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「コミットなくして失敗なし.失敗なくして進歩なし.」と痛感させられた本

『失敗の科学』という本を読んだ.この本はスゴい.レジェンド本に追加.

本書は,生々しい失敗の事例を通して,ハラハラドキドキしながら,失敗について学べる本.失敗から学び進歩する人や組織がある一方で,失敗を隠蔽し進歩しない人と組織があるのはなぜか.彼らはなぜ失敗を認められないのか.

個人的には,「失敗」と「責任」と「進歩」といった言葉の輪郭がだいぶはっきりした.今の社会が上手く機能していない原因の一端がわかった気がする.

個人的には,学生におすすめしたい.将来の職業選択について,とても参考になると思う.さまざまな職業の,さまざまな立場における責任というのを物語をとおして感じられると思う.

具体的に参考になったのは以下の点.

・なぜ科学は進歩し,疑似科学は進歩しないのか?
・なぜ航空業界に比べ,医療業界では死亡事故が減らないのか?
・なぜDNA鑑定の結果が出ても,検事は冤罪を認められないのか?
・なぜ経済学者は予測が外れても,外れていないと正当化するのか?
・なぜ「検討より検証」のほうが大事なのか?
・「懲罰文化」と「放任文化」は,組織の進歩を促すか?
・なぜ「早計な非難」はつつしむべきなのか?

おわりに

「失敗から学ぶ文化」っていいなと思った.どうしたらそんな文化がつくれるんだろう.

今の日本は,コミットしないから失敗を定義できず,なんとでも責任を逃れられる.だから,学べず進歩しない.そんな傾向がある気がする.

とはいえ,失敗したら,処罰される,非難される,評判が下がる,といった文化では,コミットすることも失敗を認めることも難しい.やっかいなことに,人の性質として,失敗を状況や運ではなく人の資質に結びつける傾向があるため,個人に非難が向かうそうだ.早計な非難はつつしむことが大事.

検討しすぎな気がする.検討しすぎたせいで,失敗を認められなくなっているような.検討が必要な「おおごと」をやる前に,一口サイズの実験を行い,検証に時間を費やすべきだと思う.

以上です.


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