアンスも含めて伝えられるのか…。あらゆる言葉の可能性を考えなければならない。まあ、実際は相手の出方次第である。僕は相手の反応を見て、文章の構成だったり返信速度だったり、文量だったりを考慮しながら進める訳だが…。

しかも、相手は自分自身で「コミュ力に自信あり」とプロフィールに書くぐらいなのだから、手塚じゃないけど「油断せずに行こう」って気を引き締めた訳だ。

それで、僕は油断せずにまずは下手に丁寧に挨拶から始め、「いいね」を送った理由など極々簡単に触れお礼を述べた。文末は必ず「。」で終える。絵文字は利用しない。相手の出方次第だ…。と戦く。どんな返答があるのか、況してやこのメッセージを送ってどのくらいで返答があるか。気が気でなかった。しかし、そんな不安をよそにメッセージは返ってくる。アプリの通知を押し、メッセージを開く。

なんじゃ!こりゃ!?

絵文字が凄いのなんのって…。文末に必ず絵文字。加えて凄いフランクな感じ…と言うか媚びを売るような文章!紋切型!ああ!またか!と僕は1通目にして退屈になってしまった。と言うよりも、何となく先が見えてしまったのである。これは小説とかで僕は割と結構ある。特に最近のミステリーとか読むと先の展開が読めるという現象だ。大体、マッチングアプリの場合もそれと同じで1,2通ぐらいやり取りすれば先が読めてしまう人がいる。先が読めない人の方が何だかんだで続くし、会えたりもする訳だ。これでこいつは本当に「コミュ力」があるのか…。

いやいや、まだ判断するには時期尚早だ。例え、先が読めてしまうからと言ってここでやり取りを辞めるのは早すぎやしないか。もう少し様子を見てみようじゃないか。ということで何通かメッセージのやり取りを行なう。ただ、先が見えてしまった以上は自分の中でそれを瓦解する何かがない以上は多分無理だなと思っていた。それを期待しつつやり取りを続ける。

しかしだ…。

やり取りを続けるごとに僕は「いや待てよ。こいつ別に「コミュ力」実は無いんじゃないのか?というか無いだろ、絶対!」と感じていた。いや、というよりもそれだった。「コミュ力」の無さがメッセージを重ねるごとにどんどん露見していく感じ。結構そこは愉しませて頂いた。

まず、全然僕だけが話を聞き出すのね。「○○なんですか?」とか「○○ってことですか?」とか疑問形で聞く。返ってくるのは自分の回答のみで、英語で言うところの「and you?」みたいなのが全くない。僕が聞くだけ聞いといて、自分のことだけ答えて全てが完結してしまう。……これ会話になってるの?いや、まあ別に僕が聞き続けるってのは、それはそれで構わないけど、全く僕に対して何も聞かないってことは「興味ないから」って宣言しているものなんだよな。

それで僕はぶっきらぼうに返信する。「そうですか。」「良かったですね。」とか本当に愛想のない返信して最後に「どう思います?」とか「○○ってことですよね?」とか聞きまくる。段々と質問の難易度を上げていく。今までは具体的に「食べ物何が好き?」とか「休日何してるの?」とか聞いていたけれども、それを段々と曖昧なものに、「価値観って…」とか「丁寧な生活って何?」とか抽象的な質問をぶつけまくった。どういった返答が来るのか実はワクワクしていた。こういう質問をすればきっと「叩き上げのスキル」とやらを拝めるのではないか!?期待と恍惚が僕を襲う。

ところが、返答は至って面白くない。しかも的外れな感じでがっかりした。それにまた自分が回答して終了。何だか僕は面白おかしくなっちゃって、惰性でメッセージを送り続けた。これって会話にすらなってなくて、個人的に凄く面白かった。当て逃げみたいな人だなと思って笑ってた。「この人の「コミュ力」って何を指してるんだろう…ww」と内心大爆笑していた。会話すら真面に出来ていないのに、どうして「コミュ力」があります!なんて自信満々にプロフィールに書けるんだよ。と片腹痛し。

まあ、でもね。僕とのやり取りはこんな感じで会話にすらなっていなかったけれども、もしかしたら他の人は違うかもしれない。だが、それでもあまりにも「コミュ力」が酷すぎて笑ってしまった。最終的に僕が一撃送ってそのままブロックしたんだよね。

「価値観が合う、合わない人と付き合うのは疲れる」っていう話をしていて、僕がね「まあそうは言っても価値観が合わなくても面白くて一緒に居たいと思う人も居るし、価値観が合っても一緒に居たくない人も居ると思うから白か黒で決めるのって難しくないですか?」ってメッセージ送ったんです。そしたら、「私は自分のことを大切にしてくれる人とだけ付き合うようにしたら、今物凄く愉しく生活できてます。」とかいう返答が来た訳で。もう腹抱えて笑って。会話にならんやん!ってツッコみたかった。だけど面倒くさくなってきちゃって。

僕がそれに対してこう返信した。「そうですね。そもそも自分に良くしてくれる人を大切にしたいと思うの当たり前ですよね。それ以外の人に自分の労力を割けないですよね。」と。すると、恐らく答えに窮したのだろう「そうですね」と返信が返って来た。僕は内心、しめしめ!と思いそのメッセージに「そういうことですね。じゃ。」と満面の笑みの絵文字と共に送って、しばらくしてブロックした。


何だかこんな書き方をすると、僕が悪者……まあ、悪者っちゃ悪者なんだが。しかしだ。会話が成り立たないのに「コミュ力」があります!って宣言している訳でしょう。だから僕はブロックした後も「この人にとっての「コミュ力」って一体何を指すんだろう…」とずっと考えてしまった訳だ。

「コミュ力」というのは「コミュニケーション能力」のことでしょう。これは誰だって分かることだ。そして、1番肝心なことは「一方的に自分のことを話すこと」=「コミュ力」があるということにはならない。自己開示をすることはあくまでそのコミュニケーションの一部であって、それ自身が「コミュ力」とはなりえない。ただ、問題なのは彼女が「私は叩き上げでここまで来ました」みたいな感じで来てしまったことにある。

ちなみに言うと、彼女と僕は同い年である。これはアプリの情報だから、彼女が正確な情報を登録していれば同じ年齢である。だから同じ年齢として、まあ同級生として言わしてもらうとするならば。経験則としてこの会話法(というか、会話ですらないんだから「発話法」とでもすればよかったか?)は獲得した訳だ。経験から得た知識というのは時に厄介である。その後、僕が例えば「これこれこうだ」と説明しただけでは安易に変われるものではない。その経験で躓くその瞬間にこそ分かることである。自分に謙虚であればの話だけど。多分ね。僕がそうだったし。

まあ、これまた終わったことなのでもうとやかく言うことはしないが、「コミュ力」に自信があるなんて安易に言わない方が良いと思うし、それに本当に「コミュ力」ある人なんて「オレ、「コミュ力」あるから!」なんて言わないから。そもそも「コミュ力」に高いも低いもあるのかっていう所は疑問ではある訳だけどね。

いやあ、久々に笑った気がする。感謝しなきゃね。

よしなに。


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