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雨粒を染み込ませて

柔らかく濡れそぼっていく

若草の囁きに耳を傾ける

詩人もまた自身が濡れる事を

よしとしている

目で見て

耳で聞いて

肌で感じて

感覚で結びつけていく

並べる言の葉にしっかり

説得力を織り交ぜていく

雨粒を沁みこませれば

目には見えなくても

雨が降らせるのだと

詩人は言った

聞こえなくても

肌身で体感したからこそ

情景をリアルに伝えられる

言の葉に雨粒の魂を

吹き込むことができる

頭の中だけで力任せに

描いただけでは

伝えきれない端々を

詩人は自らの

身体を介す事で

僕らに

雨降りの素晴らしさを

教えてくれる

傘を必要とするか

否かは詩人の心に

触れた後に考えれば良い事だ

とりあえず詩人の言葉により

僕の頬は確かに濡れた訳だし

透明な雨粒が

確かな実態を持って

僕の心を静かに

濡らしていった事だけは

間違いないのだ

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雨の日をたのしく

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