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最近の記事

「能楽『沖宮』を現代社会で演じる意義について」(二年前期:楽劇理論A)

○楽劇について  「楽劇」とは、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーが創始したオペラの一形式である。ワーグナーは、音楽が単なる伴奏となっていた19世紀当時のオペラを批判し、音楽・舞踊・詩が三位一体となったギリシャ悲劇を基にした「総合芸術」の復興を唱えた。このような考えに基づいて創作された作品を「Musikdrama(楽劇)」と呼んだ。  日本においては、坪内逍遥が「楽劇」概念を初めて提唱した。坪内は、西洋のオペラへの対抗として、歌舞伎や能でもない、総合的形態の日本独自の国劇を

    • 「嘉手苅林昌と「世替わり」に対する感性」(二年前期:琉球芸能論A)

       琉球及び沖縄の社会は、唐の世から大和の世、アメリカ世へと、支配者層が激しく移り変わってきた。沖縄では、時代ごとの世相の変化を「世替わり」と呼ぶ。そして、戦後の沖縄民謡界を牽引し、世替わりする沖縄とともに生きた歌手のひとりに、嘉手苅林昌がいる。  本レポートでは、嘉手苅林昌の生き様と楽曲を通して、沖縄の歴史におけるキーワードとして広く受容されている「世替わり」の様相について考えたい。  嘉手苅林昌は、1920年生まれ、沖縄本島の旧越来村仲原出身の民謡歌手である。  この地域は

      • 「猿楽から能楽大成への過程について」(二年前期:日本音楽史)

        1. はじめに  日本の伝統的歌舞劇として、文楽や歌舞伎とともに挙げられるのが、能楽である。  能楽は、「シテ」と呼ばれる主役が能面を用いて、「能舞台」という専門の舞台に立ち、四種の楽器(能管、小鼓、大鼓、太鼓)からなる囃子手とかけ合いながら、物語を演じる。能は、「散楽」という大衆芸能に古い祖先を持ち、のちにこの散楽が演劇性や音楽性を伴って「猿楽」となり、これを観阿弥・世阿弥が能として大成させたという。  そこで、本レポートでは、平安時代から室町時代にかけての猿楽の変容過程に

        • 「地域社会に求められる実演芸術・芸能のソフトパワーの活用」(二年前期:舞台政策論)

          ①第7回「マーケティング」  経済学者コトラーは、「マーケティング」を「個人やグループが製品や価値をつくりだし、それを他者と交換することで、必要としているものを獲得する社会的で経営的なプロセス」と定義している。コトラーの所論のキモは、「組織は顧客のニーズを満足させることを目標にする」ことにある。そのため、アート・マーケティングに必要なのは、ニーズを調査・評価することで市場における自身の位置を定め、既存の顧客を保ちながら新しい顧客を見つけることである。  また、マーケティングを

        「能楽『沖宮』を現代社会で演じる意義について」(二年前期:楽劇理論A)

        • 「嘉手苅林昌と「世替わり」に対する感性」(二年前期:琉球芸能論A)

        • 「猿楽から能楽大成への過程について」(二年前期:日本音楽史)

        • 「地域社会に求められる実演芸術・芸能のソフトパワーの活用」(二年前期:舞台政策論)

          「東日本大震災時に被災した民俗芸能への文化支援について」(二年前期:公共文化政策論)

          ○文化芸術振興(基本)法と文化芸術支援  1997年に、超党派の国会議員による音楽議員連盟が母体となり、「文化芸術振興議員連盟」が結成された。その後、2001年に文化芸術振興議員連盟が提出母体として、「文化芸術振興基本法」が成立した。現在は、改正を重ね「文化芸術基本法」となっている。  基本法は「心豊かな国民生活および活力ある社会の実現に寄与する」ことを目的とし、その実現のために、以下の三つの項目を整えるとしている。一つ目は文化芸術の施策に関する基本理念、二つ目は国および地方

          「東日本大震災時に被災した民俗芸能への文化支援について」(二年前期:公共文化政策論)

          「バロン・ダンスについて」(二年前期:文化人類学)

           私は、第13回授業の「伝統と観光人類学」に興味を持った。本レポートでは、特にインドネシアのバリ島の伝統芸能と観光の関係性について考えたい。  文化人類学は、対象の民族文化が伝統的なものであることを前提に理解する姿勢が長く続いてきた。しかし、1980年代にE. ホブズボウムらの歴史学の分野から、従来の「伝統」の概念に疑問が投げかけられた。これを機に、儀礼や文化などの「伝統が発明される」現象に着目した、観光人類学などの研究が行われるようになった。  観光人類学における代表的な研

          「バロン・ダンスについて」(二年前期:文化人類学)

          「現代におけるユタの役割と柔軟性」(一年前期:民俗学)

          現代におけるユタの役割と柔軟性 1.はじめに  赤嶺政信による論考『霊的職能者と社会』では、ユタと呼ばれる霊的職能者の霊的世界観や歴史背景、離島の霊的職能者の特徴などが論じられている。赤嶺は、「今日でもユタは人々の生活の中で生きた存在として重要な社会的機能を担い、奄美・沖縄の民俗文化の中で確固とした位置を占めている。」(赤嶺,1996:84)と述べている。しかし、赤嶺の論考は、主に奄美・沖縄社会における伝統的なユタの宗教文化について論じているのみである。赤嶺の論考が出版され

          「現代におけるユタの役割と柔軟性」(一年前期:民俗学)