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靴と友達 (+年末のご挨拶)

11月30日(木) 夜。アンドレア宅リビングにて。

L「ねーーー つまんない!! 何かして遊ぼうよ! それかピアノ弾いて!」

A「風邪が治ったら遊んでやるから... 今朝、本を買ってやっただろ。今はそれを読んで大人しくしててくれ」

L「やだよ。あの本読んだら寝ちゃうもん。今寝たらお前が寝てるときに起きて、余計つまんなくなるだろ!」

A「俺はそれでもいいんだけど... そうだ。日本はもう朝だろ。明日は12月1日だからkaeが記事を上げたんじゃない?」

アンドレアに言われるままスマホに目をやると、noteからの通知が目に入る。彼の言う通りだった。


※この記事(上のリンクの記事ではなく、今あなたが読もうとしてくださっているこの文章)は、日本人の僕とイタリア人の友人アンドレアがイタリア語で交わした会話を、日本語に訳したものです。
ほぼ会話のみで構成されているので、どちらの発言であるかを明確にするため、僕の台詞にはL、アンドレアの台詞にはAを、「」の前に付けてお送りしたいと思います。


A「字を読むのがつらいから音読して」

L「待って。今、トップ画像を拡大して本のサブタイトル見てるから」

A「著者は『須賀敦子』... 有名な人?」

L「さあ。でも、本出してるくらいだから有名なんじゃね? そんなことより、『トリエステの坂道』とか『時のかけらたち』とか、題名がめちゃくちゃかっこいいんだよ。どうやったらこういうのを思いつくんだろう...」

A「君は日記にタイトルをつけるようになってから、ずいぶん苦労しているみたいだもんね」

L「そうなんだよ。でも、今はその日に載せた短歌の初句をそのまま使ってるから、すげぇ楽」

A「ちなみに今までのタイトルは?」

L「『旅立ちは…』『ツリーが煌めく』『3種類のサンドイッチ』『犬のカルロと…』」

A「童謡のタイトルみたいw」

L「...ちなみにお前の詠んだ短歌の初句を並べるとね、『かわいい小さなツリー』『ほら、見て』『俺は彼をカルロと呼ぶ』...僕のと大差ねぇだろ」

A「翻訳のセンスがないんじゃないか」

L「だまれ」

A「タイトルのことはもういいから、先へ進もう」

L「『須賀敦子の人生』... ... この人も留学してそのまま居つくケースだ。このパターン多いよね」

A「まぁ、そうだね。君みたいに、遊びに来てそのまま居つくほうが稀だと思うよ。でも、イタリアへの入り口がイタリアと直接関係ないのは君と同じだね」

L「うん。だけど、僕の場合は歌だったから... 全く関係ないわけではないよ。声楽を習うと大抵『イタリア古典歌曲集』を歌うから...」

A「"本場のイタリア歌曲に触れるために" って、お母さんが君をイタリアに連れて行ってくれたんだよね」

L「そうそう。イタリアで一番初めに行ったのがローマで、次がフィレンツェ。テルミニ駅でスリを見かけたのがきっかけでイタリアに興味を持ったんだよ。でも、母さんが一緒じゃに近寄らせてもらえないだろ。だから、"一人でイタリアへ行かせてくれたら帰国後ピアノを習って、ゆくゆくは音楽高校か大学へ進学。で、在学中にイタリアで音楽留学したい" って嘘ついて、一か月間だけ一人でイタリアに滞在してもいいことになったんだ」

A「それってヴェネツィアへ行く前の話だよね。どうしてローマじゃなくてヴェネツィアにしたんだっけ?」

L「母さんが選んだんだよ。ヴェネツィアって車走ってないじゃん。だから他の町より安全だと思ったみたい。でも、安全すぎて本当に何もなかった。景色は最高に綺麗だったけど、退屈でさ...」

A「それで、そのあとボローニャへ」

L「そうそう。それも母さんが選んだの。中堅都市だし、学生街だから安全だと思ったんだって。ボローニャには二か月... まぁ、ラヴェンナでアルフレードと知り合ってからボローニャ中心街のアパートに戻ることはなかったから、実質二週間しかいなかったけど」

A「...外国で知り合いになる人って、大事だよな。君も須賀敦子みたいにペッピーノのような人と出会っていたら...」

L「出会ったとしても仲良くはならねぇだろ。実際、ボローニャ大学を卒業して、イギリスの大学の博士課程に通いながら同じ大学で英語の講師をしてて、伊・英・独・仏・露の五か国語が話せて、おじいちゃんが作曲家のマスカーニと友達...とかいうやつとボローニャで知り合ったけど、なんか感じ悪...と思って、それっきり...」

A「君は劣等感が強いからな...」

L「...どういう意味だよ」

A「君の『感じ悪い』っていうのは、kaeが書いてる『私にとって彼女たちはとても眩しい存在』っていうのと同じなんじゃないかと思って。負け惜しみばかり言ってないで、"自分もこうなりたい" と思うような人たちと交流するのは大切なことだと思うよ」

L「...ムカつくからやだ。僕は今のままでいいの。どうせ大成しないんだから好きにさせてよ。ねぇ、それよりさ、本編最後の写真見て。僕の住んでた建物が写ってる」

A「ほんとだ... 以前、君がジュデッカ島で暮らしていたと聞いたときは思わず笑ったよ」

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年末のご挨拶

今日から12月。2023年も残り一か月となりました。年末のご挨拶にはまだ早い時期ではありますが、年内の投稿はこれで最後となりますので(たぶん)、末筆ながら、一年間お世話になった皆様に心より感謝申し上げます。

寒冷のみぎり、ご自愛なさって、よいお年をお迎えください。
また来年お目にかかれることを楽しみにしております。

Loris M.
231201

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