どうしてそんなに優しくするの。 アイは僕をそっと上目遣いで見つめる。 きゅ、と眉を寄せて唇を一文字に引き結び、何かを堪えるような表情をしていた。 「だって、だって…
扉を開けると、そこに夏月先輩はいなかった。 いつも僕より早く来て、「おそいよ、水葵くん」なんてニヤニヤしながら言ってくるのに。僕は不思議に思いながら背負っていた…
「真夜中だけど、お散歩しちゃおっか」 彼女は悪戯っぽく笑った。 僕は少し不安だけど頷く。 彼女の突飛な言動は今に始まったことではないけど、流石に1人で外を歩かせる…
斑鳩メイ
2022年10月23日 14:55
どうしてそんなに優しくするの。アイは僕をそっと上目遣いで見つめる。きゅ、と眉を寄せて唇を一文字に引き結び、何かを堪えるような表情をしていた。「だって、だって。俺はユウのこと嫌いって言ったのに。嫌なことたくさんしたのに」戦慄く唇が紡ぐ声は、震えていて、掠れていて、それでもなお愛おしい。僕は君に嫌われていたとしても、その気持ちに応えたいと思ったんだ。『たとえそれがどんな形であったとしても
2022年1月23日 09:33
扉を開けると、そこに夏月先輩はいなかった。いつも僕より早く来て、「おそいよ、水葵くん」なんてニヤニヤしながら言ってくるのに。僕は不思議に思いながら背負っていたリュックサックを降ろした。先輩がいないと狭い部室でも広く感じる。決して太っているとかそういう事ではなく、先輩の存在感がそれだけ大きいという事だ。先輩の定位置である椅子が空いているのが不思議な感覚だった。成績優秀な先輩の事だから補習でいな
2022年1月23日 09:26
「真夜中だけど、お散歩しちゃおっか」彼女は悪戯っぽく笑った。僕は少し不安だけど頷く。彼女の突飛な言動は今に始まったことではないけど、流石に1人で外を歩かせるのは心配だ。はやくはやく、と急かす彼女に上着を着せてから外に出る。ひんやりした空気が首筋を撫でた。彼女について行く形で閑静な住宅街を歩く。街頭に照らされた狭い道路に車通りは無いので、中央を堂々と闊歩する。普段は出来ないことをする
2021年4月16日 15:54
2021年1月17日 11:20