フリーライブラリアン・あかね

読んでいる本をひたすらメモしています。 ライフワークは、本のある場・図書館と人々が出会…

フリーライブラリアン・あかね

読んでいる本をひたすらメモしています。 ライフワークは、本のある場・図書館と人々が出会う場をつくること。 東海ナレッジネットという団体を立ち上げ、活動しています。 https://knowledge-net.hatenablog.com

最近の記事

読んだ本:太陽の棘

「太陽の棘」原田マハ 文藝春秋 戦後、本土に返還前の沖縄に軍医として赴任した精神科医のウィルソン。 赴任後、画家たちのコミューンに出会う。沖縄が背負わされた苦しみ、憎しみをキャンバスにぶつけ、絵には沖縄の暑い日差し、多彩な文化、自然、そして、憎しみや哀しみが描かれ、ウィルソンは魅了される。 原田マハの作品では、アートからその時代に生きた人の風景が見えてくる。世界史の事実として知るよりわかりやすい。 「暗幕ゲルニカ」では、第二次世界大戦は、ヨーロッパではどう受け止めらてい

    • 読書ノート 闇を泳ぐ

      闇を泳ぐ 木村敬一 ミライカナイ 水泳にハマって、水の中での自分の身体の感覚や動かし方にフォーカスするようになり、パラ競泳に興味が湧いてきた。以前パラリンピックの競泳競技をテレビで見た時に、身体の特性に合わせた、使い方があり、おもしろいなぁと興味深くみていたことを思い出した。「目の見えない状態で泳ぐってどういう世界なんだろう・・?」という興味から、この本が目に入った。  スポーツ選手の自伝に対しては、「自身の精神論、成功哲学をドヤ顔で語る」本という勝手なイメージをもってい

      • 読書ノート 「はい、泳げません」高橋秀実 新潮社

        「はい、泳げません」高橋秀実 新潮社 全く泳げなかった「僕」は、スイミングスクールに通う。僕にとって、プールは、恐怖の場所、よそよそしい場所。スクールに通ううちに、陸上で歩いて、走って、暮らすように水の中にいられる、水のように、魚のようになっていく。その過程にいたのはコーチ。しかし、コーチが話すことは全く意味不明。 こんなコーチいたら楽しいなぁ。 「水をかこうとしないでください。」 「死体と同じです。力を抜けば浮いてくるんです。」 「考えちゃダメです。何も考えないこと。泳ぐの

        • 読書ノート 脱・筋トレ思考

          「脱・筋トレ思考」平尾剛 ミシマ社 子どもの頃、運動が苦手だった理由がわかった・・豊橋まちなか図書館の「筋トレ」の本が並ぶ中に、手に取る人の思考を、脱構築するように置かれていた本。スポーツ界の人で、知性派、哲学系の人は、為末大だと思っていたけど、元ラグビー選手の著者も、なかなかいい・・!身体知について、内田樹とも交流があるようだ。良すぎて、感想がめっちゃ長くなりました。 〈筋トレ主義とは〉 著者は、本書の中で、わかりやすい目的を掲げ、それに向けてシンプルな方法で解決する考え

          読んだ本 「切手帖とピンセット」

          「切手帖とピンセット 加藤郁美 国書刊行会 切手コレクションと図書館 ライブラリアンは植物蒐集家 世界各国の切手を紹介した、雑貨屋さんにおいてありそうなかわいい本。 そういえば、わたし、子どもの頃の趣味は、「切手集め」だったことがあったんだった・・切手帖、まだ実家にあるかなぁ。切手をつかむピンセットももっていた。 記念切手の発売日が書かれた紙を郵便局でもらって、記念切手が出る日に郵便局に切手を買いに行ったりしていた。確か、小学校3、4年生の頃。子どもの頃の風景。お菓子の

          読んだ本 「切手帖とピンセット」

          読んだ本 リンさんの小さな子

          図書館の棚を見てて、あっこの本!と、思って、取り出して読んだ。 「リンさんの小さな子」(著者 フィリップ・グローデル  訳 高橋啓 出版社みすず書房) 既読の本で、いい本だったなという印象をもっていたが、まるで初めて読むような感じで、ほんとに読んだ本だったっけ?と、自分の記憶は自分で捏造したのではないかと思った。 主人公は1人の老人。「リンさん」という名前のようだ。冷たい風の中で船に乗るリンさんは、どこから来て、どこに行くかわからない。亡くなった息子の赤ちゃんを抱いて、国

          読んだ本 リンさんの小さな子

          読書ノート「男の編み物 橋本治の手トリ足トリ」

          橋本治「男の編み物 橋本治の手トリ足トリ」 「わからないという方法」で、紹介されてる本。簡単にわかるものを書いてたまるかとばかりに、超分かりにくいというか、まわりくどい編みものの編み方の本(笑)橋本治が編んだセーターを着て、モデルで登場してるのが超若い糸井重里や野坂昭如! 編みもののやり方を覚える時、簡単に手っ取り早く覚えたいと人は思う。 普通の編みものの本なら、どの人が着るにもみんな同じ編み図でその通りやれば、素敵なセーターができると書いてある。 この本はそんな教え

          読書ノート「男の編み物 橋本治の手トリ足トリ」

          読書ノート:「ハイデガー 『存在と時間』入門」轟孝夫 講談社現代新書

          【今読んでいる本「ハイデガー 『存在と時間』入門」轟孝夫 講談社現代新書】 何の予備知識もなくいきなり読むには難しすぎる入門書だけど、100分de名著と読書会でだいぶハイデガーが考えていたこととかハイデガー用語がわかってきたおかげで、なんとか読めているという状態。 しかし、何言ってんの??って、わからない箇所は多いが哲学の本ってそういうもんだと思う。入り口に入りかけた人にはとってもいい入門書だと思うーーー。こちら、豊橋まちなか図書館で借りた。 ・ P265のあたりが「

          読書ノート:「ハイデガー 『存在と時間』入門」轟孝夫 講談社現代新書

          読書ノート:スピッツ論

          読んだ本「スピッツ論 分裂するポップ・ミュージック」伏見瞬 イースト・プレス 図書館内をフラフラしていたら、音楽の棚の前を通り、ふと目に留まって借りたら超良かった。 こういう本って、そのアーティストが好きな人の内輪な本なんでしょ?というイメージを覆してくれる本だった。 スピッツを受容する人々・社会を考察した論考になっていて、「分裂」をキーワードにスピッツを分析していた。歌詞をこねくりまわして、あーだこーだ言っているって印象もこうした本にはあったんだけど、音楽理論としても

          読書ノート:スピッツ論

          読書ノート:現代思想入門

          読んだ本「現代思想入門」 千葉雅也 講談社現代新書 めちゃくちゃいい本だった。 こういう本を新書で出すという心意気が素晴らしい。 こうした小難しそうな本を読むことは、知的教養オタクっぽい、頭でっかちで、なんかカッコつけてるよねなんて見えるのかもしれないが、 これは、知的教養オタク同士が身内で話して、わからない人を排除する本ではない。 著者は、読む人の日常、読む人の人生にリンクしていくものとして哲学を差し出したいと考えている。わからない人を排除しない、入門のための見取

          読書ノート:現代思想入門

          読書ノート:ハンナ・アーレント

          読みました。「ハンナ・アーレント」 矢野久美子 中公新書 度々、本で見かけるハンナ・アーレントという人がより立体的になった。ハイデガー、エリック・ホッファー、アドルノ、ホルクハイマーという人の名前も出てきて、あーこの人たちをどの本で見たんだっけ・・。エリックホッファーの波止場日記くらいしか思い出せない。 偶然、100分de名著がハイデガーなので、こんな偶然性が重なると一気に関心が湧き、理解が進むような気がするし、難しそうな「人間の条件」も読んでみようかなと思って借りてしまう

          読書ノート:ハンナ・アーレント

          読書記録:入門 組織開発

          「入門 組織開発」中村和彦 光文社新書 「学習する組織」の本を探して図書館の336の棚を見ていて、肝心の学習する組織はなかったんだけど、こっちの本を借りてきた。 あら、この著者の中村和彦さんと、この本って、もしかして、この前ファシリテーションについてのオススメの本について話し合っていたときにリストに入っていた本だったーーーと気づいた。で、読んでいたら、南山大学のこともたくさん出てくるではないか。こういう偶然楽しいね・・。 よかったところ抜き書き まさにこの前ファシリテーション

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          読書記録:才能を開く 編集工学 才能の見方を変える10の方法

          「才能を開く 編集工学 才能の見方を変える10の方法」 / 安藤昭子 / ディスカヴァー・トゥエンティワン イシス編集学校を運営する編集工学研究所のことを書いた本で、イシス編集学校ではこんなことやるんだろうな〜と思った。編集のお稽古も掲載されていた。 ・ 本書で扱う編集力とは・・ 世界のあらゆるところにある 新たなものの見方、そこにある方法を発見すること。一人一人の中に引き出される力。 素材のウチとソトを自由に行き来する「能」としての編集力によって、素材のウチにある「才」が引

          読書記録:才能を開く 編集工学 才能の見方を変える10の方法

          読書ノート:パンデミック下の書店と教室

          読みました。(本の感想書くの久しぶり・・) 「パンデミック下の書店と教室」小笠原博毅×福島聡 新泉社 ー民主主義のしんどさを受け止める余白としての場所・・図書館や書店ー 「書店」は社会にとってどんな存在かという本なのだが、 「図書館」にも置き換えられると思ってずっと読んでいた。 (でも、著者は「図書館」についてはそんなに意識はないかなとか、  電子書籍も嫌いっぽくて、本は紙だろ!って感じかなぁ。) ・ 「図書館は民主主義の砦」というのが図書館が社会に必要な理由の一つだと思う。

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          読書記録 はじめてのスピノザ

          「はじめてのスピノザ」國分功一郎 講談社現代新書 「中動態の考古学」の要素が詰まっていて、中動態読めなくても こちらを読むのもいいと思った。 新書でスピノザを解説する本をどうして書いたのかが最後に書いてあった。 「哲学が研究の場に閉じ込められるようなことは断じてあってはなりません。哲学を専門家が独占するようなことも断じてあってはなりません。哲学は万人のためのものです。スピノザは世の中の人がもっと自由に生きられるようにと願って「エチカ」を書いたのです。」自分の仕事や暮らしや日

          読書記録 はじめてのスピノザ

          読書メモ

          今、読んでいるよ。 「構造人類学のフィールド」  小田亮 世界思想社 「チョンキンマンションのボスは知っている」の中の紹介本。チョンキンマンション読んだら、これ読みたくなると思う。 構造人類学とは何かを知る本。 まえがきより 構造というと、どうしても私たちは、建物の構造や生産工場の組織などのように、それ自体が単独で完結していて、全体の計画に各部分が従属しているような固定した単一の骨格や体系を思い浮かべがちであるが、構造主義の「構造」とは、そのような体系と違って、他との