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2023年公開(主に)新作 好きな作品リスト

昨年は体調の問題があって全然劇場へ行けなかったけど、U-NEXTの新作レンタルのおかげでかなり補完できた。U-NEXT、マジでありがとう。
でもついつい先延ばしする癖のある人間にとっては、体調の問題さえなければ劇場で集中して映画を観ていたいな、とも思う一年だった。

さて、だいぶ出遅れたけど、今年公開の好きな作品リストはこちら。

◎劇場で公開された作品 ※順不同
『お葬式』(リマスター版)
『ベネデッタ』
『首』
『枯れ葉』
『帰れない山』
『花腐し』
『私がやりました』
『すべてうまくいきますように』
『ファースト・カウ』
『キラーズ・オブ・フラワームーン』
『せかいのおきく』
『仕掛人・藤枝梅安 第一作』
『月曜日に乾杯!』
『小説家の映画』
『君たちはどう生きるか』
『Winter boy』
『ミツバチのささやき』

◎映画祭で観て印象に残ったもの ※順不同
『成功補修班』(TIFFJP)
『西湖畔に生きる』(TIFFJP)
『Oasis』(YIDFF)
『東部戦線』(YIDFF)
『わたしはトンボ』(YIDFF)
『水の中で』(フィルメックス)
『火の中の娘たち』

劇場公開作品は洋画に、映画祭作品はアジア圏の作品に偏ってるけどだいたいこんな感じ。
あと、今年はフランソワ・オゾンが日本で一気に大放出された年だったので好きだった2本ともいれちゃった。そのうち『私がやりました』は記事を書いてるので読んでください。

『ベネデッタ』は観ながらめっちゃ笑った。たぶんコロナ禍の影響で本邦公開が遅れた作品のひとつで、「日本ではいつ公開されるのかな…」と気を揉んでいたけど無事公開されてよかった。
シャーロット・ランプリングもすごくよかったし。シャーロット・ランプリングは『すべてうまくいきますように』でも少しだけ登場していたけど、そちらもよかったな。
余談。ドパルデュー事件に対してのシャーロットの対応にはがっかりしたけど、一方『すべてうまくいきますように』で主演していたソフィー・マルソーは立場の弱い人を狙っていたことを理解し発言、すごくストレートにドパルデューを批判していて好感を抱いた。『すべてうまくいきますように』でもすごく良かったです。

それから『枯れ葉』は…2023年ベストをひとつだけ挙げるなら、一応ちょっと迷ってから『枯れ葉』にすると思う。ロマンチックで今日性こんにちせいがあって、好きな作品だった。もう一回劇場で観たいな。

https://lp.p.pia.jp/event/movie/306463/photo-gallery/index.html?id=5
(C)Sputnik  Photo: Malla Hukkanen
映画の影響で、マウステテュトットのアルバムを最近めっちゃ聴いてる。
https://lp.p.pia.jp/article/news/299417/photo-gallery/index.html?id=3
(C)Sputnik  Photo: Malla Hukkanen


『キラーズ・オブ・フラワームーン』
は、堂々とした大作映画でありながら先住民に対する白人たちの犯罪を告発していて見応えがあった。これは知り合いにはしつこく言ってることで、AppleTVで配信される関係でパンフレットが売られていなかったんだと思ってるけど丁寧にリサーチして作った昔ながらのA4版パンフレットを売ってほしかった。わたしの頭のなかではレイアウトや内容がはっきりと思い浮かんでる。
レオナルド・ディカプリオは頭があまりよくなくて小狡い男の役だったけど、ポスターであれだけ大きく顔が映っていても違和感がないというか、やっぱり華があるなあと思った。
リリー・グラッドストーンはファーストカットから素晴らしくて、落ち着いた声もすごく良く、こんなに銀幕映えする存在感…!と目が離せなくなった。ディカプリオに負けず劣らずオーラがあった。ライカートの『ファースト・カウ』にも出てるけど、『キラーズ・オブ・フラワームーン』のグラッドストーンのほうがより好きだった。
また余談だけど、ディカプリオ版『華麗なるギャツビー』のときにエリザベス・デビッキがすごく銀幕映えする…!と思った記憶がある。(あれから時が経て『ザ・クラウン』でダイアナ妃を演じエミー賞を受賞するとは)

https://lp.p.pia.jp/event/movie/65661/index.html
画像提供 Apple TV+


『お葬式』のリマスター版は午前十時の映画祭で観た。
作品の内容も面白かったけど、公開当時のフィルムの質感とフィルム選びの意図を感じる、いいリマスター版だと思ってチョイス。父親が生きてた頃のシーンの茶が強い色彩と、対照的に生命力を象徴するような緑がすごく印象的。大滝秀治が挨拶を読み上げてるときに360度キャメラをパンさせながら長回しで列席者一同をとらえるシーンでは、木々をわたる風を感じた。

https://natalie.mu/eiga/gallery/news/514588/2007151
(c)伊丹プロダクション


新作邦画に関しては、『首』『せかいのおきく』両方に出演している寛一郎の好演が印象的だった。同世代だし、これからもがんばってほしいなあ。『せかいのおきく』を観て、(黒木華、池松壮亮は言うまでもなく)この3人がこれからも邦画を引っ張っていくのだろうと感じたもの。阪本順治の名演出で引き出されてるのはもちろんだけど、こういう人たちがいればわたしたちの世代の「せかい」をつくっていけるな…と観てるこちらまで前向きに思えた。
まだ観てないひとにもぜひ観てほしい。

(C)2023 FANTASIA

それから、『成功補習班』はぜひ劇場公開してほしい。『わたしはトンボ』も。

本当はリストに入れたかった作品について

①『仕掛人・藤枝梅安 第二作』
良いところも数多くあった。それは間違いない。具体的に言えば、第一作も第二作も池波正太郎原作というだけあってお料理がものすごく美味しそうだったとこ等。
でも、大事なところで第一作よりも女性キャラが華やかな都合のいい装置としてしか機能してない感じががっかりだったな…。
「女のこわさ」は男の卑怯さと渡り合うために生まれるものだと示された第一作を観終わってわたしは、「次作のテーマは“男の卑怯さ”になるんだろうなー、そしたらとかく女性軽視に陥りがちな時代劇というジャンルで革命が起きるのでは!?」と期待した。(だから第一作は良かった作品リストにいれている)
そうやって期待したせいで余計にがっかりしてしまったのかも。
あとエンドクレジット後に次作or別シリーズを匂わせる手法も個人的にはマイナス。1回だけならまだしも、次もとなるとちょっとダルい。そもそもその手法は近年マーベルがこすりすぎて手垢がついてしまったので、少なくとも当面はやめた方がいいと思う。本編が面白ければみんな次も観るよ!

全然本編は関係ない余談だけど、天海祐希と菅野美穂といえばドラマ『結婚しない』がよかったのをいまだに思い出す。影響されて一時期野菜チップス食べてたほど。なつかしい。

②『バービー』
これもほんとはベストにいれたかった。ただ、画がそんなによくなかった。たとえばマテル社内がジャック・タチの『プレイタイム』オマージュひとつとってもそれがなにも機能してない。ホワイトフェミニズムに偏ってるとことか、気になるところは他にもあった。
そうは言っても!
女性が圧倒的に強く、男性を求めず自分の力を信じて闘う物語を不愉快に感じたりつまらないと言って憚らない男性、わたしの観測範囲内ではわりといたのでびっくりした。女性のわたしがジョン・ウェインとか三船敏郎とかが無双する映画を観たときに「男性が活躍するからつまらない」と思ったことがないもの(合う合わないは別として)。ジェンダー表象のバランスが逆になった途端につまらないと思うのは、潜在的に女性を見下していることの表れじゃないだろうか。本来だったら物語の幅が広がったことを喜んでもいいくらいじゃん。
なおわたしは、「パワーバランスが逆転した世界ってこういう感じかあ〜、バービーランド自体はディストピアだし、ケンで落とすノリもそれはそれでevilだけど、女性が自身の強さを頼みに活躍する世界自体はいいなあ」と思った。メインのバービーが恋愛にピンとこないのも好きだよ。だから一個の映画としてもっと完成しててほしかったし、一部擁護してるのはそういう次第。

今後更新する記事について(もしくは自分を追い込むための所信表明)

いまは西村晃映画祭の記事を準備中。書きかけてる西村晃関連記事が2つ、3つくらい溜まってるので、来週末には1つ出す!!
そして最近観た作品について、現時点では、昨年公開の映画1作品に関する記事を準備中。
それから昨年を振り返る記事はもう1つ準備してるし、『マーウェン』の感想記事を書くためにハーマンの『心的外傷と回復』を合間合間にちょっとずつ読んでいる。
……こうやって書き出すと、いろいろ溜め込んでるのがわかるなあ。早くまとめないとね。

今日は梅のつぼみがほころびかけているのを見て嬉しくなった。わたしは梅の花が好き。
みんな、暖かくしてすごしましょう!
それではごきげんよう。

*なお、今年公開の作品については今までにいくつか記事書いてるから、まだ読んでない方はそっちも読んでいただければ嬉しいです。

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