お一人様のすゝめ

群れることが嫌いでした。苦手でした。
それは中学の頃から。
友達がいなかったわけではなく、それまでは多人数と仲良く遊べていたし、別に特別暗い性格でもなかったのですけど。
2人きりというのなら、大丈夫。それが3人4人となっていくと、途端にその輪に入っていけなくなるのです。
そんな事とお思いでしょうが、思春期の私にとっては大きな問題。やっぱり自分が変なのかなと随分悩んで、みんなの輪に入ろうと努力したことも確かあった気がします。でも多人数でいる時は決まってその会話に入っていく隙を見失って、そうしてみんなの後をただとぼとぼ歩くというのが常でした。どうしてもみんなが話すことに上手く共感できなくて、精一杯ニコッとしてうなづいてみてもそれは私にとってとても疲れることで。金魚のフンみたいと陰口を言われたこともありました。
そんなことを繰り返しながら、少しずつ一人で過ごすのが常となっていきました。初めは不安だったけど。結果一人はとても楽でした。
本を読むことが習慣になったのもこれがきっかけで、だってそうしていれば一人でいてもおかしくないし、誰も不用意に話しかけてくることがないでしょ。
そんな風に、私は「一人でいるための理由」探しに没頭しました。音楽をイヤホンで聴いたり、何か文章や絵をノートにひたすら書きなぐったり。
確かに周囲からは浮いていたのかもしれない、けどそれでも良かったんです、群れる苦痛を感じるよりは変わった子と思われても一人で好きな事をしている方が楽しいし、何より自分を偽らずにいられるので。
結果、大人になった私はおひとりさまが日常です。お友達は、いますよ。時々一緒に出掛けたりもしますしそれが楽しいとも感じます。いつからか、不思議と多人数がそれほど嫌でもなくなってきたことも事実です。でもやっぱり一人もとても好きなんです。
何が言いたいかって、別に一人でも全然いいじゃんってこと。一人好きの人だって上手に人生楽しめちゃうのです。

前置きが長くなりましたが、私がここで伝えたかったのは、一人になることは別にこわいことじゃないよってこと。
きっと社会は、私が子供の頃よりも多様性を認められる様に変わってきていると思います。だけどそれでもまだやっぱり昔の私みたいに群れることが苦手だったり、どこかのグループに入っていないといじめられるんじゃないか、なんて不安がって無理に誰かに合わせたりしている子がいるのは変わらないことも事実で。少数派ではあるのでしょうけど。そういう思春期の特徴はどの時代も繰り返していくものだと思うのです。
みんなで撮った写真をインスタで共有する。多人数の方が盛れるから面倒だけど仕方なくグループに交わっている、とか、むしろ今だからこそそういう子、結構いるんじゃないかな。分かりませんけど。
そんな中で一人になるって、やっぱり少しこわいことなんだろうなって。何より周りの目が気になるのよね。でももし少しでも今の状況に苦痛を感じているのなら、一人は全然こわいことじゃないよって伝えたい。それに私はずっと一人でいろとも言いません。ずっとが良ければそうすれば良いでしょうが。ちょっとトイレ行ってくるね、くらい気軽に、ちょっと一人になってくるねと席を外す程度でもいいかもしれませんね。
お友達とみんなでいるのが大好き、楽しいって思えるならそうするべきなのでしょう。他人から得られる情報やそれが自分に生かされる要素は膨大ですから。
だけどもし、群れることが苦手だけど孤立もこわいとか、そこまでじゃなくても、例えば卒業後上京して一人暮らししてみたいのだけど地元のみんなと離れるのが不安とか、あのカフェ行ってみたいけど一人じゃ恥ずかしいとか、そんな些細なことでもね、一人へのこわさがある子がいたとしたら、大丈夫だよ。
一人でいることと孤独とは違う。一人というのは全然恥ずかしいことじゃないし、自由。そうなってみればあぁ割と余裕じゃないかと思えるものなのです。案ずるより生むが易し。簡単に言い過ぎでしょうか。
話は少し逸れるけれども、一人でどこかに出かける勇気のない人へ、おひとりさまを満喫するポイント。ありきたりだけど、何かを楽しみたい気持ちをしっかり持つこと。食事だったり映画だったり、なんでもそうですが、目的を「誰と」から「何を」に変換するのです。そうすれば周りを気にすることもなくなります、たぶん。
話を戻しますが、そうして私はおひとりさまをそれなりに楽しんで生活しています。一人でいたからこそ誰かといることから得られる癒しを憶えたのも事実。矛盾しているかもしれないけど。

大きな事を言いたいんじゃない。苦しいなら、悩んでいるなら、少しそこから離れて一先ず一人で好きにしてみたらいいよって、ただそれだけ。
一人がこわい君へ。君の苦痛が少しでも和らぎます様に。

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