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青が躍る 猫を想う

穏やかな時間が流れる湾を

ぐるりと囲むような形で

たたずむ小高い山々からは

秋の気配が漂っていた

船着場の堤防にもたれながら

頭の上をぐるりと飛び回る

鳶の群れの囀りを聞く

水面に朝陽が反射して

きらきら眩しく忙しなく

青が躍っていた

長袖の黄色いパーカーと

潮の香り

湾の外に出ていた船が

白波を立たせながら

帰ってきた

名前を尋ねても

教えてはくれない

野良猫が一匹

物欲しそう目で

僕を見ていたが

その思いに応えたくとも

僕にはどうする事もできない

仕方ないから僕もまた

彼を切なく見つめ返す事しかできなかった

僕はやがてこの場所を

立ち去るがいつかまた

見知らぬ誰かが

この場所に来た際には

君の思いに応えてくれるかもしれない

例えば今さっき帰ってきた

船から降りてきた漁師の

そばに駆け寄るとか

もしかしたら思いがけぬ

サプライズに出会えるかもしれない

穏やかな時間が流れていく

三重の海の思い出を脳裏に刻む

野良猫の未来に幸があらんことを

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