せっかく出会えた夢中になれるもの。頑張りがきちんと報われるように頑張りたい――斉藤亮太さんインタビュー

2017年、2018年の日本代表としてブラジル選手権に2度出場した斉藤亮太さん。3月にできた逗子フレスコボールクラブ所属の日本代表選手として、メディア露出も増えています。

2019年5月のタチヒカップでは男子部門で優勝するなど、トップレベルを維持し続けながら、逗子では初心者へのレッスンを毎週のように行い、フレスコボールの普及やレベルの底上げに大きく貢献しています。

今回のインタビューでは、主に2018~2019年現在にかけてのことを聞きました。フレスコボール愛あふれるインタビューになっています!(過去のペアインタビューはこちら

やっとの思いで達成したのに、何も手に入った気がしなかった

― 2017年に日本代表としてブラジルに行って、帰ってきてから、普及にシフトしたような印象を受けました。その理由は何だったんですか?

斉藤 フレスコボールを始めて、最初はほぼ競技だけやって、日本代表を目指していました。それには、結果を出せば世界が変わってくるかもという期待もあったんです。

でも、実際に日本代表になっても、やっぱりマイナースポーツだと、「なにそれ」という感じで、何も伝わらない。2017年はブラジルに招待選手として行ってもそんなに話題にならなくて。

毎週、朝からボールが見えなくなるまで練習して、やっと達成できたことなのに、予想していたよりも何も手に入らなかったというか。そこが普及しようと思った1つの大きな理由です。せっかく頑張ってきたんだから、ちゃんとした価値があるものにしたいなと思いました。

― 具体的には何をしたんですか?

斉藤 最初は周りの大学生に広げようと、いろんなサークルに飛び込んで体験してもらったり、大学の授業でやらせてもらったり。あとは、SNSです。とりあえず活動だけでも発信していこうと思って、なるべく発信の仕方とかも工夫していました。

― インスタYouTubeでは、フレスコボール用のアカウントをつくっていましたね。

斉藤 写真を撮るのは好きだったので、夕日とフレスコボールのシルエット写真を撮って、インスタ映えを狙ったりとか。

動画に関しては、YouTubeもそうですけど、最近はTikTokが思った以上に反応があるので、密かにハマってます(笑)。自分でコントロールできることはいろいろやってきたかなと思います。

― いろんなやり方で種をまくということはしていますよね。逗子がクラブ化して、代表選手として紹介されたり、取材を受けたりする中で、感じている思いはありますか?

斉藤 クラブ化されたからどうという思いはないですね。自分は気づいたら逗子に通っていて、逗子の人たちが少しずつ知ってくれるようになってから、ここから広めていきたいなと思いはじめました。

最初は、自分で日本全国行ってやろうって思ってたんですよ。ヒッチハイクで海老名から京都まで行ったこともあって。でも、1人じゃ限界があるなと思って、まず湘南の辺りに集中しようと。モデルが1つできれば、それを真似して全国に広められるので。

逗子は、ちゃんと練習もするけど、立ち止まって見ている人がいたら、みんな「やりませんか?」って言える受け入れ態勢が整っています。体験する人も、最初の体験でたぶんイメージができてしまうので、そういう環境づくりは必要かなと思います。

代表を目指すのは当たり前。フレスコボールの価値をもっと上げていきたい


― 選手としても活動していく中で、2018年はジャパンオープンで初めて総合優勝しましたね。

斉藤 ジャパンオープンは、優勝を狙うというよりは、一番盛り上がらせようと思っていました。2015年の夏に初めて三浦でフレスコボールを体験したときに打ったのが、ブラジルのトップ選手であるシルビアでした。

それから3年後に同じ場所で、その人が見ている前で成長した姿を見せられて、日本のトップになれたというのも、すごく嬉しかったですね。

― 今年(2019年)は、どんな意識で大会に臨んでいますか?

斉藤 もちろん日本代表は目指してますけど、そこを狙うのは当たり前のことというか。それよりも、フレスコボールの良さ、価値みたいなものをもっと増やせるように頑張っているという意識のほうが大きいです。代表を目指すのは当たり前で、それは置いといて、今は広める方ですね。

― 今年は大会ごとにペアが変わっていて、挑戦だと思いますが。

斉藤 2019年シーズンが始まる前に、何人かから「組んでほしい」と誘ってもらいました。それは嬉しかったですし、「じゃあ、言ってくれた人全員と組もう!」と思って(笑)。

今年は4大会あって、ちょうど4人から声をかけてもらえたので、あとはそれぞれをいいタイミングに合わせていったっていう。2月くらいには全部決まってましたね。

― 今年は、一番重要なジャパンオープン(ビオレUVアスリズムフレスコボールジャパンオープン2019)には、最初のペアである芝さんと出るそうですね。

斉藤 芝さんは、「まだ亮太とジャパンオープン優勝できてないから、あのレインボーのユニフォームを着て、勝ちたいと俺は思ってる」っていう風に言ってくれたので、一番重要な大会は芝さんと出ようと思いました。

人からの支援や想いを背負って出た、特別な大会


― フレスコボール生活の中で一番記憶に残っていることは何でしょうか?

斉藤 難しいですけど、パッと思ったのは、去年(2018年)のブラジル大会かなと。大会当日だけじゃなくて、大会に行く前から帰国後まで含めての期間です。

― それはどうして?

斉藤 まずひとつは、去年は、ブラジルへの遠征費の問題を解決するために、polca(ポルカ:身近な友人や知人、SNSのつながりからお金を集めることができるアプリ)をやってみたんですね。

やれば、お金だけじゃなくて、今まで自分がやってきたことがどれくらい応援してもらえるものになっているのかもわかるし、最悪、集まらなくても今の自分はそういう状態だということがわかるので。

いざやってみたら、逗子のみんなやマイナースポーツ仲間、あと、全然面識がないような人も支援や拡散をしてくれて。自分の活動を見てくれている人が、思っている以上にいたんだなぁと、すごく温かさを感じました。

あとは、自分の妹がちょうどその頃入院していて、手術する予定になっていたんです。「ブラジル行ってる場合なのかな…」とか、考えたりしたんですけど、妹は自分がフレスコボールをやって、メディアに出たりしている姿に、憧れてくれてるんですよ。だから、ブラジルでしっかり頑張る姿を見せた方が元気になるかな、と思って行きました。

今までの大会は、全部自分のためにやってきたけど、去年のブラジルはそういう、人からの支援や想いを背負って出た大会だったなと思います。それは、プレッシャーでもあり、頑張る力でもあり。そこが普通の大会とは違いました。

― 人の想いを背負うと、臨み方が違ってきますね。実際に出てみてどうでしたか?

斉藤 1年前に比べたらいいプレーができたし、満足感はありました(男子一般の部7位)。日本チームとしても、1年前は誰も入賞できなかったのに、男子も女子もミックスもそれぞれ結果を残してて。

自分が入賞できたらもっと嬉しかったっていうのもあるけど、みんな、毎週のように練習してきた結果がちゃんと出て、頑張っている人が報われたっていうのは嬉しかったし、もっと頑張ろうという気持ちになりました。

あと、ブラジル前後で、いろんなメディアに「取材してくれませんか」とアプローチしていて、それも意外なことに、結構な数のメディアに取材してもらえました。それを通して、待ってるだけじゃダメだなとはすごく思いましたね。

― 私たちの東京新聞の記事は、亮太が記者さんにつないでくれたよね。

斉藤 あれは、「俺はダメだったんですけど、違う人が入賞できたので」って言って。自分だけ載りたいわけじゃなくて、いろんな人が載ったらもっと拡散できるので、取材につながってよかったです。

まだまだ。だけど、夢中になれるものがあるこの今も、十分幸せ

― 今後の目標は何ですか?

斉藤 競技としてはできる限りトップでいながら、みさことミックスで優勝、逗子メンバーの入賞を実現したいです。普及も引き続きやっていって、試合に出る出ないに関わらず、フレスコボールを楽しむ人を増やしていきたいです。

フレスコボールはマイナースポーツの中では発信している人が多いし、みんな広めたい思いが強くて、体験会とか、お金も何ももらえなくても自主的に動くじゃないですか。フレスコボール愛がめっちゃある。

それだけみんなが頑張っているスポーツだからこそ、応援してくれる人が増えて、頑張りがきちんと報われるように頑張りたいなと思ってます。

― いいですね。あと、言い残したことはありますか?

斉藤 そうですね…普段から思うわけじゃないし、もっと頑張らないとなとは思うんですけど、ふと、「今のこの状況は、すごい幸せなんだな」と思うことがあります。大会に出ることができるのもそうだし、自分が健康でいるだけでも幸せですよね。

自分の性格的には、常に「もっと上」と思ってはいるけど、何もかも忘れて夢中になれるものってみんながみんな見つけられるとは限らないし、どれだけお金があったって、やりたいことがなかったらつまらない。

好きだからこそ、時間もお金もかけてやっているし、Twitterで「フレスコボール」って検索して毎日見ちゃうし(笑)。そういうものに出会えてるだけでも幸せなことなので、だからこそ、サボってたら失礼というか。

ないものばかり見ててもしょうがないから、今あるものに感謝して、できることをしっかりやっていきたいです。それを見てくれる人はいると思うので、「フレスコボールをやればこんな風になれる、素敵な人と出会える、週末が楽しくなる。だから自分も頑張ろう」と思ってもらえるような選手になりたいです。

― 素晴らしい目標ですね。期待しています!ありがとうございました!

次回のインタビューもお楽しみに!

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落合真彩

ライター・フレスコボール日本代表 2017~19年日本女子ランキング年間1位。ブラジル選手権3位入賞。年間最優秀選手(MVP)、最優秀ラリー賞受賞。 フリーランスでビジネス系のライターやってます。将来、人の心に届く本を必ず書きます。筑波大学卒業。

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