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「生きる LIVING」を観ました!

今日、「生きる LIVING」(原題“LIVING”)を観てきました。
黒澤明監督作「生きる」(昭和27('52)年10月9日公開)をイギリスで再映画化したものです。
オリジナルは志村喬演じる主人公の渡辺勘治がラストで雪が降る中、ブランコに乗り「ゴンドラの唄」を歌うシーンがあまりにも有名な、世界的にも評価が高い傑作です。
私は10代の時にテレビで視て以来、強烈に印象に残っている、大好きな映画です。

その「生きる」がイギリスで再映画化と知り楽しみにしていました。
翻案かと思っていましたが、予想よりオリジナルの展開を踏襲しておりリメイクと言えるでしょう。
それもそのはず、脚本を執筆したノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロは黒澤明ファンとのことなのですから、当たり前です。
そのためなのか、オリジナル版を思い出させるシーンが随所にあります。リメイクなので当然かもしれませんが、カズオ・イシグロをはじめ本作のスタッフがオリジナルをリスペクトし真摯な態度で製作に臨んでいるように思え好感を持ちました。

さて、まず上映が始まって気づいたのが、上映(スクリーン)サイズがビスタサイズではなくスタンダードサイズだと思われたことです(詳しくないため確証はありません)。
「えっ、今どきこのサイズなの」
と驚きましたが、これはもしかすると同じくスタンダードサイズのオリジナル版へのオマージュかと勝手に思っています。

舞台は現代のイギリスかとばかり思い、どの様な展開にするのか興味がありましたが、1953年のロンドンが舞台でした。無理な自己解釈を加えていない点にも好感が持てます。

カメラワークなど「作り」は奇をてらわずナチュラルなもので、お蔭ですぐに作品世界に入って行けました。

そして、あのラストシーンには泣きました。

とにかく泣きました。勿論、本作に大変感動したというのもあります。またビル・ナイ(Bill Nighy)演じる主人公のウィリアムズと志村喬演じる渡辺勘治が重なり、オリジナルへのリスペクト・感慨・思い入れがますます強まり、改めて感動を覚えたこともあります。さらに私自身の人生と重ね合わせ、果たして自分は死が迫った際、ウィリアムズのような行動がとれるのか、また無為に日々を送っている現実に忸怩たる思いをしたのも理由です。
この三つの思いが交差し泣きました。

映画を観に行って泣いたのはいつ以来か……
余韻にひたりながらこの感想文を入力している今も泣いています。

人の幸せのためにどれだけの事をしてあげられるか…… で、人の価値というか「徳」は決まるのではないでしょうか。この「生きる LIVING」を観てそう思いました。

非常に良い映画です。
なお、黒澤明の「生きる」が未見でも本作は十分に堪能できます。
オリジナルよりはマイルドな仕上がりになっていると思います。

※文中敬称略

シアターの出入口に掲示されていた“チラシ”
“パンフレット”B5サイズで880円也
本日の入場券

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