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新宿二丁目まで彼女に会いに行った話

彼女に会いたくて新宿二丁目まで会いに行った。
結果は会えたけど話す事はできなかった。


Twitterで度々彼女は新宿二丁目へ足を運んでいる事を話していた。
よくリプライする仲の良い人がいる様で、店の店員の様だ。

新宿二丁目はLGBT向けのお店が多く、ゲイバー>オカマバー、ミックスバー>レズバーと店舗があり、女でも入れる店もあれば入れない店もあるし、逆に女しか入れない店もある。

彼女のTwitterを見る限り、男がいる場への出入りを嫌っているのと、昔のツイートでレズであると公言しているのもあり、レズバーに行っているのだろうと予測をしていた。

レズバーは新宿二丁目の中でも数が少ないので、数を当たれば会えるだろうと思い足を運んだ。


新宿二丁目は新宿駅からは遠く、少し分かりにくかった。
仲通りというメインの通りを中心にそう言った類いの店が軒を連ねており、男同士で手を繋いだり飲んだりしているのを当たり前の様に受け入れている場だった。

BLの世界と異なりホモの世界ではムキムキで髭の濃いルックスが好まれる様で(ベア系と言うらしい。)タダでBL拝めるなんて最高じゃんと思っていたが現実は甘くなかった。


始めは1番大きいレズバーに行った。
イベントを多く行なっており、ここが1番いる可能性を感じている店だ。
生ビールを頼み店内を見るが彼女はいなかった。
大きいと言っても規模が知れているので店内を見渡すのは容易だった。

店員は積極的に話しかけてくるので喋らなければならない。
聞いた所、この世界ではひとつの店で2杯ほど飲み、場所を変え、何店舗か回るのが普通だと言われた。
出会いの場故にその様な飲み方をするらしい。

店員は女だが男の様な見た目をしており、周りの客も独特な空気感があった。
私だけ店に合ってない様な感じがしたが、この数年で新宿二丁目も観光地化しており、学生や普通の社会人も多くいる様だ。

2店舗目へ向かう。
6人ほどしか入れないカウンターバーで、検索すると初心者向けで上位に出てくる店だ。
モニターがありアイドルDVDを流していた。
バーであるが軽食もあり、店員も複数いて先程の店より居心地が良さそうだ。

しかしここにも居ない。
店員から新宿二丁目によく来るのかと話しかけられたので彼女の事を聞いたが知らないと言われた。
この辺りでは偽名を使う事も多い様で本当の名前を知らない出会いが多いのだと言う。

ここではハイボールを2杯飲み店を出た。


3店舗目へ向かう。
2店舗と同じ様に小さなカウンターの店で、入ると満席だった。
もちろん彼女はここにもいなかった。
この時点で22時を過ぎており、終電を考えると最後の店だと思った。

チョコミルクを勧められたが梅酒のロックとナッツを頼んだ。
ここでも新宿二丁目によく来るのかと聞かれた。
こんなに聞かれると私が周りから浮いているのかと心配になったが、他の人にも聞いていたのでよくある話なのだと思う。

梅酒の2杯目を飲みつつ彼女のTwitterを見ていた時、店員から席を詰めて欲しいと言われた。
これから人が来る様だ。
席を移動しつつ、他の店に行こうか帰るかと考えている時、彼女が来た。

宝塚に出て来そうな男っぽい格好の女に抱えられる様にして彼女がやって来たのだ。

タンクトップの様な袖のないワンピースに身を包んだ彼女は写真で見るより背が高く、色が白くて細く折れそうだった。

店員と連れの女の会話から、他で何かのお祝いをしてもらいワインを開けた後、彼女が酔いすぎたのでこの店で終わりにするとの事だった。

私、連れ、彼女と並んで座り、店員を中心に店全体で会話が始まった。
店員と連れは顔馴染みの様で日常の報告をしていた。

彼女はかなり酔っている様で、1人で立つ事もままならない様だ。連れが彼女にこの後どうするのかと言う様な事を問いかけると、彼女は帰ると答え、タクシーをこの後呼んで帰る様だ。

連れと店員の会話から、彼女が他の店で話していた内容を少し知ることが出来た。

彼女のTwitterの解らない部分の辻褄が合った気がした。それでも分からない事は多い。

なぜ指輪をしたいないのか、その服で仕事にいったのか、財源はどうなっているのか、絵師と別居なのは何故か、結婚しているのに飲み歩くのを絵師は知っているのか、男とやれないのに女とはホテルに行くのか。


彼女を見て、私は何ひとつ勝てないのは分かった。

でも私なら絵師と酒を飲む事が出来るし、結婚しているのなら性交渉だって出来るだろうし、指輪や旅行の様な高価な物をねだったりはしない。

何で好きでもないこの人が選ばれて、ずっと好きだった私が選ばれないのだろう。

彼女程ではないが、絵師から見れば私だって若いはずだ。

何がダメなのだろう。


会計を済ませて外に出ると、タクシーを待つ彼女達がいた。
2人で立ってるだけなのに他のグループから声をかけられ、楽しそうに話していた。

そのグループが知り合いなのかナンパなのかは分からないが、彼女の周りには人が溢れていた。

私はここでも1人だ。


会えるとは思っていなかったが、会いに行った事を後悔はしていないし、今後もチャンスがあれば会いに行くと思う。

会って何か変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。

それでも自分が納得して感情が落ち着くまでは何かに縋っていないとどうしようもない気がする。

今度は酔っていない彼女に会いたいと思うし、話してみたいと思う。

仲良くなって絵師に会わせてもらったり、有名な人を紹介してもらえたりなんてしないだろうか。

喪女にだって人並みに性欲や承認欲求はある。
彼女の様に良い生活をしてチヤホヤされたいと思わずにはいられないのだ。

また彼女の動向をチェックして、チャンスがあれば接近してみようと思う。


初めて行った新宿二丁目は思ったより楽しかったし異世界的な驚きがあった。

今度は彼女がおすすめしていたカレーを食べに歌舞伎町にも行ってみようと思う。

同じ範囲にいればまた会えると思うし、彼女や絵師に近付ける気がするから。

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