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塾に行く子はいない。夏休みも冬休みも宿題のないドイツ。

ドイツで塾に通うことは当たり前のことではありません。大抵中学入学して前半の時期とか、まだ勉強に追いつける・間に合うくらいのレベルである時に、ドイツ語でNachhilfe(ナッハヒルフェ)という放課後に通う塾に通うケースがあると言えます。日本と違って成績が本当に思わしくないというレベルの生徒たちがいくところなのです。主に、小・中学生の時にその塾に通い、進学校に入学したとすると塾に通いのではなく、自分の学力に合わせてもう一年やり直したり、校内の高学年がバイトしている、放課後に個別の家庭教師的なサービスをお願いすることも可能です。最悪のケースで成績が良くならない場合は別の高校に転校するというケースも普通にあります。

「ドイツはすごいよね、夏休みは宿題もないんだものね。」と、母はいつもドイツの学校教育システムを絶賛します。私もこちらの子供達の学校の仕組みについてを色々母に伝えているので、たまにそういう話題になります。

ベルリンは6週間の長い夏休みがありますが、小学生も中学生も高校生も夏休みに宿題はありません。

宿題らしいものがあるとしたら。例えば息子が中2くらいの時に数学の成績が思わしくなかったため、数学の先生に「夏休みの間にこの問題集をやってきてね。」とか、その程度のアドバイスが一度あったくらいです。

学校休暇中にすることでは家族で旅行に行くことが一番人気、あとは毎日とにかく好きなことをする、寝坊する、サッカーを代表としたスポーツキャンプに参加するなど、机に向かうのではなくて、むしろ人間が人生にとって大切なものを体験する、リフレッシュするのがこちらの子供達の学校休暇の過ごし方です。

本当にそうなんです。中高生の勉強好きで良い成績をとにかくキープしたい子達は休暇中にたくさん本を読んだりするとか、ちょっとリッチな家庭の子だと、イギリスに1、2週間ほどのキャンプ的な短期語学留学をするとかでしょうか。

ベルリンでは6週間の夏休みだけでなく、2週間の秋休みやイースター休暇、1週間の冬休みもあります。その代わりと言ってはなんですが、授業の進行は休みが多いためにかなり集中的に習得しなくてはいけなくて、テストもすぐに休み前に始まったりとストレスフルな雰囲気です。高3の娘のような進学校の高校生ともなると、授業についていくのが大変そう。授業で習ったことをすぐに理解していけるのなら楽勝だけど、そうでない場合は結構しんどいようです。

さて、休み中はとにかく宿題存在しないことは理解してもらえたかと思いますが、実は通常の宿題をも排除しようとしている学校もあります。その理由というのは、成績の良い生徒たちは、煩わしい宿題をできるだけ早く、無理なく片付けようとする一方、成績の悪い子どもたちは、実際には何の進歩もないまま、家で多くの時間を過ごさなければならないためとのことで、つまり、どちらの場合も、宿題の効果はほとんどなかったからとのこと。さらに、家庭では親たちが結局のところ宿題を手伝うケースがほとんどで、リラックスすべきである家庭内でプレッシャーのある雰囲気になることがマイナスになるとのこと。保護者の希望もあり、宿題を家に持ち帰らずに、放課後の時間に学校で済ませることができる授業時間を設けている学校も増えているようです。

無駄なものをなるべく無くしていこうと改善していくドイツらしい考え方でもあるな、と思いました。



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