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職員室の壁

学校という組織には見えにくい仕切りがある。壁と言ってもいいと思う。チームワークを妨げる垣根だ。中学高校について考察したい。

事務室と職員室 第一の壁

事務と教員をひとまとめにした言い方が教職員だ。同じ学校という職場に勤めるが、同僚といっても別の部屋で、年中たくさん仕事の話をするが、意外と交流はない。ビジネスだけの付き合いだ。用務員や給食調理職員も似ている。教員と交流は少ない。例えば、忘年会を一緒にしない学校もある。公務員の場合は、教職と行政職員という区分があり、任用の違いがある。給与体系も異なる。

教員は身勝手でルール無視
事務職員は手続き重視でコストを意識

教員は生徒を相手にしている。常に先生と呼ばれて立場は上だ。一人で教室に行って仕事をする。だから自分の主義ややり方があって、生徒にはそれに従うように求める。教室で一人で指示を出す先生を止める者はいない。多数の生徒たちの前でプライドを持って教える。教員は身勝手になりがちだ。他の先生方との協調性はない。結局、生徒や保護者の前に一人で出て矢面に立つ。間違えば最悪シュプレヒコールを浴びる。そんな教員を事務職員は身勝手でルールや締切を守れない人たちと思っている。けれど学校では先生方は主役だ。教育を担っている専門家である。ブラックなことを貴徳にやってのける。
教育は他のビジネスや大人社会と異なり、予定通りに行かない。学校は生徒たちの成長の場だ。予定通りに生徒が成長するわけではない。先生方の見通しはあるが、うまくいかないことが多い。軌道修正や調整は余儀なくされる。大人社会では不公正で、後出しで、時間のロスと言われるが、生徒たちの成長は見守るべきだし、機会を大切にすべきだ。だから予定や約束を配慮という名のもとに変更する。現場の裁量と言って、会議で議論して決めたことも一人の教員の判断で変えてしまう。大人同士のビジネスでは普通はない。ワンマンな個人商店や職人の世界に近いかもしれない。
法規や公平性、手続きを重視する公務員の場合、様々なことに弾力性や柔軟性を求める教員は厄介だ。グレーな解釈で教育目標をとりに行く。臨機応変を好まない事務職員と身勝手な教員は協働しづらい。

教科 第二の壁

高校や中学には教科がある。嫌味を込めて言ってしまう言い方に、5教科や3教科、理系科目、実技教科、受験科目がある。生徒同士ではそうでもないが、教員間では嫌味や皮肉が伴う。5教科はいいよね。受験科目じゃない先生は…、実技教科を一緒にしないでほしい。などと教科の位置付けや特性を教員は主張する。他教科にはわからないというニュアンスがたいていは含まれている。学校には教科以外の仕事がたくさんある。理由をつけて引き受けたくないとき、断る理由としてすぐに使えるのが、教科だ。専門分野ということで先生方はプライドを持っている。つい、自信満々に他教科との違いを強調してしまう。教科の仕事は他教科の先生は手伝えない。授業以外の仕事はどの教科の先生でもできる。今、私は教科の仕事で忙しいと言えば正当な主張になる。チーム学校として教員が協力できない理由は、都合のいいときに出てくる教科の特性だ。

第三の壁 職層と職歴、任用

教員は一昔前は鍋ぶた社会といわれたが、今は校長に加えて副校長が置かれ、統制やガバナンスが強化され、学校経営という考えが根付きつつある。競争的人事評価や学校間競争、スクールミッションやスクールポリシーが明確に掲げられ、計画と検証、組織論など、一応の進化がある。教員も上司の許可や承認を得て仕事をする。進捗や成果を上司や上級職に報告する。教員個人の裁量が大きかった以前とは、外見的には変わっている。しかし、実際の実務や実践は大して変わっていない。だから、これも都合のいいときに持ち出せばいい。頼まれた仕事は、私は主任じゃないのでと言えばいい。校内規定やマニュアル、実施要項にない指示は断ることができる。主任以外の指示は聞かなくていい。でも都合が悪かったら、生徒や子どもたちを優先したのでと言えばいい。現場で判断しました。臨機応変に対応したとか、保護者が黙っていないとか言えば、上級職の指示は無視できる。自分のやりたいようにできる。生徒の前にいるのは自分一人だ。目の前の生徒に対応するのは自分だけだ。私がルールだ。嫌なことや苦手な役割をさせられるなら、そんな規定はどこにもない!と言えば逃げられる。
もう一つは職歴だ。簡単に言うと職場の先輩、年長者のことだ。職層は上でも年下だったり、所属校での経験が長い先生の意見は通りやすい。変な配慮がまかり通ってしまうこともある。経験者は事情通で経験値は現場では強みになる。無視できない。しかし以前はよかったけど見直したいときは厄介だ。先輩達の経験値を否定してしまう。成功体験を披露してくれたベテランへの敬意も必要だ。会議で確認したことが現場で変更されてしまう。でも上下関係を守らないのは失礼だ。先輩教員が必ずしも責任者じゃないのに。
さらに職員室のコンセンサスを難しくしているのが、任用の違いだ。教室で生徒の前で授業をして先生と呼ばれても、権限や報酬の裏付けが異なる。非常勤や再任用、臨時的任用や期限付き任用や短時間勤務や代替教員、元管理職、臨時免許や特別選考、人事交流、経験者採用など種類は豊富だ。これも居ても仕事を任せられない先生、権限がないのに過剰に仕事をしてしまっている先生、最低限の業務に最大の休暇取得を貫く先生、打ち合わせ時間が勤務時間外になる先生など、事情と主義やポリシーが複雑だ。

問題の本質は都合のいいように使い分けること
授業以外の仕事がたくさんあること
授業以外の授業もある先生にとっては面白く、そうでない先生もいる。部活や放課後講習がイメージしやすい。


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