しょしがり

しょしがり とは新潟弁で恥ずかしがり屋を意味します。シンママ経験者。介護福祉士。介護支…

しょしがり

しょしがり とは新潟弁で恥ずかしがり屋を意味します。シンママ経験者。介護福祉士。介護支援専門員。社交不安。NPOなどの福祉活動のボランティアをしています。 揺れ動く不確実な感情を、未熟ながら表現できたらと思います。

最近の記事

認知症でアル中でLGBTQのおじいちゃん

昔、介護施設で働いていた時の話だ。 80代後半のおじいちゃんがいた。 ほとんど寝たきりでオムツ、寝返りはできるが、自分で起きたり、歩くことはできない。 車椅子に乗ることも移動することも、私たちが行った。 食事は左手のみ使いスプーンで自分で食べていた。 体は常に傾き、ボロボロと食べ物をたくさんこぼすのでエプロンをつけていた。 脳梗塞の後遺症で片麻痺があったので、左半身しか動かせなかった。 脳血管性認知症の診断もついていた。 言葉は話せなかった。 顔の表情も麻痺のせいか動かず、

    • 摂食障がいのつらさを少しわかって、食べる楽しみを味わう

      摂食障害、という言葉は私には無縁だと思っていた。 食は細くても食べることは大好きだった。 いつでも食べられるようにお菓子やパンは家に常備していたし、 通学の電車の中でも常にスナック菓子を友達と回し食べていた。 よほど高熱でも出ない限り、食欲が落ちることもなかった。 夜中に無性にフライドポテトが食べたくなってマクドナルドに走ったり、 衝動的に宅配ピザを頼んだり、 カロリーお化けも構わず摂っていた。 狂い始めたのは、夜勤のある仕事に就いてからだ。 15年ほど前、病院の介護

      • 前科のある若者をどう支えるか

        私が彼と初めて出会ったのは半年前だ。 アパート管理をしている友人の紹介だった。 福祉関係の仕事をする友人は、自身の持つアパートに入居したばかりの男の子を私に紹介した。 男の子といっても、24歳の青年だ。 友人は私に、彼の生活支援(金銭管理や安否確認など)をして欲しいと依頼した。 最初の印象は、がっしりした体型とは真逆の、幼い話し方をする、愛想のいい子、だった。 それからすぐに住所変更と生活保護の手続きを一緒に行った。それによって、数年間で市内を転々としていること、生活保護受給

        • 繁殖引退犬のうちのこたちの自己紹介

          寂れた海水浴場の人目につかない掘立て小屋だった。 もと建設関係の事務所に使われていたような古いボロボロの建物に、 車が近づくと、けたたましい犬の群れた声。 案内されて、滑りの悪いガラスの引戸を開け足を踏み入れた。 ひどい匂いだった。声も大きく張らなければ会話できない。 獣と糞尿の発酵した匂いの中でくらくらした。 二十畳ほどの空間に、小さな錆びついたケージが壁に沿って3段重ねに積まれ、それぞれに2匹づつ入れられている。 その数5〜60匹はいるだろうか。 ケージの前には手作りのサ

        認知症でアル中でLGBTQのおじいちゃん

          場末のスナックのママ体験から得たこと

          私が手伝うNPOの代表が、趣味のためにバーをオープンさせた。 バーと言いつつ、居抜きで破格の家賃、しかも昭和漂うワイン色のベルベットの椅子とワイン色の絨毯。 場末のスナック感満載の渋くて落ちついた空間のカウンターバーだ。 代表が酒好きで、ただただ飲んだくれたいだけの理由なはずだったが、 引き寄せられるように福祉関係者が夜な夜な集い、情報交換し、繋がりを持ち、時に不満や愚痴を吐き出す場所に自然になっていった。 代表と一緒にカウンターに立つのは日替わりママ。 福祉系の有資格

          場末のスナックのママ体験から得たこと

          たとえ何ひとつ無くなっても

          ホームレス、と一言で片付けてしまえばそれまでなのだが、 世の中には、住む家も、身分証も、携帯電話も、お金も、何ひとつ持たないで福祉関係機関に保護される人がいる。 それは、本人の意思でそうなっている場合もあるし、そうではない場合もある。 家族との関係悪化で家出の場合、虐待やDVなどがこれである。 自分の意思というより、我慢を重ねての結果こうするしかなかった。こうなってしまった。というほうが正しいかもしれない。 本人の意思でホームレスになる場合、触法も多い。 自暴自棄または生

          たとえ何ひとつ無くなっても

          美容クリニックに行ってわかったこと

          どうにも加齢に逆らえなくなったと実感した40代後半。 自分の顔面に、いつからか根づいてどんどん存在感を増していくものを確認した。 シミ。 突然現れたわけでもなく、以前よりうっすらとメイクするたびに気にはなっていた存在。 どうしても許せない、受け入れられない日はいきなりやってくる。 コンシーラーでも消えない。あれ?まだ消えてない。 自分が持っているプチプラコスメ全部駆使しても、隠せなくなった。 あれ?シミ、こんな濃かった? ドラッグストアでハイカバーとうたうファンデーションと下

          美容クリニックに行ってわかったこと

          シングルマザーを経て今息子たちに思うこと

          春休みを終えた子どもたちが、近所の通学路を歩くそばを車で通り越す。 こんな私でも、人の親にさせてくれたことを、神様に感謝したい。 今でも時々夢に見る。 息子2人がまだ幼かった頃。 声変わりもしていない、甲高い細い声で、 ママ、ママ、ママ 呼びながら太ももにしがみついてくる。 「ごめんね、ママお仕事行ってくるからね、お昼ご飯食べててね。」 引き剥がし、後ろ髪を引かれる思いで仕事に行った。 お昼ご飯なんていうほどいいものではない。 白米だけ炊いて、カップめん、ふりかけ、瓶詰め

          シングルマザーを経て今息子たちに思うこと

          はじめて心療内科に行った日

          まず初診予約を取るのに苦労した。 目星をつけておいた、高レビューの開業二十年ほどの心療内科は予約患者のみ。HPを見ると予約受付は完了していた。予約開始は1ヶ月後。診察してもらえるのはさらにその先になる。 また別の心療内科を検索する。 内科、心療内科、精神科、小児内科、の診療を掲げている。予約制ではない。 午後の診察時間の10分前につき、車で待機した。ぞろぞろと患者と思しき高齢者や学生が入り口に並び、私も慌てて6番目くらいに並んだ。15時の開始とともに受付へ流れ出す。 「初

          はじめて心療内科に行った日

          性被害に遭ったときのこと

          何も変わらないはずの毎日に、突然事件が起こった。 職場のトイレから小型カメラが見つかったのだ。 誰でも使える男女共用の多目的トイレのような作りをしているトイレだ。 便器の周りには手すりが設置され、腰掛けたときに使える可動式前方アームレスト(肘置き)が、常に開いた状態で壁に付いていた。 腰の曲がった高齢者が、そのアームレストにもたれかかかって排泄できるようになっている。 ほとんど使用頻度がないため、開かれていたわけだが、 その下側に、便器の方を向いて親指の先っぽほどのカメ

          性被害に遭ったときのこと

          ボランティアをする意味

          ある社会福祉法人の開局記念式典に参加した。 詳細は書けないが、生きづらさを抱える人のメンタル的な支援を、 寄附金とボランティアで支援している団体である。 それが40周年を迎えた。 医学的見地から、あるいは宗教的、国際的、死生観、幸福とは、生きることとは、死ぬこととは… 様々な角度でトークセッションを交えた講演内容だった。 時代が変わり、人間も歳を重ねて変化していくのに、 辛い、苦しい、寂しい、 息をすることさえ大変な人たちは減らない。 戦争を経験したある高齢者は言う。

          ボランティアをする意味

          できる新卒、できない新卒

          新年度を迎え、また今年も新卒社員が入社する時期となった。 OJTを終えた昨年度の新入社員が、一年先輩となり旅立つ。 私がパート事務を手伝っている介護施設でも今日、門出を迎えた元新卒の2人がOJTを卒業した。 A君とBさん。 学部は違えど同じ大学を卒業し、現場に必要な経験や資格はない。 スタートは全く違わないはずだった。しいて言えば、女性の多い職場に若い男性社員君が入ってくれば、同時に入社した女性社員のBさんよりはA君の方が何かとちやほやされ、努力なしで可愛がられキャラと

          できる新卒、できない新卒

          トランスジェンダーMTFの友人からパワーチャージしてもらった日

          負のオーラに支配され、どうにも思考が這い上がれなくなっていた最近。 久しぶりに彼女と会った。 「花見行こ!弥彦!」 彼女のペースで行き先が決まり、私の運転でスタートした。 正直、桜など見る気分でもなかったが、カフェで延々愚痴大会のガールズトークも今日はキツい。(いつもはだいたいこれ) 「やっぱ春はいいよねー。新潟って冬が長いからさ、寒くて誰も外出ないじゃん。ほら、うちらが飲み行ったときもバーで客誰もいなかったし。ま、しょーがないか、あの日猛吹雪だったし。帰りも運転怖かっ

          トランスジェンダーMTFの友人からパワーチャージしてもらった日

          主役にはなれないけど

          どうしてみんな桜が好きなんだろう。 儚さ、艶やかさ、美しさ、淡いピンクのか弱そうな、力強さ。 その全てが万人に愛され、世界の人々をも魅了している。 生命の息吹を象徴するような春、不動の地位を確立している。 桜並木の河川敷に、すずらんが肩を寄せ合って咲いていた。 通る人は、見上げてシャッターを切る。 桜しか見ていないから、すずらんは踏みつぶされる。根本から。 誰も足下など見ない。桜をいかに美しく画像におさめるか、 ベスポジでを探し写真を共有し、きれいだね、といわれるために

          主役にはなれないけど

          桜泣く

          この季節になるといつも想う。 桜が咲いている。 花のにかおりと遠い記憶。 出会い。はじまり。別れ。 あの人と春に出会った。 そしてあの人と春に別れた。 あの頃はどうにもならなかった。 別れたくない。 離れたくない。 だけど幼なすぎた。 どうして出会ってしまったのだろう。 出会わなければ、こんなに苦しくなかった。 会いたい。 会いたくて自分をどうしようもできない。 死にたい夜にあの人が夢に現れる。 あの頃のまま、まっすぐ私を見つめる。 手を握る。 笑いかける。 会ってどうするの

          たまには真面目にLGBTQを私なりに考える

          先日あるNPO団体の主催する勉強会に参加しました。 テーマはLGBTQについてです。 婚姻、出産、賃貸、公営住宅、ローン、就職、入院、保険、相続… 社会のあらゆる場面で壁が立ちはだかるのだそうです。 当たり前のことが当たり前にならない世の中を、少しでも変えられるように声をあげ、理解を広げる活動を日々されていました。 親子関係も、夫婦関係も、トイレも、体つきも、恋愛も、当事者たちはいつも悩んでおられることを知ることがありませんでした。 トランスジェンダーの友人は、仕事も

          たまには真面目にLGBTQを私なりに考える