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9月に読んだ本まとめ① 科学の扉を開いて、遥かなる空の彼方へ。


夏の暑さも和らぎ、家の中で本を読むのに適した季節となった。これこそが読書の秋。

買っては読んでその内容を咀嚼し、仕事や自分の創作に取り入れる。これを延々と繰り返す。

そうして気づけば読んだ本のメモが膨大になったので、9月が終わっていないけれど少しまとめておこうと思う。


1.「Newton 2021年9月号」

書店売り場で見つけて購入。

先月読んだ「読書大全」は、圧倒的に理系分野が足りていなかったのでこれで補完。自分は特に物理分野が弱いので、この本を手掛かりにいろいろと本を探している。

理系学生定番の雑誌なので、取り上げられるテーマや内容は少し専門的。ただこの号は、保管用として皆が持っていいと思う。


2.「ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで」スティーヴン・W. ホーキング

私が宇宙のことを真面目に学んだのは大学の講義だった。

けれど回を重ねる度に何を言っているか少しずつ分からなくなり、さらに宇宙というものの大きさを知る度、少しずつ自分という存在が薄れていく奇妙な感覚を覚えた。

この本はあの講義よりわかりやすく、さらにより深いところまで宇宙というものを堪能出来る。

あまりにも広大で理解を超えた世界を、義務教育レベルの物理の知識で存分に楽しめる。宇宙や時間について学びたい人におすすめの1冊である。


3.「宇宙からの帰還」 立花隆

前述した「自分の存在が薄れていく奇妙な感覚」。

実際に宇宙空間に出た人々は、この感覚をより強く体感し、自らの精神の変容を大いに感じたという。

この本には、宇宙空間という新しい環境に進出した人間の体験談が濃密に語られている。さすが立花隆と言わんばかりの情報量で、読み物として楽しめるだけでなく、自分に足りない知識がかなり出てくるため、勉強になる。

宇宙という存在は、SF映画や一般人の宇宙旅行などで、近年身近になりつつある。しかしその影には、人間に大きな影響を与える目に見えないものが潜んでいるのだ。我々は宇宙へと旅立つ前に、予め知っておく必要があると思う。

この本にインスピレーションを受けて書いた作品がこちら。

過去新しい環境が生物を進化させていったが、人間という生物はそれを受け入れ進化することができるのか。すごく短いのでぜひどうぞ。


4.「読む力・聴く力」河合 隼雄, 立花 隆, 谷川 俊太郎

初めてこの本を見た瞬間、私がこんなに得をする本がこの世に存在していいのかと目を疑った。

タイトル通り、異なる分野を代表する大御所3人が「読むこと」、「聴くこと」について語るもの。その内容が3人3様なので興味深い。

今どきのインプット&アウトプット本を読むくらいならこちらを手に取って欲しい。これまでのインプットがどれだけ表面的なものだったのか。アウトプットがどれだけ薄いものだったのか。あっと驚くに違いない。


5.「こころの処方箋」河合隼雄

河合先生の一番有名な著作であり、読者を精神的に励ましてくれる系の自己啓発本。

内容は決して重くなく、河合先生と会話をしているような感覚で読書ができる、穏やかな本。

内容はひとテーマにつき3ページ程度で、落ち込んでいる時や何か問題に直面した時にぱらぱらと捲ると、助けになる項目に巡り会えるはず。

今後も私は困った時に「河合先生助けて!」と思いながらこの本を開くに違いない。


6.「海潮音―上田敏訳詩集」

上田敏によるフランス詩の日本語訳詩集。

詩集なんて普段は買わないのだが、4で紹介した本を読んだ時、谷川俊太郎の詩がすごく響いたのだろう。ネットで見かけたその勢いで購入した。

私自身詩の楽しみ方がまだあまりわかっていないのだが、河合先生が音読を勧めていらっしゃるのでその通りに読んでみた。

すると、今まで詩の文面だけを捉えて、構成する言葉の美しさだけを見ていたのと比べ、口に出して音の響きと間を楽しむことで、描かれた情景がより浮かび上がってくるような気がした。

訳詞の本としては、このルバイヤートもおすすめ。古めかしく艶やかな日本語の奥深さを堪能できる。


7.「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン

「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソンの一冊。

最近文庫本が出たのを知り、そういえば読んでないなと書店を探し回ったものの、結局何処にもなくてネットで購入した。

ページをめくるたび、カーソンが目の前を歩き、語りかけてくるようで、本としての内容は非常に軽い。目新しい知識が書かれているわけでもなく、またボリュームも驚くほど少ない。

しかしこの本は、私たちが普段忘れている大切なことを思い出させてくれる。

私たち人類は地球という豊かな星の中で、ほかのあらゆる生命と共に生きているということ。この世界は人間だけでは成り立たないということ。

私たちに周囲の生命の音に耳をすませることの大切さを、読者に教えてくれる。


8.「日本語と日本人の心」大江 健三郎、河合 隼雄、谷川 俊太郎

大江健三郎、河合隼雄、谷川俊太郎の3人の対話がまとめられている1冊。ただ個人的には4の対話のほうがお気に入り。

なぜかというと、タイトルの「日本語と日本人の心」についてあまり語られていないのだ。

正直、それについてならば河合隼雄先生の「中空構造」でいい。

ただ谷川俊太郎の詩、「みみをすます」はとてもよかった。

義務教育過程で馴染み深い彼だが、詩集にも興味がでてきた。


9.「初歩から学ぶ生物学」池田清彦

自分は生物の中身にはある程度詳しいが、その外側に関しては義務教育レベルの知識しか持っていないと自覚していた。

この本は高校生物の教科書よりやや高度な情報が多く、個人的には自分にぴったりだった。

やはり学問を学ぶ際は、自分のレベルに合わせた書籍を選ぶことが大切だと実感した。


10.「塩の道」宮本常一

幼い頃から、ファンタジーの地図を読みその世界観を楽しむ事が好きだった。

しかし気づいてみれば、リアルの世界にこそ真の歴史と文化がひしめいているのだ。

いま私たちが生活する場所にも、そこに生きて来た人たちがいたはずだ。そこには当たり前すぎて伝えられなかった生活、文化があったのだろう。

今後も歴史に関する読書量を増やしていきたい。


最後に

宇宙、そして科学のなかの真理をひとつひとつ学び、いわゆる理系的な読書をしていけばいくほど、数値では示せないものへとたどり着く。

それは目で見えず、説明もできない。

にも関わらず、どんなに賢く高名な科学者でも、最後はその矢印が人間の内側へと向かうのだ。

科学も大切だが、人間の心を育むことも必要不可欠なのだ。

今後も芸術、文学、詩など様々な分野へと幅を広げていこうと思う。


後日②として創作や文学作品について主にまとめていたいと思う。興味深い本ばかりだったので、こちらもぜひ参考にして頂きたい。

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