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部屋 第6話

包み紙からA4用紙を一枚取り出した。

紙質は良い。厚く、滑らかだ。

「ここに来て何日経ったんだ」

寝たのは2回だ。でも長く眠っていないと思う。
感覚では12時間ぐらいだろうか。

この部屋は常に明るいが、どこから光が入っているのかわからない。
だから時間の感覚が狂う。壁も床も白色で区別がつかない。

この紙には寝た回数と推測される日数を記入していこう。あと、この部屋について気づいたことを書いていこう

この部屋に来たのは今から12時間前(おそらく)だ。
床は白のセラミックタイル、壁は普通の壁紙だ。特徴として部屋に角が無く、滑らかに曲がっている。部屋は明るいが光の発信源はどこか分からない。そして部屋の大きさは少しずつ縮まっている。部屋にある私物はベッド、まくら、布団の3つだ。あとは今手に入ったえんぴつとA4用紙。

改めて紙に書かれたことを読み返してみるが、そこからなにかを得られたわけでは無かった。

「喉が乾いた。腹も減った」
12時間が経過しているというのは、間違っていないと思う。喉の渇き、腹の減り具合からみても推測される。2~3日経っているのであれば、もっときついはずだ。

おれは紙に四角い部屋を紙に描いた。
「部屋の外は何があるんだ」とおれはふと思った。
この部屋は外から見ると、角が丸いキューブだ。おそらく白色の。

もしかすると、この部屋が明るいのは、外から光が入ってきているからなのではないだろうか。

おれは壁に手を近づけた。
手は光で明るくなった。
光は外から入ってきている。
光の発信源は外だ。外に何かある。

続く。

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