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変わらないけど、変わっていく。

母が自宅の階段を踏み外し、複雑骨折で手術を受けました。
手術室の前でおばと二人、母の手術が無事に終わるように待っていた。
そんな時、話しかけてくれた看護師さん
「カズコ?」
高校を卒業して以来、もう20年近くにもなる。

高校の教室。
振り返ると彼女の優しい笑顔。
いつも話す時にニコニコ笑っている彼女と話すと、こちらも嬉しくなってきた。バレンタインデーには手作りの友チョコをもらった。優しい彼女にピッタリの優しくて甘いチョコクッキー。

マスクで目だけしか見えない。
それでも伝わってくる彼女の優しい雰囲気・・・。
もう20年近く前なのに、白いセーラー襟の制服を着た私達に立ち戻った。

変わらない彼女の純粋な笑顔に、ふと自分はどうなのかと不安になった。
この20年、楽しいことも沢山あったけれど、苦しいことも悔しいことも。悲しいことも。。。
息子くん達を産み育て。
強くたくましくなった私。
母からよく言われる「昔はのんびりしてほんわかして可愛かったのにぃぃぃ」
もうあの頃の、何も知らず何も分からずに何も出来なかった「カズコ」はいない。

「カズコも全然変わらないよ」と笑顔の彼女の言葉に驚いた!
変わらない自分と、変わっていく自分。

相談のお仕事では、お母さんからお子さんのこれまでの生活を聴き取っていく。私はその時間が大好きだ。
お母さんの目を通して、お子さんの成長が見えてくる。
お母さんの心を通して、お子さんへの愛おしさが伝わってくる。
お母さんの言葉を通して、これまでのお母さんの頑張りが伝わってくる。
変わらない大切なことと、成長していく子どもの育ちと、親の育ち。

親子の関係性はどんどん変わる。
赤ちゃんの頃はただただ可愛くて。
保育所の頃は躾も大変で。可愛がるだけではいられない。
小学校の頃は子ども達の「やりたい!」を叶えたいと頑張って。
中学校の頃はあんなに可愛かった息子くん達に反抗され傷ついたこともあった。
今では彼らも高校生と大学生。
『子ども一歩抜けて』、でも『大人一歩手前』の息子くん達との距離感が大切。そんなことは頭では分かっているけれど、息子くんが落ち込んで元気がないと聴けば、こちらも落ち込んで元気が出ずに何も手につかなくなる。
心の距離感が近過ぎる。
だけど、心配せずにはいられない。
息子くん達の幸せを願わないではいられない。

手術室から母が出てきた。
まだ麻酔が効いていて朦朧としているのに、おどけて見せる母。
いくつになっても娘に心配かけまいと、頑張ってくれている彼女の優しさが私の心をじんわり温かくする。

私と母との関係も『守られる側』から『守る側』へと変わってきている。
母への愛情は変わらない。大好きな母。

戻ってきてくれてありがとう。
生きててくれてありがとう。
大切な大切なお母さん。ありがとう。



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