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アート市場はどうなるのか

世界中の国が財政出動をして、株価が上がり、ビットコインも上がり、不動産価格は高原常態を保ち、低金利がつづき、そういうなかでアート市場はどうなるのでしょうか。

バブルのころ、株も上がり、不動産も上がり、マネーは美術品に向かいました。美術品を担保にしたローンもありました。

データ検証などはありませんが、感覚的に思うところを記します。

まず、コロナ禍で在宅ワークが増え、一時的かもしれませんが絵画を求める人が増えたといくつかの画廊から聞きました。ずっと家にいて、何か壁に欲しいと思った人が絵を求めたそうです。

草間彌生さんの作品の価格を知らずに、直感からこれがいいとギャラリーに行って始めてその価格を知った人がいた、という人もいたそうです。

まず供給面はどうでしょうか。

コロナ禍と高齢化の2つの要因があると思います。
コロナ禍で店の経営が厳しくなったオーナーが絵画を手放すケース。
高齢になった方が終活の一環としてコレクションを処分するケース。
そして、小さな美術館が閉鎖に伴って処分するケース。

団塊の世代が好むような絵画、例えば林喜市郎さんの作品とかは値段が下がっているようですが、高齢のコレクターが処分する一方で、需要としては現代アートに魅了されている人々からするとスコープ外なのでしょう。

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これに対して、若い作家の方の作品の供給は、ネットを使っての販売など、従来にないルートでの販売方法が多様化しています。実際、私はその作家さんと直接お話ができるため、最近は若い作家さんの作品に触れることが増えています。

では、需要はどうでしょうか。

まず、バブルの時のようにあぶれたマネーは著名な作家の作品に向かい、値段が上がっていくと思います。中にはその価値を購入するのではなく、値上がり期待、投機的なマネーが一部の著名な作家に集中すると予想します。バブルの時は、全般的に上昇しましたが、バブルに懲りていますから、価値が落ちないと「信じる」作品だけに向かい、その作品はますます値段が上がることでしょう。

次に、これまで一定の価格で安定していた作品、団塊の世代などが購入していた伝統的な絵画は、団塊の世代が年金世代に入っていますから、出物があっても購入する資金的余裕がなく、加えて子供が育ち、こじんまりとしたマンションに住み替えなどすると、飾る場所もなくなることから需要は減退すると思います。

そうした中でも、有名な陶磁器、誰がみても分かる陶磁器、例えば14代柿右衛門の濁し手などは一定の需要が維持されるとみています。

若い世代の購買層はどうでしょうか。テレワークで在宅勤務が増え、絵画を求める人が増えたと、ある画廊屋さんから聞きました。高額なものではなく、値段が手頃なもの、気に入ったもの、こうしたものは1世帯に1つ2つ実需として需要があると思います。

私のような「にわか」現代アート好き、はどうでしょうか。この分野はまだまだ一般に知られてないと思います。おそらく、私のように現代アートに興味を持つ人が増え、一部の作家さんは人気が急騰するとみています。

最近は、海外のコレクター向けの販売会社もあるようですから、海外で人気がでた情報が日本に還流し、日本でも人気がでる、ということもあるでしょう。

バブルの時と違い、コレクターは目が肥えていますから、今のうちに幅広く購入しておこうという「青田買い」はないと思いますが、一部の人気作家さんの作品では、ややそのようなことに近いことがあることを耳にしました。グループ展の初日の朝がかなり混み合い、直ぐに売れてしまった、と。

以上は私の勝手な予想ですが、日展などの伝統的な組織を越えた、ネット社会ならでは供給・需要の場がますます盛んになることは間違いないと思っています。

まだ世に知られてない才能ある若い作家さんを、財政的には無理ですが、これまでのビジネスの経験からプロデュースの真似事のようなことができるのもネット社会ならではのことと思います。



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