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ハンドサインで分かり合えた乗客男性@電車(2023年53歳)

風薫るゴールデンウィーク。
お隣の市にある、新緑豊かな小山をソロ散歩し、帰宅するため電車に乗った。

早めの夕方でも、さすがの連休でかなり混み合っている車内。
私はロングシートの端周辺に立った。拙宅の最寄り駅は次なので、そんなに苦ではない。
眼下の席には、クーラボックスなどのお荷物が少々多い、30代位の男性。
『あ~釣りに行ったのかな~。いいお天気だったしね~』
そんなことを思いながら、散歩の疲れもありボケーッと突っ立っていた。

やがて、次の駅到着の車内アナウンスが流れた。
まだボケーッとしている私。一方、男性は降りる支度を始められた。

まずは、足元のクーラーボックスを少しずらして席を立ち、リュックなどを背負った後、しゃがみこんでボックス辺りをガサゴソ。
『荷物が多いから大変そうだな~』と、なんとなく視界の端で見届ける私。
そこへ、突然サッと見上げられた男性。
その視線に気づき、視線をおろす。……目が合う。

そしたら、男性は、無言で私と席を交互にササッと指さした。
……どうやら、『席をどうぞ』して下さっている模様!

私は、とっても感激した。……だって、指をさし終わった後、更にクーラーボックスをどけて、ちゃんと通り道まで確保して下さったのだ!
なんという細やかなご配慮であろう!

がしかし。男性の打診が、あまりに唐突、あまりに素晴らしかったため、私と来たら、驚きで声が出ず……。
急いでペコリと頭を下げた後、ドアを指さし、かろうじて「オリ……ル…」と、蚊の鳴くような声でカタコト日本語を発することしか出来なかった。(←マスク越しだったし、おそらく声は電車の音で全部かき消されたと思う😅)

そんな怪しさ満点な女にも、男性は深く頷いて下さった。
それは、見知らぬ者同士の「ハンドサインコミュニケーション成立」の瞬間であった……。

なぜだか、胸中に名状しがたい感動が巻き起こった。
そして同時に『あれだけで通じたなんて、友達か!?』というツッコミも……。

と言うことで、我々は無事円満に同じ駅で下車した。
嬉しさでツヤツヤな私は、ホームで少し先を行く男性を目で追った。
そして、その背中に感激と感謝の念を送ったのだった。

今思えば、もうちょっと感謝のリアクションをとれていたら、と……😓