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教育とは【2023年4月4日(火)】

2023年4月4日 晴れ

私のバイブルと位置付けた『エミール』の中巻が、なかなか難解で読み進められない中、並行して読んでいるはずのフロイトさんやらベイトソンさんやら柄谷行人さんやらも難解ゆえに華麗にスルーし、最近は、今まで読んでこなかったエッセイに触れて、癒されたところでしたが、今回は、また別ジャンルで、『「天才」は学校で育たない』を読了したので、それについて。

仰々しいタイトルに、やや尻込みはしたけれど、汐見稔幸先生の著書を読んだことがなかったので、手を出してみたわけです。もちろん内容は、子どもをIQなんちゃらの天才に育てようって類のものではありません。

近年、藤井聡太さんなどの天才の登場で、モンテッソーリ教育などが注目を集めていて、それはそれとしつつ、問題は、現在の日本の教育、特に学校教育が、藤井さんのような天才を育てるのに貢献しているのか?という問題提起から。

日本の学校も変わってきているとはいえ、まだ大多数は教師主導型で画一的な指導をしていて、その中では、個々の才能の開花を手助けしていくことは難しく、また、答えのない問題に自分なりの答えを導き出す力や、みんなの意見を束ねることが必要な問題に答える力は、従来の教育システムではまかないきれなくなっていると。

じゃあ、グローバル化、ネット・スマホ化、労働環境の変化、少子高齢化の進展を踏まえた上で、今の子どもたちにどういう人間に育ってほしいのか。そのためにどういう教育がなされるべきかを考えるのが本書。

本書には、ルソーさんも登場するし、先日購入したままになっている『生物と無生物のあいだ』の著者、福岡伸一先生も登場していたので、よくわからないところで喜びを感じつつ、楽しく、ハッとしつつ読み進められました。

読み終えて、引き続き、常識を疑いつつ迷走しつつ、自分なりに丁寧に子どもたちと向き合っていこうと思えたし、なんだかこの発信も続けていきたいなと思えたんですが、ただ、もっとインプット増やして、豊かに表現できるように努めなきゃなぁと思った次第です。

そんなこと言ったそばから、豊かな表現じゃなくて申し訳ないですが、本書から気になったところを箇条書きでシェアします。もっとあるというか、もっと伝えたいんですが、まとめる時間もなくという感じで。気になる方はぜひ本書を…。

・教育とは、元来、子どもと保護者の自発的意思で師を選び、学ぶ場を選ぶことではじまるのだという人類史的な意味での教育概念を現代風に応用していこうということ

・ルソーさんも言うように、幼い頃にできるだけ子どもの自然性を大切にし、子ども自身の欲求を存分に出させて、その中で自分の中にある共感・共苦の感情に磨きをかけていく、そういう育て方を大切にしたいということ

・あるべき「学び」は、自分、他者、世界への知を串ざしするような「学び」でなければならないということ

・豊かな表現が生まれるには、その何倍ものインプットが必要。外の世界から入ってくるものが十分にあり、自分の内側で発酵させるだけのゆとりがあって、豊かなアウトプットになっていくということ

・アクティブラーニングが表面的に受け止められ、間違って理解され「はいはい」と能動的に手を挙げ、発信する子がアクティブと評価されてしまうことを筆者は懸念しているということ

あとは、この辺り、ヒジョーに胸にささりました。

草食系男子、若者たちは、かつてのヒッピーのように、近代からはずれ、社会からもはずれていこうとする生き方をしているわけではありません。社会の中で普通に肩肘はらずに生活しているのですが、地位や名誉、お金にこだわる生き方から自由になることをいとわないのです。
今のところ、現代の若者たちは自分がそうした志向性をもった、新しいタイプの人生創造者などとは自覚していないと思いますが、私はいずれ彼ら自身が、近代のもたらした課題についての認識を持ち、それと異なる生き方について主張ができるだけの自信を持って欲しいと考えています。
もし彼らに足りないものがあるとすれば、それは自己主張力であり、根っこにありのままの自己を肯定する自己受容感ではないかと思うのです。

同書

そして大人たちは彼らが夢を持つことを励まし、彼らが選ぶ生き方が、むしろ現代社会でひとつの希望になりうる、ということを支えていくべきです。

「天才」肌の子どもの芽を見つけ、上手に伸ばすことが支配的な教育の外で行われるようになり、成果をあげつつあるのと同じように、支配的教育のもとで、ネガティブに評価されてきた草食系男子もまた、新たな可能性の芽を見出し、それを上手に伸ばしていけば、世の中は変わるはず。

同書

【著者紹介】
汐見稔幸(しおみ・としゆき)先生
1947年大阪府生まれ。東京大学教育学部卒、同大学院博士課程修了。現在、白梅学園大学学長、東京大学名誉教授。専門は教育学、教育人間学、育児学。育児や保育を総合的な人間学と位置づけ、その総合化=学問化を自らの使命と考えている。

ポプラ社HPより

ちなみに、今日も姉妹は元気です。
時間なくてすみません。

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