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引き継がれた教育システム

※書籍『子育てを最高の宝物に』
第1章 <時代背景と教育といじめ> より抜粋(十数回に分けて公開中)


「教育の変遷」でも説明しましたが、教師1人対数十名の一斉授業というシステム。
これは明治初期に生まれた学校教育システムで、そして戦中・戦後に確立された軍隊教育の名残が今だに継承されています。
この一斉授業にとても違和感を感じています。

20年くらい前は僕もこの形式で授業を受けていたのでわかるのですが、全員一緒に同じ問題を解いて一緒に進める。
教師の誘導で教科書通りに進めるこのシステムは、高度経済成長の時代ではすごく有効で効率的に均質な人材を輩出する教育を提供できていたんだと思います。

しかし、時代や価値観は当然変わります。

現代において、本当に子供の「知りたい」という気持ちや疑問力や好奇心を養えているのか、という疑問は当然感じます。

教師が「この問題わかる人」と言って生徒が手をあげる。
完全に誘導であり、わからない人は後で先生のところに質問に行ったり、質問せずに分からないままになる。
これは置いてけぼりを食う子供が出る仕組みで、問題がわからない生徒に寄り添ったアプローチができていない。

質問時間でもない時に生徒が手をあげ、間違っていても両隣や前の席の友達がサポートしたり、それを教師や生徒達が受け入れるという土台がそもそもできていないと感じました。

正解を言わないと恥ずかしい
間違えられない
だから言わない

間違えることを許容する風潮は最近は少しづつ増えてきましたが、まだまだごく一部に過ぎません。

「正解主義」の教育はまだ存在しています。

本来、その間違いこそが成長するポイントになるはずです。
「何故間違えたのか」「その間違いから何を得るのか」これが大きく人を成長させるポイントになります。

僕は、教育の定義はその時の時代に応じて変わると思っています。

江戸時代の教育、戦後や工業化社会での教育、そして現代の教育、それぞれの時代が教育に求める役割は違うはずです。
だから昔と比較して「あれは良かった」「これはダメだ」みたいな議論には一切興味ありません。
ただ、時代に応じて教育の在り方は変わりますが、工業化社会時代の教育の「正解を求める」という当時の当たり前が、

【未だに変わりきれずに現代の教育の根底にある】

ということが非常に残念だと思っています。

一つの例ですが、最近ではアクティブラーニングのような【対話型授業】も少しづつ増えてきましたが、一昔前の学校では全員黒板の前にいる教師に向かい、「これがわかる人」と言われ、手を上げて答える。
そして全員一斉にノートに書き写す。
(今も集団授業はこのスタイルです)

生徒同士で話し合ったりすることが一部では増えてきましたが、全国的にはまだ少ないでしょう。
子供の好みもあるので集団授業自体は否定しませんが、学び方を子供自身が自由に選べるようになったら素敵ですが、今は学校に合わさざるを得ないのが現状です。

戦中戦後の軍隊教育はまさにそうです。
「相談の仕方」や「課題を一緒に解決するための話し合い方」が分からない人が今、教職のそれなりの権限を持つポジションに就いたりしている気がしています。
(個人の見解なので根拠はありません!)

結果として、

子供たちに対話の経験を通して【相手の考えを知る経験】と【自分の考えを相手に伝える経験】が少なかったりします。

想像力のない大人が一歩先を想像出来ず、目の前のことだけに囚われ、他者と合意形成するための話し合いの場がない環境で学び、主観でしか物事を判断できなくなる。
そのような価値観で勉強し、社会にでて仕事をすることになるのではないか。

つまり、「自分以外の価値観がある」ということを意識できない、考えられないから結局自分の価値観に合う者同士が集まる。

自分の中の「当たり前」という価値観にそぐわない人を排除する行為が「いじめ」なんじゃないかなと、僕は考えています。
元・東京都千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長の著書
【学校の「当たり前」をやめた。生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革】にも「他者との対話による合意形成」の重要性が書かれています。
「他者を意識できない人」はそもそもなぜそんな意識になっているのか、この本を読んで腑に落ちました。
自分の言語化できない「なぜ?」を「他者との対話による合意形成」という言葉で言い表されていて、本当にしっくりきました。

対話を例に上げましたが、他にも変わりきれずに未だに続いてる仕組みが「当たり前」のような素振りで子供たちから考える経験、決断する経験を奪っています。
当時の普通は当時の普通であって、時代が変われば普通の定義も変わります。

いつまでも昔の「当たり前」を引きづらないでほしいと、切に願います。


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