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測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?

現代は、ビジネスだけでなく、あらゆる分野において数値で可視化し、結果を定量的に評価することが是とされることが多い。著者の以下の言葉は胸に突き刺ささる。例えば、KPIを設定する際、測定できるかどうかが重要な要素になり、本末転倒な議論をする場合がある。ふっと気がついてみると、何のためにKPIを設定するのか忘れてしまい、いかに定量化するかに体力をかけていることがある。

経験、それに基づく直感、という言葉を発することが躊躇され、あるいは軽視されているように思う。


「測定基準への執着のもっとも顕著な特徴は、経験に基づく判断を標準化された測定で置き換えようという強い願望だ。判断は私的で主観的、利己的だと考えられているからだ」

人間には、もっとも簡単に測定できる要素に焦点を絞ることで問題を単純化するという性質がある

「定量化とは魅力的なものだ。知識を整理して、単純化してくれるからだ」

数字は客観性があるような空気をかもしだし、主観的判断を排除しているかのような印象を与える

「数字は、『確実』とみなされ、自分の判断に自信が持てない人々にとっては失敗のない賭けとなる」

「いったん、測定に執着すると、測定は多ければ多いほどいいと信じてしまいがちだ」

実績測定の要求は、経営するために雇われただけの、組織について無知な経営陣から出されることがあり、その無知はほとんど現場知識がない組織にぽんと入ってきたことが原因である場合が多い

「予測不可能な変化が特徴である経済界では継続的なイノベーションが大なり小なり必要で(中略)、実績指標は確かに役に立つだろうが、経営の主要な機能である先読み、判断、そして意思決定の代わりには到底なり得ないのだ」

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