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恋愛SF『星の降る島』13章14章
13章 レアナ
マークに打ち明けるつもりはない。少なくとも、今後しばらくは。
人類は、ここまでの段階では、まだ、本物の人工知性を生み出せていない。機械は、どう工夫してみても、心を持てないままなのだ。レオネが恒星間航行を行える、この時代になっても。
でも、あの時のわたしには、どうしても、強力な同志が必要だった。野蛮な旧世界を滅ぼすために。宇宙に広まっていいのは、無駄な争いをしない新種族だ
恋愛SF『星の降る島』9章 10章
9章 マーク
俺が一人きりで老いて死んだ後、この手記はどうなるのか、レオネに尋ねた。
「数百年後か数千年後、学術資料として公開するかもしれません。あるいは、半永久的に隠しておくかもしれません。その時の社会状況によります。女だけの社会が安定して、男というものが何の動揺も引き起こさないと確信すれば、公開することになるでしょう」
それは、もう、俺にはどうしようもないことだ。夜、一人で海岸に降り
恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』6章
6章 アスマン
渚沙とは、数年間、ぽつぽつとメールのやりとりを続けた。中身は、映画や小説のことだけだ。それなら、子供を誘惑したと、渚沙がそしられることもないだろう。
二十歳を過ぎて、もう対等に付き合えるだろうと思ったので、はるばる彼女に会いに行った。あれこれ迷った挙句に、大きな花束を抱いて。
そうしたら、渚沙は既に結婚していた。そして、子供が生まれるのだと、にこにこして教えてくれた。
恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-2
5章-2 シヴァ
俺はリナに胸を貸したまま、彼女が泣き止むのを辛抱強く待ち、肩をさすってなだめた。
「とにかく、子供たちの居場所はわかってるんだろう。俺の故郷にいるなら、心配することはない。〝リリス〟が保護してくれる」
リナは香水の匂いがするハンカチを握りしめ、しゃくり上げながら言う。
「だけど、ひどいわ。何の権利があって、人の子供を誘拐するの。あんまりよ」
奇妙な言い分だと思った
恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』5章-1
5章-1 シヴァ
「シヴァ、悪いが、リナがそちらへ行く。話を聞いてやってほしい」
リザードから連絡があったことに、まず驚いた。俺がグリフィン役から降ろされて以来、交流は絶えていたからだ。だが、大学教授のような取り澄ました容貌には、何の変化もない。辺境の人間は、あらゆる方法で延命を図る。
そのリザードの説明には、心底驚愕し、揺さぶられた。俺に子供がいたというのだ。それも、二人も。
「まさ
恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』4章
4章 アスマン
番犬の暮らしには、すぐ慣れた。自分にこんな修行者みたいな生活ができるとは、これまで考えたこともなかったが。
朝、暗いうちに起き出し、一通り運動してからシャワーを浴び、身支度をする。目立たないスーツ姿でいることがほとんどだ。何種類かの武器を身に付け、食事を済ませる。
俺の部屋は、ライサが暮らす高級アパートメントの同じ階に用意されたが、ここは俺専用ではなく、警備要員の詰所と
恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』3章-2
3章-2 紅泉
そうやって離れ小島で三か月ほど過ごしてから、あたしたちは中央に戻った。
いや、本当は辺境が故郷なのだが、もう長いこと市民社会で過ごしているので、すっかり中央星域での暮らしに馴染んでしまっている。
あたしたちはジュニアを同行し、司法局のハンター管理課に頼んで、彼の市民登録をしてもらった。仮の名前で架空の経歴をでっち上げ、市民社会で自由に動けるようにしてもらったのだ。特例だ
恋愛SF『ブルー・ギャラクシー ジュニア編』2章-4 3章-1
2章-4 アスマン
金色のドレスの美女が立ち去るのを、呆然として見送っていたら、リリーが俺に目で合図した。俺が彼女の横の席に移ったら、声を低めて言う。
「あんたを引き取ることに、ヴァイオレットは反対だったのよ。だから、態度が冷たいのは仕方ない。我慢しなさい。それも修行だと思って」
俺が不服な顔をしていると、リリーは更に声を低めて言う。
「問題は、あんたじゃなくて、あんたの父親なの。ちょ