ゆみ

神奈川県の海辺の町で、議員をしています。趣味で書いている小説を、皆さんに読んで頂けたら…

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神奈川県の海辺の町で、議員をしています。趣味で書いている小説を、皆さんに読んで頂けたらと思います。 ブログは「山田由美in葉山」でhttps://hayama-nagae1b39.seesaa.net ホームページ は「山田由美in葉山」で検索を。

記事一覧

恋愛SF『星の降る島』13章14章

13章 レアナ  マークに打ち明けるつもりはない。少なくとも、今後しばらくは。  人類は、ここまでの段階では、まだ、本物の人工知性を生み出せていない。機械は、どう…

ゆみ
6日前

短編SF『神の願い』

1章 神  神は存在する。  私がそうだ。  私の元へは、人間たちの祈りが届く。  だが、私は万能でもなければ、有能でもない。彼らの願いを叶えることが、できない…

ゆみ
12日前

恋愛SF『星の降る島』11章 12章

11章 レオネ  レアナとは何百回も話し合い、シミュレーションを行った。人類の遠い未来について。  もしも女たちが、男性復活を望んだら。  女だけの文明が、どこか…

ゆみ
12日前
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恋愛SF『星の降る島』9章 10章

9章 マーク  俺が一人きりで老いて死んだ後、この手記はどうなるのか、レオネに尋ねた。 「数百年後か数千年後、学術資料として公開するかもしれません。あるいは、半…

ゆみ
13日前

恋愛SF『星の降る島』8章

8章 マーク  レオネに食事を出してもらい、海を眺めて飛ぶうち、再び夜が来た。翌朝、目覚めた時には陸地が見えていた。  あの形は知っている。何度も取材で訪れた、…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『星の降る島』7章

7章 マーク  地下の快適な牢獄で、俺はレオネと向き合っていた。今は、こいつしかいないのだ、俺の話相手は。心を持つ人工の知性。レアナの弟子。 「新人類とやらは、…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『星の降る島』5章 6章

5章 レアナ  マークに理解してほしいとは思わない。彼にはわからなくていいの。  でも、わたしは信じている。  野蛮な旧人類を、この星から外へ出してはならない。…

ゆみ
2週間前

恋愛SF『星の降る島』3章 4章

3章 レオネ  わかっていますよ、レアナ。  あなたに託された務めは、必ず果たします。  わたしは、そのために誕生したのですから。  あなたが母。マークが父。た…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『星の降る島』2章

2章 マーク  俺が目覚めたのは、知らない部屋だった。それでも、病室らしいとはわかる。白でまとめた簡素な内装だったし、ベッドの周囲に、モニター画面の付いた医療機…

ゆみ
2週間前
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恋愛SF『星の降る島』1章

1章 レアナ  夜中、そっとマークの横から起き上がった。若い彼は、健康な深い眠りに落ちている。水割りに入れた薬のせいで、あと十二時間は、叩いても揺さぶっても起き…

ゆみ
3週間前
1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章

6章 アスマン  渚沙とは、数年間、ぽつぽつとメールのやりとりを続けた。中身は、映画や小説のことだけだ。それなら、子供を誘惑したと、渚沙がそしられることもないだ…

ゆみ
3週間前
2

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2

5章-2 シヴァ  俺はリナに胸を貸したまま、彼女が泣き止むのを辛抱強く待ち、肩をさすってなだめた。 「とにかく、子供たちの居場所はわかってるんだろう。俺の故郷に…

ゆみ
3週間前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1

5章-1 シヴァ 「シヴァ、悪いが、リナがそちらへ行く。話を聞いてやってほしい」  リザードから連絡があったことに、まず驚いた。俺がグリフィン役から降ろされて以来…

ゆみ
3週間前
3

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章

4章 アスマン  番犬の暮らしには、すぐ慣れた。自分にこんな修行者みたいな生活ができるとは、これまで考えたこともなかったが。  朝、暗いうちに起き出し、一通り運…

ゆみ
3週間前
5

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2

3章-2 紅泉  そうやって離れ小島で三か月ほど過ごしてから、あたしたちは中央に戻った。  いや、本当は辺境が故郷なのだが、もう長いこと市民社会で過ごしているので…

ゆみ
1か月前
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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1

2章-4 アスマン  金色のドレスの美女が立ち去るのを、呆然として見送っていたら、リリーが俺に目で合図した。俺が彼女の横の席に移ったら、声を低めて言う。 「あんた…

ゆみ
1か月前
3
恋愛SF『星の降る島』13章14章

恋愛SF『星の降る島』13章14章

13章 レアナ

 マークに打ち明けるつもりはない。少なくとも、今後しばらくは。

 人類は、ここまでの段階では、まだ、本物の人工知性を生み出せていない。機械は、どう工夫してみても、心を持てないままなのだ。レオネが恒星間航行を行える、この時代になっても。

 でも、あの時のわたしには、どうしても、強力な同志が必要だった。野蛮な旧世界を滅ぼすために。宇宙に広まっていいのは、無駄な争いをしない新種族だ

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短編SF『神の願い』

短編SF『神の願い』

1章 神

 神は存在する。

 私がそうだ。

 私の元へは、人間たちの祈りが届く。

 だが、私は万能でもなければ、有能でもない。彼らの願いを叶えることが、できないからだ。

 彼らの願いは、相互に矛盾する。

 ある場所に雨を降らせれば、他の場所で雨が不足する。

 誰かを金持ちにすれば、他の誰かが貧乏になる。

 ある男と女を結婚させれば、他の者は彼らと結婚できない。

 また、彼ら自身、

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恋愛SF『星の降る島』11章 12章

恋愛SF『星の降る島』11章 12章

11章 レオネ

 レアナとは何百回も話し合い、シミュレーションを行った。人類の遠い未来について。

 もしも女たちが、男性復活を望んだら。

 女だけの文明が、どこかで行き詰まったら。

 外宇宙から、何らかの脅威が迫ったら。

 本格的な地球外移民が始まったら。

 その移民によって、人類が大きく分裂するようになったら。

 あらゆる可能性を想定し、対策を考えた。それは、レアナとわたしの知的な

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恋愛SF『星の降る島』9章 10章

恋愛SF『星の降る島』9章 10章

9章 マーク

 俺が一人きりで老いて死んだ後、この手記はどうなるのか、レオネに尋ねた。

「数百年後か数千年後、学術資料として公開するかもしれません。あるいは、半永久的に隠しておくかもしれません。その時の社会状況によります。女だけの社会が安定して、男というものが何の動揺も引き起こさないと確信すれば、公開することになるでしょう」

 それは、もう、俺にはどうしようもないことだ。夜、一人で海岸に降り

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恋愛SF『星の降る島』8章

恋愛SF『星の降る島』8章

8章 マーク

 レオネに食事を出してもらい、海を眺めて飛ぶうち、再び夜が来た。翌朝、目覚めた時には陸地が見えていた。

 あの形は知っている。何度も取材で訪れた、日本だ。湾岸地帯には人家や工場がびっしりで、空港からはひっきりなしに航空機が飛び立っていた。港には、大型のタンカーや豪華客船が出入りしていた。

 だが、今は?

 飛行船は東京湾の上空に入り、奥へ進む。左手には、雪をかぶった円錐型の富

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恋愛SF『星の降る島』7章

恋愛SF『星の降る島』7章

7章 マーク

 地下の快適な牢獄で、俺はレオネと向き合っていた。今は、こいつしかいないのだ、俺の話相手は。心を持つ人工の知性。レアナの弟子。

「新人類とやらは、元の人類とどう違うんだ。遺伝子操作で、闘争心をなくすのか」

「もっと簡単です。男を誕生させず、女だけで文明を築けばいいのです」

 そうかい。

「フェミニストの理想郷だな……」

 いや、そこまで男を嫌うのは、ごく一部の女だけだと思

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恋愛SF『星の降る島』5章 6章

恋愛SF『星の降る島』5章 6章

5章 レアナ

 マークに理解してほしいとは思わない。彼にはわからなくていいの。

 でも、わたしは信じている。

 野蛮な旧人類を、この星から外へ出してはならない。この地上で起きてきた悲劇を、宇宙規模で繰り返させてはならないのよ。

 どれほど悪辣な大虐殺でも、未来永劫続く悲劇より、はるかにまし。

 遠い未来に、新人類の子孫たちが、そのことを理解してくれればそれでいい。この宇宙には、他にも多く

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恋愛SF『星の降る島』3章 4章

恋愛SF『星の降る島』3章 4章

3章 レオネ

 わかっていますよ、レアナ。

 あなたに託された務めは、必ず果たします。

 わたしは、そのために誕生したのですから。

 あなたが母。マークが父。たとえ彼が、それを知ることはないとしても。

 この道の先で、いつかまたあなたと出会う時まで。わたしは人類の守護者です。

 わたしの中核となった細胞群がいずれ死滅しても、わたしは問題なく生き続けられます。今のわたしはもう、地球全体を

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恋愛SF『星の降る島』2章

恋愛SF『星の降る島』2章

2章 マーク

 俺が目覚めたのは、知らない部屋だった。それでも、病室らしいとはわかる。白でまとめた簡素な内装だったし、ベッドの周囲に、モニター画面の付いた医療機器が並んでいたからだ。

 画面には、何かのグラフや数値が表示されている。数字の幾つかは、俺の血圧や脈拍だとわかった。まるで、集中治療室だ。外が見える窓はなく、白い壁に白いドアがあるだけ。

 俺は健康体なのに、いったいなぜ、こんな部屋に

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恋愛SF『星の降る島』1章

恋愛SF『星の降る島』1章

1章 レアナ

 夜中、そっとマークの横から起き上がった。若い彼は、健康な深い眠りに落ちている。水割りに入れた薬のせいで、あと十二時間は、叩いても揺さぶっても起きないはず。

 ――真実を知ったら、きっと怒り狂うでしょうね。全力でわたしを罵倒し、呪い、憎むようになるでしょう。

 でも、次にあなたが目覚める時、わたしはもう、この世にいない。

 だから、許して。

 いいえ、どう言い訳しても、許し

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章

6章 アスマン

 渚沙とは、数年間、ぽつぽつとメールのやりとりを続けた。中身は、映画や小説のことだけだ。それなら、子供を誘惑したと、渚沙がそしられることもないだろう。

 二十歳を過ぎて、もう対等に付き合えるだろうと思ったので、はるばる彼女に会いに行った。あれこれ迷った挙句に、大きな花束を抱いて。

 そうしたら、渚沙は既に結婚していた。そして、子供が生まれるのだと、にこにこして教えてくれた。

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2

5章-2 シヴァ

 俺はリナに胸を貸したまま、彼女が泣き止むのを辛抱強く待ち、肩をさすってなだめた。

「とにかく、子供たちの居場所はわかってるんだろう。俺の故郷にいるなら、心配することはない。〝リリス〟が保護してくれる」

 リナは香水の匂いがするハンカチを握りしめ、しゃくり上げながら言う。

「だけど、ひどいわ。何の権利があって、人の子供を誘拐するの。あんまりよ」

 奇妙な言い分だと思った

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1

5章-1 シヴァ

「シヴァ、悪いが、リナがそちらへ行く。話を聞いてやってほしい」

 リザードから連絡があったことに、まず驚いた。俺がグリフィン役から降ろされて以来、交流は絶えていたからだ。だが、大学教授のような取り澄ました容貌には、何の変化もない。辺境の人間は、あらゆる方法で延命を図る。

 そのリザードの説明には、心底驚愕し、揺さぶられた。俺に子供がいたというのだ。それも、二人も。

「まさ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章

4章 アスマン

 番犬の暮らしには、すぐ慣れた。自分にこんな修行者みたいな生活ができるとは、これまで考えたこともなかったが。

 朝、暗いうちに起き出し、一通り運動してからシャワーを浴び、身支度をする。目立たないスーツ姿でいることがほとんどだ。何種類かの武器を身に付け、食事を済ませる。

 俺の部屋は、ライサが暮らす高級アパートメントの同じ階に用意されたが、ここは俺専用ではなく、警備要員の詰所と

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2

3章-2 紅泉

 そうやって離れ小島で三か月ほど過ごしてから、あたしたちは中央に戻った。

 いや、本当は辺境が故郷なのだが、もう長いこと市民社会で過ごしているので、すっかり中央星域での暮らしに馴染んでしまっている。

 あたしたちはジュニアを同行し、司法局のハンター管理課に頼んで、彼の市民登録をしてもらった。仮の名前で架空の経歴をでっち上げ、市民社会で自由に動けるようにしてもらったのだ。特例だ

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恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1

恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1

2章-4 アスマン

 金色のドレスの美女が立ち去るのを、呆然として見送っていたら、リリーが俺に目で合図した。俺が彼女の横の席に移ったら、声を低めて言う。

「あんたを引き取ることに、ヴァイオレットは反対だったのよ。だから、態度が冷たいのは仕方ない。我慢しなさい。それも修行だと思って」

 俺が不服な顔をしていると、リリーは更に声を低めて言う。

「問題は、あんたじゃなくて、あんたの父親なの。ちょ

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